The Jimi Hendrix Experience / Electric Ladyland 50th Anniversary Deluxe Edition
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(The Jimi Hendrix Experience)『Electric Ladyland』には、複数のアルバム・ジャケットが存在します。その中で最も物議を醸したのが、大勢の女性ヌードモデルの写真を使ったイギリス盤でした。この写真を撮影した写真家のデイヴィッド・モンゴメリーが、撮影の経緯や当日の様子を英Classic Rock誌に語っています。
「リンダ・マッカートニーは、ニューヨークで『Electric Ladyland』のオリジナル写真を撮影した。彼女は小さな白人の子供と小さな黒人の子供が一緒に写った写真を撮った。平和、愛、調和......そういうものだった。でも、ロンドンのレコード会社はそれを見て、“何だこれは?これではレコードは売れない”と思ったので、僕がこの仕事を受けることになったんだ。
(※リンダ撮影のオリジナル写真は同作の50周年記念エディションのアルバム・ジャケットに使われています。写真上)
『Electric Ladyland』を持っているけど、聴いたことがないという人に何人も会ったよ。彼らはただ、裸の女の子が好きなんだ。
レコード会社の人が全部手配してくれたと思う。女の子たちがトップレスになることはわかっていたので、(イギリスのジャケットアートディレクターの)デヴィッド・キングが“木曜日の夜にやろう”と言ったんだ。僕は昼間働いていたので、木曜日の夜だったということは覚えている。彼らはロンドンのクラブに行って、女の子たちを集めてこう言った。“ジミ・ヘンドリックスの写真を撮っているんだけど、一緒に写らない? 5ポンド儲かるよ”とね。
本番では、19人だったかな、女の子たちがスタジオにやってきて、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。それから、彼女たちをグループ分けして、ライティングを確認するためにポラロイドを撮った。デヴィッド・キングとレコード会社の誰かがそれを見て、“下着をつけたままだと見栄えが良くないね。じゃあ、女の子たち、下着脱いでくれる?”と言うと、女の子たちはみんな“ノー”と言った。そこでデヴィッドは彼女たちにもっとお金を出すように言った。交渉して、もう3ポンドずつ渡したと思う。あと、なぜかヘンドリックスは来なかった。だから、アルバムを持っている人もいる。
心の底では、この写真が物議を醸す可能性があるとわかっていたので、他は何も写っていない、胸だけの写真にした。このような状況で、僕はコダクロームという透明感のあるフィルムで撮影していた。つまり、露出が正しいか間違っているかのどちらかだった。いろんな女の子がいて、いろんな肌色をしている。僕はいつもの習慣で、4種類の露出で撮影していた。その結果、色合いがとてもきれいで、まるで赤ちゃんのお尻みたいな色合いになった。本当にきれいで、とても満足したよ。
デヴィッドにフィルムを全部渡して、いくつかの選択をして、それで終わりだった。
アルバムが発売されると、本当に暗くて濁っていた。それで彼らに電話して“低予算なのは分かっているけど、ショックだよ!”と言った。彼らは“写真には何の問題もない、我々が望んだ通りだ。君の露出は、あまりにもきれいで、開放的で、クリーンだった。もうちょっと硬質な感じにしたかったんだ”と言っていた。それで、デヴィッド・キングがやった。彼はアートディレクターだから、天才的なんだ。
ジミ・ヘンドリックスはこれを気に入らなかった。でも、僕はそれを信じていない。ジミはかなりの女好きだったからね。彼は誰とでも寝る奴だったのに、なぜ彼が禁欲主義的なのか理解できないよ」