スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)と
ジョー・サトリアーニ(Joe Satriani)は、YouTubeやInstagramで人気を集めている、実際のライヴをしたことがないようなギタリストについて、英Classic Rock誌のインタビューの中で語っています。
Q:YouTubeやInstagramで人気を集めている、実際のライヴをしたことがないようなギタリストについてはどう思われますか?
スティーヴ・ヴァイ:
「誰にでも居場所はある。僕たちの場合は、成功とは銀行口座やレコードの売り上げ、グラミー賞の受賞数などで測れるものだと思い込まされてきた。でも本当は、自分の部屋に座って演奏し、それを愛するという能力こそが、最も“熟達した”アーティストが経験できるような成功の感覚を提供できるものなのかもしれない」
ジョー・サトリアーニ:
「携帯電話に向かって演奏するというのは、僕を駆り立てる。僕にはそれがないし、やろうともしていない。(インスタのギタリスト)@fernplantsのような人が、毎日、シリアルを食べる合間に携帯電話の前に座って複雑な曲を弾いているのを見ると羨ましくなる。たぶん、僕が育った場所と時間のせいだろうけど。
僕の場合は5人だろうが5千人だろうが、観客の前に出れば、突然スイッチが入るんだ。それが何なのかはわからない。技術や才能がなくても、恥ずかしがり屋でも、それが僕をいつも支えてくれているんだ。
ソーシャルメディアが本当にエキサイティングなのは、ギターやすべての楽器を演奏する才能ある若者の多さ。6弦、7弦、さらには10弦のギターでこれほど多くの素晴らしい演奏家がいることは、歴史上かつてなかったことだよ。
僕は“みんなもうギターに興味がないんだ”と言われると腹が立つ。正気か?今、歴史を作っている若い人たちがいるんだ、君がそれに追いついていないだけだよ。それに、50年前、100年前のギタリストの話なんてするなよ、これらのプレイヤーとは比べものにならないほど今はずっと進化しているんだ」
Q:それは、彼らの出発点のせいでもあるのでは? あなたたち2人のようなプレイヤーが、子どもが初めて楽器を手にしたときの基準になるとしたら、彼らの楽器に対する期待値は高くなるのではないでしょうか? (※サトリアーニは若き日のヴァイにギターを教えていました)
ジョー・サトリアーニ:
「スティーヴは“全部あなたのせいだ”と言っているんだよ。僕はこの理論を“レニー・クラヴィッツ・スケール”と呼んでいる。レニーは、ルックスも演奏も歌もうまいし、ヒット曲も書けるし、建築家だし、素晴らしい家族も持っている、すべてを兼ね備えてるんだ。僕はプレスの仕事をするたびに、“ここでは、どこまでレニーのスケールに合わせるんだろう?”と考えてしまうんだ。でも、『Passion & Warfare』(1990年)が出たとき、スティーヴは新しいギター、ルックス、素晴らしい演奏、そして曲と、すべてを兼ね備えていたんだ。だから、完全に君の責任なんだよ。そこから始める世代を生んでしまったんだ、何ということだ!」
スティーヴ・ヴァイ:
「(笑)先生のせいにしよう! その後、何度かパラダイムシフトがあった。ビジネスでもアートでも、あらゆる分野でそういうことが起こっている。モノリスのようなものが現れて、みんなが追加ツールを持って入ってくるという感じだよね。グランジがヒットしたとき、多くの妙技はあまりなかったけど、トーンとリズム奏法に発展が見られた。そして2000年頃に7弦が登場したんだ。
ジョーが言ったように、楽器に深い興味を持ち、それを広げていくサブカルチャーがある。彼らは周囲を見渡してこう言う。“OKわかった。ヴァイやサトリアーニ、マルムスティーンがやっていたことが、僕の跳躍台になったんだ”。
僕たちもそうしてきた。ジョーの言うとおり、インターネットの出現で、この成長現象を目の当たりにすることができるようになり、見る者を惹きつけてやまない。僕たちは、その一端を担えたことをうれしく思っているよ」