『ゲット・クレイジー』は名作『ロックンロール・ハイスクール』の監督であるアラン・アーカッシュが80年代に入ってから手掛けたロック映画。スター総出演の年越しコンサートを描いた、「セックス・ドラッグ・ロックンロール」が満載のひたすらにデタラメな内容で、現在ではカルト・クラシックと化している逸品だ。とはいえ、ロックンロールのルーツを重んじる姿勢もきちんとあり、これが後にレネー・ゼルウィガー主演の『Shake, Rattle And Rock!』へと繋がっていくのだった。中年ロック・スターを演じるマルコム・マクダウェル、彼のバンドのドラマーを演じるドアーズのジョン・デンスモア、なぜかボブ・ディランのパロディを演じるルー・リードと、配役からして面白い。映画と同タイトルの主題歌を歌っているのはスパークス!
『フリップト』は『最高の人生の見つけ方』で復調の兆しを見せていたロブ・ライナーが久々に放った「もうひとつの『スタンド・バイ・ミー』」というべき快作。『少女探偵サミー・キーズ』シリーズで知られるウェンデリン・V・ドラーネンの同名児童小説の映像化であり、フランク・キャプラ3世がようやく爺さんに誇れる映画をプロデュースした!という感慨も抱かせる良心的なアメリカ映画だ。主演のマデリン・キャロルは『チョイス!』もキャプラ調の映画だったし、彼女にはアメリカ人の良心を呼び起こすサムシングがあったりしたのだろうか(明らかに本作の二番煎じであるロブ・ライナーの次作『最高の人生のはじめ方』にも彼女は続けて出演している)。 カーティス・リーの「Pretty Little Angel Eyes」から始まって、シフォンズの「One Fine Day」や「He's So Fine」といったオールディーズが全編で流れまくるのも最高! 『スタンド・バイ・ミー』に対する目配せもある。