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インド音楽のレジェンド、サントゥール奏者シヴ・クマール・シャルマ死去

2022/05/11 13:25掲載
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Shiv Kumar Sharma - Prasad Gori/Hindustan Times/Getty Images
Shiv Kumar Sharma - Prasad Gori/Hindustan Times/Getty Images
ハンマー・ダルシマーに似た打弦楽器サントゥールの第一人者である、インドの音楽家・作曲家のシヴ・クマール・シャルマ(Shiv Kumar Sharma)が死去。インドのメディアや米ラジオ局NPRによると、5月10日、ムンバイの自宅で心臓発作のため亡くなっています。84歳でした。

インドのナレンドラ・モディ首相は「シヴ・クマール・シャルマの死によって我々の文化界はより貧しくなった」と追悼の意を表しています。

シヴ・クマール・シャルマは1938年1月、カシミール地方のジャンムーで生まれる。父は著名な宮廷音楽家であったウマー・ドゥット・シャルマ。

父親はもともと息子に声楽とタブラの演奏をさせていましたが、後にカシミールの宗教音楽であるスーフィアーナ・ムースィーキーの伴奏楽器として演奏されていたサントゥールを与える。1955年、17歳のシヴ・クマール・シャルマは、ムンバイで開かれたクラシック音楽のコンサートでサントゥールを演奏し、デビューを飾った。

その後数十年にわたり、シャルマはサントゥールの名手として不動の地位を築き、息子もサントゥール奏者となり、1990年代以降、しばしば共演を果たした。

シャルマは頻繁に世界ツアーを行い、日本公演も行った。

また作曲家として、彼の作曲パートナーであるフルート奏者のハリプラサード・チャウラシアとともに、ボリウッド映画の音楽を書き、愛されていた。

1967年、ギタリストのブリジ・ブシャン・カブラと組んだ『Call of the Valley』というアルバムは、インド国内だけでなく、ジョージ・ハリスンなど、当時ヒンドゥスターニー(北インド)古典音楽に恋していた欧米のロックミュージシャンたちの間でもヒットした。

1986年にはサンギータ・ナータク・アカデミー賞(インドの国立音楽・舞踏・演劇アカデミーが舞台芸術家に与える最高賞)、1991年にはパドマ・シュリ勲章(インドの民間人に贈られる四番目に格式がある勲章)、2001年にはパドマ・ヴィブーシャン勲章(インドの民間人に贈られる二番目に格式がある勲章)など、シャルマは本国で数々の栄誉に輝いている。