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紙のように薄いスピーカー登場 マサチューセッツ工科大学開発 デモ映像公開

2022/05/07 19:33掲載
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MIT paper-thin loudspeaker
MIT paper-thin loudspeaker
マサチューセッツ工科大学の研究者たちは、紙のように薄いスピーカーを開発。この薄膜スピーカーは、従来のスピーカーに必要なエネルギーの数分の一程度で、歪みの少ない音を生成することができるという。研究チームはデモ映像を公開。実演した手のひらサイズのスピーカーは10セント硬貨ほどの重さ(約2グラム/一円玉2枚程度)で、フィルムがどのような表面に接着されていても高音質な音を発生させることができるという。

MIT.nanoのディレクターで、この論文の主執筆者のVladimir Bulovicは「細長い紙のようなものに2つのクリップをつけ、パソコンのヘッドホン端子に差し込むと、そこから音が鳴り始めるというのは、とても不思議な感覚です。どこでも使えるし、わずかな電力で動作します」と述べています。



研究者たちは、この薄膜スピーカーの活用例として、自動車の車内に使ったり、部屋の壁紙を覆うほどの大きな超薄型スピーカーを作ったり、劇場やテーマパークの乗り物の中で立体音響を楽しむなど没入型のエンターテインメントに利用したり、騒がしい環境において2つの音が互いに打ち消し合うノイズキャンセリングとして利用したりすることができると紹介。また、軽量で消費電力が少ないため、バッテリー駆動時間が限られるスマートデバイスへの応用にも適していると説明しています。

ヘッドホンやオーディオシステムに見られる一般的なスピーカーは、電流が入力され、コイル状のワイヤーを通過することで磁界が発生し、スピーカー膜を動かし、その上の空気を動かして音を出します。これに対し、新しいスピーカーは、電圧をかけると動く圧電体の薄膜を使うことで、スピーカーの設計を簡素化し、その上にある空気を動かして音を出しています。

研究者は将来的に「壁や自動車、航空機の内装を覆う壁紙のように、大量に製造することができる」と語っています。