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ルー・リード『I'm So Free: The 1971 RCA Demos』ストリーミング解禁&彼が遺した膨大なアーカイブについて妻ローリー・アンダーソン語る

2022/09/09 15:39掲載
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Lou Reed / I'm So Free: The 1971 RCA Demos
Lou Reed / I'm So Free: The 1971 RCA Demos
1971年10月27日、ルー・リード(Lou Reed)はソロ・キャリア初のレコーディング・セッションを行いました。その貴重な録音を集めたデモ音源集『I'm So Free: The 1971 RCA Demos』がストリーミング解禁。このアルバムはアナログレコードが2022年のレコード・ストア・デイに限定発売されており、また、2021年12月23日にはヨーロッパのiTunesでデジタル版が限定リリースされていました。

『I'm So Free: The 1971 RCA Demos』は17曲入り。リードが1972年に発表したセルフタイトルのデビュー・ソロ・アルバムと、その後の『Transformer』から、ほぼすべての曲のラフ・ヴァージョンが収録されています。そのうちのいくつかは、もともとヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)で作曲・録音したものですが、「Kill Your Sons」と「She's My Best Friend」の2曲は、1970年代半ばまで正式にリリースされませんでした。「Perfect Day」「I'm Sticking With You」「Berlin」「Ocean」「Ride Into the Sun」などの曲が収録されており、近年話題になっていたデモ音源のようです。





また、ルー・リードの妻ローリー・アンダーソン(Laurie Anderson)は、夫が遺した膨大なアーカイブについて、英ガーディアン紙のインタビューの中で話しています。

リードは晩年、マンハッタンのウェストヴィレッジにオフィスを構え、ニューヨークのチェルシー地区には倉庫もありました。倉庫は、彼の元テクニカルアシスタントのジェイソン・スターンによると、ラベルのない段ボール箱が「ほとんど床から天井まで積み上げられていた」そうで、「何が入っているのか、さっぱり分からない。ルーに聞いたこともない」と話しています。

2013年にリードが亡くなったとき、アンダーソンはこれをどうするかという大きな問題に直面します。リードはアーカイブに関して何の指示も残していないという。「いや、何もない。ゼロよ。私たちはそれについて本当に話しませんでした」と彼女は話しています。

彼女は、それをアーカイブと呼ぶという考え方に否定的です。「物を取っておいたからと言って、その価値に気づいていたとは言えない。彼は自分のことをそんなふうに考えなかった。彼はまったくキュレーションをしていなかった。彼は本当に自分の過去にそれほど興味がなかった。ただ、そこに置いていただけなんです。彼にとって重要なものではなかった」

リードが気にしていようといまいと、それらはロック史における最も重要な人物の一人の歴史を表していましたので、アンダーソンは彼が残した箱を何とかしなければなりませんでした。

アンダーソンは、スターンとドン・フレミング(ソニック・ユース、ホール、アリス・クーパーなどのプロデューサー)に、それらの整理を任せました。そして、必然的に宝の山を発見します。600時間に及ぶ未発表のライヴとスタジオ録音、そしてリードがアンディ・ウォーホルに倣って、一日のうちに自分の身に起こったことをすべて録音していたことを示唆するテープが並んでいました。フレミングは「アンディと(アシスタントの)ブリジット・ポークがポータブル・カセットデッキですべてを録音していたように、ルーも同じことをしていました」「私たちが見つけた多くのテープはまさにそれでした」と話しています。

しかし、最も驚くべき発見は、倉庫の中にあったわけではありませんでした。リードの机の後ろの棚を整理していたスターンとフレミングは、最初はCDボックスセットだと思っていたパッケージを見つけます。よく見ると、それはオープンリール式のテープで、日付は1965年5月、宛先はロングアイランドのフリーポートにある両親の家、リード自身であることがわかりました。

開けてみると、デモテープがありました。リードは、内容の著作権を主張するため方法として、それを自分自身に送っていたのです。その中には、リードがまだ格安レーベルのピックウィック・レコードでソングライターとして働いていた頃に、リードとジョン・ケイルが録音した音源が入っていました。このテープの内容はアルバム『Words & Music, May 1965』として発売されることが決定しています。デジタルで9月16日に、フィジカルでは10月21日に発売される予定です。『Words & Music, May 1965』についてはこちら