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米国、銃規制法のグレーゾーンのために大規模な音楽フェスティバルが開催中止を決める

2022/08/02 14:39掲載
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Music Midtown festival 2018 - Paul R. Giunta/Invision/AP
Music Midtown festival 2018 - Paul R. Giunta/Invision/AP
日本では考えられませんが、米国では、銃規制法のグレーゾーンのために、大規模な音楽フェスティバルが今年の開催中止を決めています。

アトランタの大規模なフェスティバル<Music Midtown>の主催者は、当初9月に予定されていた2日間のイベントを中止すると発表。公式発表では「我々の手に負えない事情」を理由に挙げていますが、米メディアが同フェスティバルの関係者に確認したところ、ジョージア州の銃規制法の最近の動向が障害となり、イベントが中止されたという。

ジョージア州立大学のティモシー・リットン法学教授によると、これは、ジョージア州の銃規制法における問題のあるグレーゾーンを示しているとのこと。

リットン教授によると、米国では一般的に、銃の所有者が公共の公園やその他の公共の場に武器を持ち込もうとする場合、その所有者の権利は州法で保護されているという。一方、私立大学や企業のような私有地では、ある状況下では、人が銃器を持ち込むのを阻止することが認められているとのこと。

「そして今、はっきりしないケースがあります。民間団体で企画したコンサートが、都市公園のような非常に公共の場で開催された場合、どうなるのでしょうか? それは個人的なイベントなのでしょうか? それとも公共の場なのか? その答えは、やや不明確なのです」とリットン教授は米国の公共ラジオ局NPRに語っています。

<Music Midtown>は、アトランタのダウンタウンからそう遠くない場所にある公共の公園「ピードモント・パーク」で開催される予定でした。ヘッドライナーはマイ・ケミカル・ロマンスで、ジャック・ホワイトやフォール・アウト・ボーイなどの出演も予定されていました。

The Atlanta Journal-Constitution紙によると、この決定に詳しい関係者は、<Music Midtown>がイベントの中止を決めたのは、フェスティバル中に銃を禁止する主催者の権限を制限する可能性がある最近の裁判所の判決のせいだと語っています。

この判決は、アトランタ植物園が敷地内への銃の持ち込みを禁止できることに関連したもので、ジョージア州の控訴裁判所の最近の判決により、民間団体が公有地での「短期イベント」に銃の持ち込みを制限することが難しくなったという。

<Music Midtown>の場合、主催者は公共の場(ピードモント・パーク)を利用したいと考えていますが、長期的にその土地を借りていない短期テナントとみなされるだろうとリットン教授は言っています。もし主催者がこのイベントで銃の持ち込み禁止を貫くと、この方針に異議を唱える者から訴訟を起こされる危険性があるとのこと。

すでにジョージア州の他の企業も同じような状況に陥っているとリットン教授は言っています。訴訟を恐れて、また法律が不確実なもののため、公共の場でイベントを運営する民間団体は、銃の持ち込み禁止を解除することを選択しているという。

米連邦最高裁は今年6月、銃の携帯を厳しく規制するニューヨーク州の法律は、武器保持の権利を定めた憲法に違反するとの判断を下しています。最高裁は判決で、憲法は「自衛のために家の外で拳銃を持つ個人の権利」を保障していると指摘しています。米国では、同様の規制を設けている他の州も対応を迫られていると言われています。