キッス(KISS)の
ジーン・シモンズ(Gene Simmons)は英Metro紙のインタビューの中で、キッスはメイクに時間がかり、衣装も重いので「後悔先に立たずだが、ラモーンズのようなバンドに所属していた方が賢かったと思う。ジーンズにスニーカー、Tシャツで準備OK!」と語る。また同じインタビューの中で「みんな俺がお金のことしか考えてないと非難する。その通りだよ、クソ野郎!」とも話しています。
Q:引退を撤回し、キッスのツアーに戻るには何が必要でしょうか? ロックンロールではよくあることだと思います。最近ではモトリー・クルーが・・・。
「そんなことは起こらないと思う。はっきり言って、俺たちはステージで最もハードワークしているバンドなんだ。最高ではないかもしれないし、最悪でもないだろうけど、俺たちは間違いなく、出費に見合うものを提供をしている。俺たちは皆、ボノやジャガー、フレディ・マーキュリーなど、偉大なフロントマンの大ファンなんだ。だが、彼らに憧れ、尊敬していても、俺の衣装を着たら、30分で気絶しちゃうだろうね。メイクアップに2時間かかる。7インチのヒールのブーツを履かなければならない、それぞれのブーツはボーリング玉と同じ重さだ。鎧とスタッドとギターを合わせると、40ポンドはある。それに、火を噴いたり、空を飛んだりしなければならないんだ。
後悔先に立たずだが、ラモーンズのようなバンドに所属していた方が賢かったと思う。ジーンズに履き心地のいいスニーカー、Tシャツで準備OKだ! (ライヴを終えて)ステージを降りると、なんてこった。身体はボロボロで疲れきっている。だからプライドとファンへの敬意から、調子のいいうちに退場しておきたいんだ。俺は72歳だが、とても元気だ。声が枯れることはない。体力もある。でも、75歳になってもそうだと保証できるか?いや、無理だ」
Q:キッスの最後のスタジオアルバム『Monster』は2012年に発売されました。今でも新しい音楽を共同制作しているのでしょうか?
「いや、コラボレーションのようなことはだんだん少なくなってきた。ポールと俺はサウンドチェックの時に“おい、これはいいリフだぞ”ってジャムることは続けている。でも、その後を続ける必要があるのだろうか? NOだ。音楽界に起こったことは悲しいことだ。ファンが、新しいバンドが成功するチャンスを奪ってしまった。ダウンロードやファイルシェアリングによって、音楽に価値がなくなってしまったからだ。音楽でお金を稼げなければ、新しいバンドはどうやって食べていくんだ?」
Q:近年、アナログ・レコードが復活していることについてどう思われますか?それは、フィジカルな音楽に対する欲求がまだあることを示しているのではないでしょうか?
「失礼ながら、それが経済的にプラスに働くとお考えなら、あなたは頭がおかしい。1万枚、2万枚、5万枚のレコードでは何の意味もない。それでは経済的な流れは変わらない。ミュージシャンの話か。世の中にはそういう人もいるだろうけど、レコードを買う人なんて一人も知らないよ。ダウンロードに比べれば、その数は微々たるものだ。
俺の好きなバンド、レディオヘッドのことを考えてみてくれ。トム・ヨークは、なぜか俺が彼らのことを悪く言っていると思っているようだが、それは全くの誤解だ。俺は、このバンドの芸術性と奥深さを十分に賞賛し、尊敬している。彼らはアルバム(『In Rainbows』2007年)をリリースして“好きな金額を払ってくれ”と言ったんだ。ほとんどの場合、人々は何も支払いたくはない。スーパーマーケットのドアを開けて“どうぞ、お好きな額をお支払いください”と言ったらどうなると思う?長くは続かないだろう。
みんな俺がお金のことしか考えてないと非難する。その通りだよ、クソ野郎! 金は世の中を動かすものだ。情熱や愛があるのは知ってるよ。しかし、エチオピアで赤ん坊を腕に抱く母親がいたら、必要なのは愛だけなのか?そんなことはない、それはロマンチックな考えだ。子供は他の誰よりも愛されているだろうが、腕の中で死んでしまうだろう。食べ物や水、住まいが必要で、最初に必要なのはお金なんだ。
俺たちは、新しい世代全体を、音楽にお金を払わないように訓練してしまったんだ。我々は次のビートルズを殺している、彼らはそこにいるのに。犯人は誰なんだ? ファンだ。自分たちが愛しているものを殺しているんだ」