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ロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラ、とても大変だったボブ・ディランとのライヴについて振り返る

2022/07/26 17:51掲載
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Phil Manzanera
Phil Manzanera
今秋に行われるロキシー・ミュージック(Roxy Music)50周年記念ツアーを前に、フィル・マンザネラ(Phil Manzanera)がThe New Cueのインタビューに応じています。その中で、ボブ・ディラン(Bob Dylan)と一緒にやった、とても大変だったライヴについて振り返っています。

Q:前回のロキシー・ミュージックのツアーの後、あなたは「ロキシーの仕事は終わった、もうツアーはしない」と言っていました。何が変わったんですか?

「50年だよ。去年のクリスマスにブライアン(フェリー)とお茶をしていたら、彼が“来年、ライヴをやってみないか”と言ったんだ。僕は“よく考えたら50周年だし、他に何かやることあったかな”と言った。50年経った今もまだここにいるんだから、それを祝う必要がある。ライヴをやってみよう。大失敗するかもしれないし、素晴らしいものになるかもしれない、常に危険はつきまとうものなんだ。ボブ・ディランのライヴでも、素晴らしいものもあれば、最悪のなものもあった。僕は彼と、とても大変なライヴをしたことがあるよ!」

Q:ハハ、それについて教えてください。

「1991年にスペインで行われたGuitar Legendsだった。セビリアのステージの下で1週間、彼のリハーサルをしなければならなかったんだけど、大変だったよ。彼は僕をマンザネラという名前のメキシコ人だと思ったみたいで、彼が入ってきて最初に言ったのが、“1947年のこのテックスメックス(※メキシコ国境周辺で演奏されているルーツ・ミュージック)の曲を知っているか?”だったんだ。僕は“いや、でも君が教えてくれたらみんな覚えるよ”と言ったよ。ベースはジャック・ブルース、ドラムはサイモン・フィリップス、(ホーンセクションは)マイアミ・ホーンズだった。“みんなで覚えよう”と言ったんだけど、彼は毎回違う演奏をしたんだ。みんな“あ、あの、電話しなきゃ”とか言いながら帰っちゃって僕と彼だけになった。すると、彼は“他の人たちのことは忘れて、アコースティックでやろう”と言い出したんだ。イヤ〜〜〜! 頭の中では“彼はボブ・ディランだ、ボブ・ディランは大好きだ、彼の好きなようにやればいいんだ”と言い聞かせていたんだ。

それはテレビの生放送だったんだけど、マネージャーは“彼は出るかもしれないし、出ないかもしれない”と言っていた。僕は“彼が出てこなかったら誰が歌うんだ?”と思った。僕はジャック・ブルースに“ジャック、できる”と言ったら、彼はグラスゴー訛りで“俺はやらないぞ!”と言った。マネージャーは“もし彼が出演するなら、必ず発表してくれ、私はスペイン語が話せるから”と言っていた。それはアメリカ全土とBBC Twoへの生中継だった。周りを見渡すと斑点のついたシャツ(を着た人)が出てきて、“みなさん、ボブ・ディランです!”と紹介された。彼が何を演奏するのか、どのコードなのか、(分からないから)みんなで顔を見合わせたんだ。YouTubeで見ると、リチャード・トンプソンがどんな曲なのか調べようとしているのがわかるよ。彼は歌い方を変えるので、サビに入るまでよくわからないんだ。

とにかく、そのような経験があるので、危険があることは承知の上で、ロキシーは演奏しに出て行くことにしたんだ」

以下は当日のライヴ映像