20世紀を代表する音楽家のひとり、
レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)に「僕はあなたより上手に弾けると思うよ。何かアドバイスが欲しい?」という生意気な手紙を送った8歳の少年がいました。少年の名前は
ジョーダン・ルーデス(Jordan Rudess)。
ドリーム・シアター(Dream Theater)のキーボード奏者が57年前に書いたものでした。
米国議会図書館の音楽レファレンススペシャリスト、ヘザー・ダーネルが、有名ミュージシャンに届いたヘイトメールについて調べているうちに、この手紙を発見したようです。
手紙にはこう書かれていました。
「1965年8月
バーンスタイン様
どのくらい練習しているの? あなたの写真をもらえますか? 僕は8歳。僕はあなたより上手に弾けると思うよ。何かアドバイスが欲しい?」
ダーネルは、ルーデスに連絡を取り、話を聞いています。
Q:57年ぶりに手紙を見た感想は?
「いやあ、よく見つけてくれたね。本当に驚いた。家族も“すごい、すごい!”って言ったよ。...母がそれを出していたのには驚いたよ。たぶん、すごくかわいいと思ったんだろうね」
Q:バーンスタインから返事をもらったことは?
「なかったと思うよ。たぶん、“このガキは俺よりうまくやれると思ってるんだ!返事は書かないぞ、絶対に!”と思っていたんじゃないかな」
※アーカイブの記録によると、バーンスタインは返礼に写真を送ったそうです。
Q:バーンスタインとの最初の出会いについて
「母は、家族の中に音楽があるなんて思ってもみなかったようなんだ。だから、僕がピアノを弾くようになると、母は本当に本当に喜んで、コンサートホールの外の階段に座って、バーンスタインのピアノ演奏やオーケストラの指揮の話をしてくれた。母は本当にそれを楽しんでいて、それを僕と分かち合ってくれた。だから、バーンスタインのことは、僕の心の中にずっとあったんだ」
Q:どちらが優れたピアニストなの?
「(笑)8歳の時に彼より上手に弾けたとは思わないよ。彼はかなり優秀なピアニストだった。本当に才能がある。レナード・バーンスタインに宛てた手紙が面白いのは、彼と同じように、僕も自分のキャリアの中で境界を越えてきたということ。
僕はクラシック音楽家としてスタートし、9歳でジュリアード音楽院に入学、19歳のときに退学し、他のことをしようと決めた。ロックやプログレッシブ・ロック、そして最終的にはメタルと、さまざまなジャンルに手を出した。レナード・バーンスタインはもちろん、境界を越えて、どんなジャンルでもこなすことのできる王者でした」
Q:今、バーンスタインに手紙を書くとしたら...。
「ああ、そうだな。ただ、素晴らしいインスピレーションをありがとうと言いたいね。彼の音楽の道は、僕にとっても共感できるものだから。彼は偉大なクラシック音楽家でありながら、あらゆるジャンルをミックスした音楽を書くことができる王者の一人であり、それは僕が完全に興味を持っていることなんだ。そういう意味で、彼のようになりたいと思っている。“素晴らしいインスピレーションと、ミュージシャンとして何が可能かを世界に教えてくれてありがとう”と言うだろうね」