
Michael Jackson / MICHAEL
マイケル・ジャクソン・エステートとソニー・ミュージックは、偽物ヴォーカルが歌ったとされる楽曲のリリースをめぐる数年にわたる虚偽広告訴訟を終わらせることで合意に達したと、米ビルボード誌が報じています。この合意は、両者が5月にこの訴訟に関する弁論を行ったカリフォルニア州最高裁判所の判決を待っている間に行われました。
問題となっているのは、2010年にリリースされた
マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の未発表曲を集めたアルバム『MICHAEL』。実際にマイケルのヴォーカルが入っているかどうかが論争になっているのは、Breaking News」、「Keep Your Head Up」、そして50 Centとのコラボ曲「Monster」の計3曲。
この3曲は今年7月に音楽ストリーミングサービスから削除されました。現在、『MICHAEL』は残りの7曲のみが収録された状態で配信されています。
今回、ソニーとマイケルのエステートは、ビルボードへの共同声明で次のように述べています。
「最高裁判所がどのように判決を下すかにかかわらず、訴訟の当事者たちは、さらなる控訴と長期の裁判プロセスを含む可能性があったであろう訴訟を終わらせることを相互に決定した」
また彼らは、楽曲を削除することが「これらの楽曲に関連する会話を完全に乗り越えるための最もシンプルで最善の方法」であると付け加えています。
両者とも合意内容の詳細は明らかにしていません。
問題の3曲は、公式には、マイケルが2007年に作曲・制作チームのエドワード・カシオとジェームス・ポルテと3曲ともレコーディングしたという話になっています。しかし、これらの曲のヴォーカルは、本当はセッション・シンガーのジェイソン・マラカイによるものなのではないかと言われて続けてきました。
これらの曲の真偽をめぐる疑問は何年も続いており、マイケルの家族も疑念を表明しています。マラカイは2011年にFacebookへの投稿でこれらの曲を歌ったことを認めたと報じられていますが、その投稿は削除され、マラカイのマネージャーはその投稿は偽物だと主張しています。
ソニー・ミュージック・グループはリリースに際し、「我々の広範な調査結果と、マイケルとスタジオにいた人々の証言に基づき、このアルバムのヴォーカルは彼自身であると完全に確信しています」と述べていました。
2014年にはファンが偽物ヴォーカル疑惑を巡って集団訴訟を起こし、2018年には控訴裁判所の判事がソニー側に有利な判決を下していますが、この件は現在もカリフォルニア州最高裁判所で係争中です。
ソニーがストリーミングサービスから3曲を削除したことについて、マイケルの遺産管理団体の広報担当者は7月にファンサイトBehind the Maskにて声明を発表していました。
「これら3曲の削除は、その真偽とは何の関係もありません。エステートとソニー・ミュージックは、この曲に関する会話が続くことで、ファン・コミュニティやカジュアルなマイケル・ジャクソンのリスナーの関心が、マイケルの伝説的で奥深い音楽カタログに向けられるべきところから逸れてしまうと考えています」