Toei Zukun Lab|名優・松田優作がデジタルヒューマンとして映像に蘇る! ©東映ツークン研究所
名優・松田優作がデジタルヒューマンとして映像に蘇る。監修は女優・写真家 松田美由紀。ショートムービーが公開されています。
「コンテンツの未来をデザインする」というミッションのもと、企画・制作、研究開発を行う東映株式会社の東映ツークン研究所では、新たな映像表現を目指してデジタルヒューマンの技術開発を行なっております。この度、2022年春に発表した名優・松田優作をデジタルヒューマンで復活させるプロジェクトの第2弾情報解禁として、ショートムービーが公開されました。女優・写真家 松田美由紀監修のもと、デジタルヒューマンとして現代に蘇った松田優作の初主演作をご覧ください。
東映ツークン研究所ではデジタルヒューマン専門チームを編成し、2019年からの3年間に及ぶデジタルヒューマン研究開発プロジェクトを進めてきました。そして、デジタルヒューマンショートムービーの主演には、かつて東映グループ会社のセントラルアーツに所属し、「最も危険な遊戯」「蘇る金狼」「探偵物語」「華の乱」等のヒット作・名作に出演、当時の映画界を牽引した名優・松田優作を選びました。遺作となった「ブラック・レイン」ではハリウッドにも進出するなど、世界的にも知名度が高いトップスターです。そんな本人の独特の雰囲気やオーラをデジタルヒューマンとして蘇えらせるため、顔の復元にはツークン研究所が運用するスキャンシステム「Light Stage」で取得した複数人の超高精細3DCGデータをもとに、機械学習で生成した顔モデルが利用されており、表情の動きにはトラッキング技術を使用し松田優作のボディダブルの表情を解析し、アニメーションをつけています。
また、声の復元に関してはAI による音声復元および AI 音声ディレクション全般をゲーム開発から映像、メタバースコンテンツ開発などの制作を幅広く行なっている株式会社ORENDA WORLDが担当、そして音声合成分野で有名な名古屋大学発の企業である株式会社TARVOのAI音声変換技術「Suara」を使用して復元に挑みました。
映像内容としては松田優作が夜のトンネル内を車で運転する姿、そして彼が触れたことのないはずの現代のスマートフォンを使っての通話姿、逆に昭和を感じさせるようなジッポーでの煙草に火をつける姿など情緒漂った映像になっています。一連の自然な仕草に往年の松田優作の姿が思い出され、まるで松田優作が現代に蘇った、もしくは自分が過去にタイムスリップした、そんな感覚を覚えることでしょう。最後には「YUSAKU MATSUDA」のクレジットで締めくくられたアーティスティックな映像となっております。そんな現代と過去が融合された映像の監修には松田優作のクリエイティブ全般を担う松田美由紀が務めました。今回制作を行ったデジタルヒューマン研究開発プロジェクトではこの技術をこれから先の映像作品の中に活かし、過去の偉人や大スターを現代のスクリーンの中に蘇らせるといった新たな映像体験を生み出していきます。さらに、エンターテインメント業界から飛び出して社会実装の観点から、AI技術と連携等をして街中での道案内や広告、または接客などのサービス業での活用など幅広い技術活用の可能性を追い求め社会の課題解決に挑みます。
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【東映ツークン研究所とは】
2010 年、東映株式会社東京撮影所内のデジタルセンターの一部署として発足。
「コンテンツの未来をデザインする」というミッションのもと、映像文化にデジタル技術を取り入れることでどのような未来が生み出せるのかを追求し、実践的に制作に活かしてきました。多様化した新しい形のコンテンツに対しても積極的にチャレンジしており、最近では松任谷由実の「深海の街」全国ツアーのステージ映像の制作、50 周年記念新曲「Call me back」の MV 制作などを行いました。
今後も映画、テレビ、CM、YouTube、メタバースなどにおけるコンテンツでの技術活用や、急速に進歩している社会において商業施設・ホテル・医療機関などでのデジタルヒューマンの効果的活用など社会貢献を主とした活動にも力を入れていく予定です。
【松田美由紀コメント】
青いライト、煙草の香り。俳優、松田優作の短編映画ができあがりました!亡くなって 33 年経った今、皆さんの想いで新作が作られた気持ちです。監修ではパソコンに向かって少しづつ、時間をかけて、優作の世界に入っていきました。形を追い求めるのではなく私の中の記憶、優作への想いを頼って一歩一歩近づいていく。圧倒的に強いオーラ。それだけを感じながら制作のお手伝いをしました。どんどん顔に魂が吹き込まれていくから不思議。ぜひ現代の優作に会ってみてね。
【デジタルアート研究の視点から〜東京藝術大学大学院映像研究科教授岡本美津子先生コメント】
人は微妙な顔の筋肉の動きで感情を読み取ろうとするのですが、この映像ではそれが自然に表現されており、デジタルヒューマンを見たという印象よりも普通のドラマの1シーンを見たというのが率直な感想でした。今回の映像は、デジタルヒューマンが1人の俳優として活躍できる可能性があることを提示した素晴らしい作品だと思いました。また、この技術を東映ツークン研究所の目的の一つでもある社会実装においても活用することで、現代社会に様々な可能性を提供してくれると期待しています。