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ザ・バンドの師匠/ロカビリー界のレジェンド ロニー・ホーキンス死去、ロビー・ロバートソン追悼文発表

2022/05/30 18:37掲載
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Ronnie Hawkins and Robbie Robertson, photo by Michael Ochs Archives/Getty Images
Ronnie Hawkins and Robbie Robertson, photo by Michael Ochs Archives/Getty Images
後にザ・バンド(The Band)と進化するザ・ホークスがバックバンドをしていたことでも知られる、ロカビリー界のレジェンド/50年代最高のロックンローラーのひとり、ロニー・ホーキンス(Ronnie Hawkins)が死去。ホーキンスの妻ワンダがカナダのCBCに語ったところによると、ホーキンスは長い闘病生活の末、5月29日に亡くなっています。ロニー・ホーキンスは87歳でした。

ロニー・ホーキンスは1935年に米アーカンソー州ハンツビルで生まれ、幼少の頃に家族でノースカロライナ州のフェイエットビルに移住。彼は10代の頃、結成したザ・ホークスで地元のバーに出演するようになる。このバンドには地元のドラマーであるリヴォン・ヘルム(Levon Helm)も参加していた。ザ・ホークスは1958年にカナダ・ツアーを開始し、その後、活動の中心をカナダに移す。

カナダでの活動に参加したのはリヴォン・ヘルムだけで、ホーキンスは現地カナダの若者をメンバーに加入させる。その際集まったメンバーが、ギターのロビー・ロバートソン、ベースのリック・ダンコ、ピアノのリチャード・マニュエル、ガース・ハドソンだった。ザ・ホークスは1963年までホーキンスのバックバンドとして活動した後に独立。彼らは、1967年にボブ・ディランのバック・バンドとして抜擢されることとなり、その後、バンド名をザ・バンドとした。

ホーキンス自身は、1959年にチャック・ベリーのカヴァーがカナダのトップ10ヒットとなり、その後10年間に他のヒット曲も発表した。また、後にジャニス・ジョプリンのバック・バンドであるフル・ティルト・ブギー・バンドに参加することになるジョン・ティルやリチャード・ベル、ソロ活動で成功を収めたギタリストのパット・トラヴァースなど、他のミュージシャンの指導も続けた。

1975年、ホーキンスはディランの疑似ドキュメンタリー映画『レナルド&クララ』でボブ・ディランの役を演じた。そして翌年、彼はザ・バンドのお別れ公演のステージに参加するミュージシャンの1人となり、1963年にザ・ホークスと録音したボ・ディドリーの「Who Do You Love?」を演奏した。この演奏はマーティン・スコセッシ監督のドキュメンタリー映画『ラスト・ワルツ』でも紹介された。

2002年、ホーキンスはカナダのウォーク・オブ・フェイムに、その2年後にはカナダ音楽業界の殿堂入りを果たした。

ロニー・ホーキンスの訃報を受け、ザ・バンドのロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)は、自身のSNSアカウントにてホーキンスを追悼しています。

「“ザ・ホーク”が夕日の中に飛んで行ったと聞いて、僕の心は沈んだ。

ザ・バンドの物語はロニー・ホーキンスから始まった。彼は我々の良き指導者だった。彼は僕たちにロードのルールを教えてくれた。

ロニー・ホーキンスは僕が16歳の時にカナダからミシシッピーのデルタ地帯に連れてきてくれた。彼は僕が書いた2曲を録音して、僕に才能があるかもしれないと思った。彼は僕にギターとベースを試してみたが、唯一の問題は、彼らがツアーで回るクラブで演奏するには僕は若すぎたこと、経験が浅すぎたこと、まだ十分なミュージシャンではなかったこと、そして南部のロックンロール・バンドにカナダ人はいないことだった。でも、僕は指から血が出るほど練習し、彼はすべての困難を乗り越えて僕を雇ってくれた。

ロンは、自分のグループには常に一流のプレーヤーがいることを誇りにしていた。ザ・ホークスのドラマーだったリヴォン・ヘルムと僕は、ベースとボーカルのリック・ダンコ、ピアノとボーカルのリチャード・マニュエル、オルガンとサックスのガース・ハドソンを雇うようにロンを説得した。リヴォンと僕とで、これが魔法の組み合わせになった。

ロニーはゴッドファーザーだった。すべてを実現させたのは彼だ。

彼は、僕たちに夜中まで絶えずリハーサルをさせた。僕たちは嫌々ながら、どんどん良くなっていった。それを知っているかどうかに関係なく、僕らのゴールはそこだった。

ザ・ホークスがロンから離れて独立した後、僕たちはボブ・ディランと合流した。次はザ・ホークスがザ・バンドになって、あとはみんなが知る歴史になった。

すべてはロニー・ホーキンスから始まった。

彼は偉大なアーティストであり、とてつもないパフォーマーであり、バンドリーダーであっただけでなく、比類なきユーモアのスタイルを持っていた。笑いのツボを押さえた、まったくユニークな人だった。そう、神様はこういう人を一人しか作らなかったんだ。そして、彼は永遠に僕たちの心の中に生き続けるだろう。

彼のご家族に深く哀悼の意を表します。

彼の魂に祝福を」