松田優作主演『最も危険な遊戯』に始まる東映セントラルアクション、角川映画の名作『Wの悲劇』『セーラー服と機関銃』、劇場版『あぶない刑事』シリーズなど数々の伝説の現場に立ち会った名キャメラマン仙元誠三が語る回想録『キャメラを抱いて走れ! 撮影監督 仙元誠三』が国書刊行会から6月21日発売。
■『キャメラを抱いて走れ! 撮影監督 仙元誠三』
仙元誠三/佐藤洋笑/山本俊輔 著
発売日:2022/06/21
判型:A5判
ISBN:978-4-336-07033-3
ページ数:464 頁
定価:4,620円 (本体価格4,200円)
<内容紹介>
松田優作主演『最も危険な遊戯』に始まる東映セントラルアクション
角川映画の名作『Wの悲劇』『セーラー服と機関銃』
劇場版『あぶない刑事』シリーズ――
数々の伝説の現場に立ち会った名キャメラマン仙元誠三が縦横無尽に語る回想録がついに登場!
*特別収録 助手たちは語る(柳島克己 佐光朗 細井淳一 葛西誉仁 的場光生)
仙元組歴代撮影助手が語る仙元誠三のすべて
かすかに、ゆるやかに対象に迫っていくデッドスローとも呼ばれる移動撮影。一転して激しいブレもリフレクション(反射)も厭わず全力疾走で被写体を追跡する極限の長回し。そして、都会の闇を体現するような鮮烈な「青」の画調――それが仙元誠三撮影の映画だ。1969年『新宿泥棒日記』でデビュー後、70年代『最も危険な遊戯』に始まる東映セントラルアクションとテレビドラマ『大都会』シリーズで大暴れし、80年代『セーラー服と機関銃』『Wの悲劇』などの角川映画の名作を数多く手がけ、2000年代『さらば あぶない刑事』で有終の美を飾った。松田優作、薬師丸ひろ子、仲村トオルといった個性の強いスターたちに慕われ、大島渚、村川透、工藤栄一、澤井信一郎、きうちかずひろといった名監督たちに重用され、稀代の風雲児・角川春樹と渡り合う……キャメラを抱いて日本映画史を駆け抜けた〈野獣のようなキャメラマン〉仙元誠三が縦横無尽に語る回想録がついに登場。
*刊行記念特集上映〈キャメラを抱いて走れ! 撮影監督 仙元誠三〉シネマヴェーラ渋谷にて開催! 2022年8月20日〜9月9日
<著者紹介>
仙元誠三 (センゲンセイゾウ)
1938年京都市生まれ。58年松竹京都撮影所に入社、撮影助手として宮島義勇・成島東一郎に師事する。退社後の69年、『新宿泥棒日記』(大島渚監督)でデビュー。『キャロル』(龍村仁監督、74年)『キタキツネ物語』(蔵原惟繕監督、78年)などのドキュメンタリーから、石原プロ制作のテレビ映画『大都会』シリーズまでジャンルを超えて活躍、中でも村川透監督・松田優作主演『最も危険な遊戯』(78年)に始まる〈遊戯〉シリーズでは、独特の長回し撮影やブルーの強い色調(仙元ブルー)の画面を確立する。80年代には『セーラー服と機関銃』(相米慎二監督、81年)『Wの悲劇』(澤井信一郎監督、84年)などの角川映画の名作を数多く手がける。『あぶない刑事』映画版シリーズ撮影でも知られ『さらば あぶない刑事』(村川透監督、2016年)は撮影担当最終作となった。2014年文化庁映画賞の映画功労部門を受賞。2020年急逝。享年81。
佐藤洋笑 (サトウヒロエ)
1974年神奈川県生まれ。ライター・編集者。音楽雑誌「ロック画報」編集部を経て、フリーランス活動を開始、映画ZINE「映画時代」創刊に参加。「映画秘宝」「ミュージックマガジン」「東映キネマ旬報」などで執筆する。著作に『NTV火曜9時 アクションドラマの世界』『映画監督 村川透 和製ハードボイルドを作った男』『映画秘宝COLLECTION セントラル・アーツ読本』(いずれも山本俊輔と共著)がある。
山本俊輔 (ヤマモトシュンスケ)
1975年東京生まれ。映画監督・作家。『カクトウ便/そして、世界の終わり』(2007年)で劇場公開映画デビュー。主な作品に『木更津グラフィティ』(脚本)、『愛に渇く -thirst for love-』(監督)『デス・ゲーム・パーク』(小説)などがある。著作に『NTV火曜9時 アクションドラマの世界』『映画監督 村川透 和製ハードボイルドを作った男』『映画秘宝COLLECTION セントラル・アーツ読本』(いずれも佐藤洋笑と共著)がある。
<目次>
第1章 若き日と松竹助手時代
生い立ち/悪ガキ、撮影所に行く/憧れのクレーンと反骨心/
ほろ苦い失敗、忘れじの先輩/さらば撮影所、そして復帰/い
ざ、東京へ
