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80年代にメタル系アーティストが集結したチャリティプロジェクトHear N' Aid 参加したドン・ドッケンが当時を語る

2022/08/17 18:11掲載
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Hear N' Aid
Hear N' Aid
ロニー・ジェイムス・ディオ(Ronnie James Dio)がまとめることによって実現した、80年代のメタル系アーティストたちによるアフリカ飢餓救済チャリティ・プロジェクト、Hear 'n Aid。チャリティーソング「Stars」のレコーディングを、当時参加したヴォーカリストのひとり、ドン・ドッケン(Don Dokken)が英Classic Rockのインタビューの中で振り返っています。

「Hear 'N Aidプロジェクトのことを初めて知ったのは、他のみんなと同じように、ロニー・ジェイムス・ディオからの電話だった。ロニーのことは昔から知っていたし、僕らのバンドは何度も一緒に演奏していたからね。

彼はこのアイデア(元々はディオのメンバーであったヴィヴィアン・キャンベルとジミー・ベインが発案)とこの曲が良い目的のためにあるということを説明してくれた。ロニー・ジェイムス・ディオが助けを求めてきたんだから行くしかない。僕とジョージ(リンチ、ドッケンのギタリスト)、ジェフ(ピルソン、ドッケンのベーシスト)はすぐにサインした。マイケル・ジャクソンはすでに(USA For Africaのシングル)“We Are The World”をやっていたけど、僕らの世界からは誰も呼ばれなかったから、僕らもその一翼を担えることができて良かったよ。

“Stars”は1985年5月にロサンゼルスのA&Mのスタジオで録音した。ロブ・ハルフォードやクイーンズライクのジェフ・テイトをはじめとするメタル系の連中が黒いレザージャケットを着てくるのはわかっていたから、目立つように白いスーツを着てセッションに参加したんだ。このレコードの制作を記録したドキュメンタリーがあるんだけど、その中でロニー・ディオが“おい、ドン、GQ誌が呼んでいるぞ”と冗談交じりに言うのが聞こえてきて、当日のリラックスした気さくな雰囲気が伝わってくる。

ロニーは曲のプロデュースをしていて、セッションの数日前に曲を送ってきて、どの歌詞を僕が歌うかを指示してきた。誰が何を歌うかという議論はなかった。“ロニー、この曲には問題がある。このメロディーを歌うたびに、君みたいに聞こえるんだよ”と言ったのを覚えている。冗談で言ったんだけど、この曲は明らかにロニー・ディオのメロディだし、他のみんながロニーになりきっているように聴こえるから、どうやって自分の部分を違うように歌うのか考えなければならなかったんだ。

正直なところ、当日はエゴのぶつかり合いは全くなかったし、スタジオの誰も歌姫のような要求をする人はいなかったよ。それは嬉しい驚きだったし、みんながロニーを尊敬している証拠だと思う。

僕はそこにいる全員を知っていたし、正直なところ、その中の何人かはあまり好きではなかった。だから、みんなが酔っぱらってコカインをやり、くだらない話をするのを一日中見ているつもりはなかった。ロニーに僕の時間帯を尋ねて、午後4時に歌う約束をしたのを覚えているよ。午後3時に現れ、自分の部分を歌い、他のミュージシャンたちとのフォトコールに立ち会って、それから家に帰ったんだ。レコーディングの後、80人くらいしか入れない通りの向こうのバーに200人くらいが入ってパーティーをやったのは知っているけど、当時のドッケンもパーティー三昧だったので、チャンスを逃したとは思わなかったよ。

その後、さまざまなロックスターのエゴが登場したと思う。ロニーが様々なレーベルやマネージャーと交渉している間、レコードのリリースが数ヶ月(1986年1月まで)遅れたからね。その結果、この曲は勢いを失ったのは残念なことだったけど、その辺は僕らの手には負えないことだった。

レコードがようやく発売された後、ウェンディ・ディオは当初100万ドルほど稼いだと推定した。集まったお金が様々な慈善団体に割り当てられた後、僕はこのプロジェクトがサンフェルナンド・バレーに購入した、ホームレスの子供たちが食事をしに来ることができる建物を訪れることができて嬉しかった。それ以来、僕はチャリティー・レコードを何枚も頼まれきたけど、寄付金の行き先が曖昧で、自分の銀行口座からお金が出ないこともある。気をつけないといけないのは、僕を利用して、僕の名前を使ってクソ嫁のオッパイを整形するようなことはさせないということだよ。

Hear'N Aidに参加したのは良かったよ。ハードロックやヘヴィメタルのバンドマンたちが、自分たち以外の誰かのことを気にしていることにショックを受けている人たちがいたのを覚えている。それは、僕らのことよりも、その人たちのことをよく表している。(Hear'N Aidは)ハードロックの歴史の中で、僕たち全員が誇りに思える瞬間なんだ」



<参加したアーティストと当時の在籍バンド>

■ボーカル
ロニー・ジェイムズ・ディオ(ディオ)
ロブ・ハルフォード(ジューダス・プリースト)
デイヴ・メニケッティ(Y&T)
ケヴィン・ダブロウ(クワイエット・ライオット)
ドン・ドッケン(ドッケン)
ジェフ・テイト(クイーンズライク)
エリック・ブルーム(ブルー・オイスター・カルト)
ポール・ショーティノ(ラフ・カット)

■ギター
ヴィヴィアン・キャンベル(ディオ)
イングヴェイ・マルムスティーン
エディ・オジェイダ(トゥイステッド・シスター)
ジョージ・リンチ(ドッケン)
クレイグ・ゴールディ(ジェフリア)
ニール・ショーン(ジャーニー)
ブラッド・ギルス(ナイト・レンジャー)
カルロス・カヴァーゾ(クワイエット・ライオット)
ドナルド・ローザ(ブルー・オイスター・カルト)
デイヴ・マーレイ(アイアン・メイデン)
エイドリアン・スミス(アイアン・メイデン)

■ベース
ジミー・ベイン(ディオ)

■ドラムス
ヴィニー・アピス(ディオ)
フランキー・バネリ(クワイエット・ライオット)

■キーボード
クロード・シュネル(ディオ)

■コーラス
トミー・アルドリッジ(ドラムス、オジー・オズボーン)
カーマイン・アピス(ドラムス、キング・コブラ。ヴィニー・アピスの兄)
ヴィンス・ニール(ボーカル、モトリー・クルー)
ミック・マーズ(ギター、モトリー・クルー)
ブラッキー・ローレス(ボーカル&ギター、W.A.S.P.)
クリス・ホルムズ(ギター、W.A.S.P.)
テッド・ニュージェント(ボーカル)
ルディ・サーゾ(ベース、クワイエット・ライオット)
ジェフ・ピルソン(ベース、ドッケン)
ミック・ブラウン(ドラムス、ドッケン)
デイヴ・アルフォード(ドラムス、ラフ・カット)
アミア・デラク(ギター、ラフ・カット)
クリス・ヘイガー(ギター、ラフ・カット)
マット・スロール(ベース、ラフ・カット)
マーク・スタイン(ボーカル&ギター、ヴァニラ・ファッジ)
デイヴィッド・セントハビンズ(ギター、スパイナル・タップ)
デレク・スモール(ベース、スパイナル・タップ)