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エアロスミスのジョー・ペリー、パンデミック期間に思ったこと/バンドの長寿の秘訣/バンドのデビュー作/ロックは死んだか?について語る

2022/07/05 15:26掲載
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Joe Perry - Photo:Ross Halfin
Joe Perry - Photo:Ross Halfin
エアロスミス(Aerosmith)ジョー・ペリー(Joe Perry)は、パンデミック期間に思ったこと、エアロスミスの長寿の秘訣、エアロスミスのデビュー作について、ロックは死んだと感じるか?についてVWMusicのインタビューの中で語っています。

Q:長年にわたってツアーをしてきて、パンデミックによってそれが突然中断されたわけですが、その間にどのような展望を得ることができたのでしょうか?

「毎晩、自分のベッドで寝ている人がとても多いということだね(笑)。俺はそれに慣れていない。15歳のときからスーツケースで生活していたからね。妻のビリーは15歳で家を出て、もう35年も一緒に暮らしているんだけど、その間ずっとロード・ライフをしていて、子供もロードで育ててきたんだ。だから、こうして2年半の休みを取って、家でのんびり過ごすのは、また違った気分なんだよ。“普通の人はこんな生活をしているんだ。2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月と、荷物をまとめて旅に出るなんて、考えたこともないだろう”と思ったよ。新しい視点だったけど、俺はツアーが大好きなので恋しくなったよ。でも、しばらく一カ所にとどまるというのはいい経験だったと言えるかな」

Q:その新しい視点によって、ギターへのアプローチはどのように変わりましたか?

「今までできなかったような、じっくりとギターについて考える機会ができたのは確かだ。今まで自分のトーンに満足したことはなかったんだ。でも、ラスベガス(での定期公演)で演奏していると、まるでスタジオで演奏しているような気分になるんだ。音がとても良いからね。本当に素晴らしい会場だよ。ああいう場所で演奏することがいかに素晴らしいか、1時間でも語り続けたいくらいだよ。毎晩モニターが変わるとか、建物の音が悪いとか、そういうことを気にせずに、同じ会場で何日も続けて演奏できるのは本当に素晴らしいことなんだ。街から街へ移動しているときにはできないような、ライヴに集中することができる。今回のオフの間も、同じように集中し、実際の音に磨きをかけることができた。この休みの間はほとんどスタジオで作業をして、自分が本当に好きなギターの音を聴き直していたんだ。50年代や60年代に録音されたものを深く掘り下げて聴くことができたんだよ。どのような音がするのか、なぜそのような音がするのかに焦点を当てることができた。そして、それをラスベガスでのライヴや、ツアーで演奏するときにも持ち込もうと思っているんだ」

Q:エアロスミスの話に移りますが、バンドは50周年を迎えます。エアロスミスの長寿の秘訣は何だと思われますか?

「ロックンロールは若さを保つ。冗談みたいな言い方かもしれないけど、俺らが育った世代では、65歳になったら引退するもので、年齢を重ねることは年をとることだったんだ。でも、俺たちはそんなことには目もくれていない」「俺たちは、運良く健康でいられたら、このまま続けようと思っている。“もう引退しないといけない”という理由もないわけだからね。では、なぜやめるのか。まだ元気で続けられるのなら、なぜやめる必要があるのか?

もうひとつは、バンドとして本当に団結していたから、何ものもそれを壊すことはできなかったんだと思う。通常、バンドを解散させるようなことは、すべて経験したんだ。俺はしばらく脱退し、ブラッド(・ウィットフォード)もしばらく脱退していた。再結成して最初の夏にツアーに出たときは、レコード契約もなかったし、何が起こるかわからなかった。レコード業界や音楽業界のやり方とは全く違っていたんだ。本来なら、アルバムやシングルを携えてツアーに出るものだけど、俺たちにはそのようなものはなかった。俺らにあったのは、俺らを応援してくれる多くのファンだった。彼らの街で演奏し、彼らが来てくれた。それだけでいいんだ。俺たちは彼らのために演奏し、彼らはそれに興奮し、俺たちがその曲を演奏するのを見に来てくれたんだ。俺たちは演奏するためにそこにいたのであり、それがすべてだったんだよ。そのあと、俺らのように事態が進展していくことは、そうそう起こらないことなんだ。多くのバンドには起こらないことだけど、俺たちには起こった。それはすべて、俺らが団結し、何事にも屈しなかったからだよ」

Q:エアロスミスのデビュー作を振り返ったとき、ジョー・ペリーにとってそのアルバムはどのような意味を持つのでしょうか?

