フェスティバルに参加すると、より良い人間になれるという。イェール大学の研究によると、フェスティバルに参加すると、その後少なくとも6ヶ月間は、すべての人とのつながりが深まると感じ、見知らぬ人を助けたいという気持ちが強くなるという。
宗教的な集まりや巡礼が、人間社会に強い社会的絆や一体感をもたらすという心理的効果に関する研究は数多くありますが、世間一般のフェスティバルに関する研究はほとんどありません。
そこで、イェール大学の心理学者チームは、創造性とコミュニティを重視する現代の世俗的な集まりが、さらに広い目的を果たすのではないかと考えました。
研究チームは、ネバダ州の砂漠で毎年開催されるバーニングマン・フェスティバルのような大規模な集まりにおける人々の主観的体験と社会的行動を調査しました。研究チームはまた、イギリスのBurning NestフェスティバルやLatitudeフェスティバル、カリフォルニアのLightning in a BottleフェスティバルやDirty Birdフェスティバルも調査しました。
まず、研究チームは、アメリカとイギリスで、数日間にわたる大規模なイベントに参加した1,200人以上を対象に、対面式での実地調査を実施しました。
研究チームはイベントでブースを設置し、通行人に「科学のためにゲームをしませんか?」と呼びかけました。参加に同意した人には、イベントでの体験と、友人や見知らぬ人とリソースを共有する意欲について尋ねました。
その結果、63.2%の参加者が、イベントに参加したことで、根本的に変わったと感じるほど深い変化を経験したと回答しており、この中には、変化を期待していなかった人や望んでいなかった人も相当数含まれていました。
こうした変革的な体験をした人は、すべての人とより社会的につながっていると感じており、こうしたイベントで過ごす日を重ねるごとに、参加者は家族や友人だけでなく、遠くの見知らぬ他人にも寛容の輪を広げていったと報告しています。
その後、研究チームは参加者の何人かに再び連絡を取り、またイベントに参加したが当初はインタビューを受けていなかった2,000人にもインタビューを行いました。その結果、変革的体験とその向社会的感情(※相手のことを思いやって、または誰かのために行う行動)は、少なくとも6カ月間持続することがわかりました。
この研究論文の筆頭著者であるダニエル・ユドキン博士は、こう話しています。
「私たちは昔から、お祭り、巡礼、儀式が人々を自分たちのグループとの絆をより強く感じさせることを知っています。今回の研究結果は、世俗的な集団の集まりでの経験も、自分の集団を超えて道徳的関心の境界を広げる可能性があることを示しています。
今回の研究結果は、パンデミックによる孤独の中で何年も見逃してきたことを思い出させてくれる重要なものです。それは社会学者エミール・デュルケームが“集合的沸騰(※集団に属するメンバーが互いに接近してまとまりを持つときに、一瞬の、電気のような興奮状態を生み出すこと)”と呼んだ強力な社会的経験です」
この研究は、ペンシルバニア大学、UCLA、デンバー大学、英国バース大学の研究者が協力し、学術誌『Nature Communications』に掲載されています。