T・レックス(T.Rex)が1972年7月21日にリリースしたアルバム『The Slider』。発売50周年を記念して、本作のプロデューサーである
トニー・ヴィスコンティ(Tony Visconti)は、このアルバムについてSNSで振り返っています。このアルバムのジャケット・カヴァーに使われた写真は
リンゴ・スター(Ringo Starr)が撮影したものだとクレジットされていますが、ヴィスコンティは以前より自身が撮ったものであると主張しており、今回もその件について書いています。
「T・レックス『The Slider』が50周年を迎えた。この頃、
マーク・ボラン(Marc Bolan)と僕は5、6枚のアルバムを一緒に作ったが(何をもってアルバムとするかは人それぞれだが)、『Electric Warrior』の成功で僕たちはまだ高揚していた。その頃、僕たちはスタジオに入ると一種のテレパシーを感じていた。1967年の出会いから5年近く経っていた。
イギリスの音楽マスコミはマークに対して反感を持っていた。主に彼がBIGな話するからで、当時のヒッピー主導のコミュニティ(ジョン・ピールがアピールしていた)では、そのようなエゴイストな振る舞いは格好悪いとされていた。ジャーナリストの中には、この素晴らしいアルバムがファンやイギリスの音楽業界に与えたであろう影響を、わざわざ軽減しようとする人もいた--マークは自分のゲームの頂点にいたのに! しかし、彼はさらに多くのファンを獲得し、その結果、音楽業界はさらに活性化した。僕の中ではそれがすべてだった。一部の評論家はこのリリースについて非常に好意的だった。
(中略:※ウィキペディアに掲載された好意的なアルバム・レビューを紹介)
ジャケット写真を誰が撮ったかは、今さら言うまでもないけど、また話そう。
僕はマークとリンゴ・スター(監督)、バンド、そしてジューン・チャイルドを含む友人たちと、映画『Born To Boogie』の撮影現場にいたんだ。マークと僕が敬愛するジェフリー・ベイルドンもいた。リンゴやスタッフのために何時間もかかる複雑なセッティングがいくつもあったので、マークは僕に新しいニコンFカメラで写真を撮ってくれと頼んできた。僕は12歳から写真家としても活動しており、僕の写真は何度か出版されたことがある。僕たちは大勢の人たちから離れて森の中に入り、僕はマークの正面と背面を35mmフィルム2本で撮影した。数週間後、マークのアパートに遊びに行ったとき、ソファの上にコンタクトシートが置いてあるのを見た。 手に取ると、それは僕が撮影したものだった。 僕はマークに“とてもいい写真になったね”と言うと、彼も同意してくれたけど、彼の表情に曇りが見えた。彼は、そのシートにイニシャルを入れて、もしその写真を使うなら、僕にクレジットを与えると言っていた。しかし、数ヵ月後、アルバムが発売されると、マークが写真を撮ったのはリンゴだとクレジットしているのを見た。すぐに電話で問いただすと、彼は“おっと、しまった”と言うだけだった。この話はファンなら誰でも知っていることで、リンゴは今日まで一度も反論していない」
ヴィスコンティは先日、新型コロナウイルスに感染。隔離生活5日目にこれを投稿しています。