「まあ、当時は誰一人として好きではなかったと思う。自分たちの頭の中に、どんなサウンドになるかというアイデアがあったはずなんだけど、スタジオでの仕事を含め、すべてについてかなり無知だったんだ。スタジオでの作業は、俺たちがスタジオに入るだけで、スタジオがある方法で音を作ってくれるような、違うものになると思っていたんだ。でも、実際は、演奏したものをマイクが拾って、それが録音されるだけなんだ。曲が自分の思うようの音になるような魔法の粉は存在しない、それが俺たちが学んだ最大の教訓だった。だから、デビュー作を聴いていると“ああ、俺のギターがもっといい音だったらよかったのに。もっと違う演奏ができたらいいのに”と思っていた。バンドが良くなって、2枚目、3枚目とレコーディングして、スタジオで作曲するようになると、状況が変わってきたんだ。

『Rocks』では、スタジオを自分たちのために使う方法を学び、本領を発揮し始めたんだ。面白いことに、いまだに1枚目のアルバムについて“あのギターの音色はどうやって出したんだ、ジョー”と聞かれることがあるんだ。この時、そのアンプを見つけて気に入って、それでレコーディングしたんだ。実は最近、同じアンプを見つけたので、ラスベガスで試して、もう一度同じような音が出せるかどうか試してみようと思っているんだ。

ファースト・アルバムは、当時はまだすべてを理解しようとしていたところだったから、その記憶が蘇ってきたんだけど、それは重要なことなんだ。小さなスペースで演奏し、午後にクラブでリハーサルをして、気がついたらニューヨークでオーディションを受けていた、みたいなことを思い出すことが重要なんだよ。契約してからは、あっという間だった。“よし、これからスタジオに入るぞ”“オーケー”みたいな感じで、俺らはまだ子供で、この業界で働いている両親のもとで育ったわけでもない。俺たちは何も分からなかったし、世間知らずだったので、、一緒に行動しながら学び、お互いに気を配っていたんだ」

Q:「ロックは死んだ」という意見もあるようです。それについて、ジョー、あなたの意見を聞きたいと思います。ロックは死んだと感じますか?

「いいえ、全くない。例えば、子供たちと一緒に作った曲は、俺にはロックに聴こえる。そこには確かに現代的な影響もあるんだけど、ロックなんだ。素晴らしいロックンロール・バンドもいくつかある、ブラッドの息子でタイラー・ブライアント&ザ・シェイクダウンに参加しているグラハムもその一人だ。彼らは刺激を与えるような存在だと思う。ロックンロール・ギターを弾きたい、そういう音楽を演奏したいと思っている人はたくさんいる。問題は、それを聴いてくれるファンが少ないということだけど、それでもそこにはファンがいる。

新しいバンドは今もヘッドライナーを務めたり、他のバンドの前座を務めたりしているけど、それは今も昔も同じこと。ビルボードチャートやポップチャートの上位にいるわけではないけど、60年代後半もそんな感じだったよね。俺が好きだったロックンロールは、どれもグラミー賞にも入らなかったし、過度に商業的なものもなかった。ザ・フーが小さなクラブで『Tommy』を演奏しているのを見たことがある。たしかにクラブだけど、会場は満員で、そこにいるファンは聴きたかったから集まったんだ。それは今も同じで、そのファンたちがいるからこそ、ザ・フーは生き続けている。“クラシック音楽”でなければ、“クラシック・ロック”でなければ、これほど大きな存在にはならなかっただろう。今でも、ロック・アーティストのカタログを買って、バカ高いお金を払っている人たちがいるのは、それがどんどん大きくなっていくことを知っているからなんだ。だから、ロックンロールは死んでいないんだよ」