宮島義勇を語る──『切腹』『怪談』の現場
第2章 大島渚、寺山修司、ドキュメンタリーの仕事
大島渚との出会い/キャメラを抱いて走れ!──デビュー作
『新宿泥棒日記』/過激なロードムービー──『少年』/寺山
修司ワールド──『書を捨てよ町へ出よう』/ジャイアンツ、
そしてバングラデシュの首相/斬新な音楽ドキュメンタリー
──『キャロル』/大島渚と野坂昭如 衝撃の事件に遭遇/動
物ドキュメンタリーの草分け──『キタキツネ物語』
撮影報告 『キャロル』
第3章 炸裂するアクション──石原プロでの仕事
石原プロ初参加──『黒部の太陽』/アフリカロケでの躍動
──『栄光への5000キロ』/テレビの枠を超えたアクショ
ン──『大都会PARTⅡ』/カリスマ・石原裕次郎との交流
/超ド派手アクション『西部警察』シリーズ
第4章 村川透・松田優作・仙元誠三──黄金トリオの時代
畏友・優作、そして恩人・黒澤満との出会い/村川透とのタッグ
で爆発──『最も危険な遊戯』『殺人遊戯』/角川春樹のオフ
ァー、初の大作『白昼の死角』/村川×優作×仙元、快進撃
──『蘇える金狼』『探偵物語』/ハードボイルドの極みへ
──脚本家・丸山昇一登場『処刑遊戯』/優作の新次元──
『野獣死すべし』/テレビでも燃えさかる仙元×村川/新たな
アクション・スターを求めて──『薔薇の標的』『獣たちの熱
い眠り』
助手たちは語る①
第5章 角川映画のヒロインたちとともに
〝聖少女〟との遭遇──『セーラー服と機関銃』/少女からの
成長──『探偵物語』/ヒロインの休日──『里見八犬伝』/
本格女優への脱皮──『Wの悲劇』/大人たちを虜にした少女
──『愛情物語』/繊細な少女の物語──『早春物語』/大人
と子供の狭間に──『恋人たちの時刻』
助手たちは語る②
第6章 風雲児・角川春樹との仕事
監督・角川春樹との初タッグ──『汚れた英雄』/角川春樹、
一流へのこだわり/角川事務所十周年記念作──『キャバレー』
/『天と地と』の幻/突然の逮捕、そして映画界復帰──『時
をかける少女』/角川春樹、崖っぷちの闘い──『笑う警官』
助手たちは語る③
第7章 巨匠・名匠たちとの仕事
深作欣二のタフでハードな深夜作業──『里見八犬伝』/工藤
栄一との出会い──『ヨコハマBJブルース』/異色のテレフ
ィーチャー──『死の断崖』/エキセントリックなアウトロー
刑事──『野獣刑事』/〝しょっぱい〟苦杯をなめた『ウォー
タームーン』/澤井信一郎との仕事──『めぞん一刻』/黒澤
満悲願の企画──『ラブ・ストーリーを君に』/澤井との初の
時代劇──『福沢諭吉』/アクションの巨匠・舛田利雄との初
映画──『この愛の物語』/新世代の才能・森田芳光との初タ
ッグ──『愛と平成の色男』/文芸作品で本領発揮──『キッ
チン』
助手たちは語る④
第8章 映画監督松田優作との仕事──『ア・ホーマンス』そして突然の別れ
因縁の企画──『ア・ホーマンス』/優作との突然の別れ──
そしてオマージュ『女がいちばん似合う職業』/盟友への挽歌
──『SOUL RED 松田優作』
助手たちは語る⑤
第9章 異業種監督たちとの仕事
テレビドラマ畑の人々との本格セッション──『いこかもどろ
か』/舞台の才能と激突──『ジュリエット・ゲーム』/CM
の鬼才に感嘆──『バカヤロー!3 へん0 0 な奴ら』/若き異能
監督を応援──『凶気の桜』/名優、唯一のメガホン──『や
くざの詩 OKITE』
助手たちは語る⑥
第10章 九〇年代、Vシネマの時代
東映Vシネマ始動──『狙撃 THE SHOOTIST』/人気シリ
ーズ『静かなるドン』/Vシネマの変遷、ジャンルと予算/ア
クションの新たな担い手・きうちかずひろ登場/きうち&仙元、
新たな進撃──『鉄と鉛 STEEL&LEAD』『共犯者』/舘ひ
ろし主演の劇場映画たち/Vシネマの落日
助手たちは語る⑦
第11章 二〇〇〇年代の仕事と『あぶない刑事』
久々の大アクション──『西部警察SPECIAL』/ジャニ
ーズ映画『フライ,ダディ,フライ』/女性が活躍する現場
──『TANNKA 短歌』/VTRとフィルムと──『白虎
隊』『行きずりの街』/晩年のライフワーク──映画『あぶな
い刑事』シリーズ/復活、そして最後のチャレンジ──『さら
ば あぶない刑事』
助手たちは語る⑧
終章 さらば 仙元誠三
恩人・黒澤満への想い/疾走し続けた六十二年
助手たちは語る⑨
仙元誠三撮影作品リスト
あとがきにかえて
索引(人名・映画題名)