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チケット購入後にコロナでライヴが延期され、その間に難病ALSと診断されたパール・ジャム・ファン 窮状を知った人々が支援 ライヴを無事鑑賞

2022/06/23 16:35掲載
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Pearl Jam with Roland Mandel
Pearl Jam with Roland Mandel
チケット購入後、パンデミックのためにパール・ジャム(Pearl Jam)のコンサートが延期され、その間に難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断を受けたドイツ人男性。現在は車椅子の生活を送っている彼にとって、この夏がコンサートを観ることができる最後のチャンスかもしれないのですが、車椅子席はすでに売り切れていました。男性の窮状を知った人々はSNS上でキャンペーンを開始。友人らはコンサートの主催者等に手紙を書き、彼の希望を叶える方法を探しました。そして、交渉の結果、彼はステージ横のエリアで観ることができるようになり、コンサート当日にはステージにも招かれています。

ドイツのメディアTazによると、この男性はリューネブルク出身の教師ローランド・マンデル。

マンデルはパンデミック前、まだ健康だった時期に、2019年に開催予定だったパール・ジャムのベルリン公演のチケットを購入しました。しかし1年前、彼はALSの診断を受け、現在は車椅子の生活を送っています。

マンデルは、パール・ジャムのコンサートを観ることが最後の願いのひとつだと話していましたが、コンサート会場であるベルリン郊外の野外音楽堂「ヴァルトビューネ」の12席ある車椅子席は、すでにすべて売り切れていました。

マンデルの妻サンドラは「ローランドには、もうこの夏しか残っていないのよ。彼は“どんなに悪くても行く”と言っていた」と振り返っています。

ローランドの窮状を知って、ソーシャルメディア上では「#RVMforRoland」というハッシュタグを使ったキャンペーンが始まりました。このハッシュタグは、マンデルの状況に注目を集めるために作られたもので、ローランドが好きな曲のひとつである「Rearviewmirror」を演奏するようバンドに呼びかけるものでもありました。

マンデルの友人たちもキャンペーンに参加し、コンサートの主催者、会場の借主、ベルリン障がい者委員会、市の文化局に手紙を書き、マンデルの希望を叶える方法を探しました。そして、交渉の結果、マンデルはステージ横のエリアで鑑賞することができるようになりました。また、ローランドだけでなく、もう一人の車椅子のファンも同じようにコンサートに参加できるようになったそうです。

パール・ジャムは当日のコンサートの終盤で、ラモーンズの「I Believe in Miracles」のカヴァーを披露した後、マンデルをステージに迎えています。フロントマンのエディ・ヴェダー(Eddie Vedder)は「彼はこの特別な光景を体験するべきだ。彼は今夜ここに来るために懸命に努力したんだ」と話すと、観客からは「ローランド、ローランド」という声が上がっています。バンドはステージ上でマンデルと記念撮影をした後、「Porch」を演奏しています。

翌日、マンデルの妻は「信じられない気持ち」と、この願いをかなえるために受けた支援の数々を振り返っています。「彼はとても興奮していて、とても前向きで、アドレナリン全開だったわ。永遠に残るわよ」。

マンデル登場の様子を撮影した映像あり