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ポリスのアンディ・サマーズ さまざまなテーマについて語る

2022/03/17 15:55掲載
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Andy Summers
Andy Summers
ポリス(The Police)アンディ・サマーズは(Andy Summers)、さまざまなテーマについて語っています。Total Guitar誌企画。

「音楽のインスピレーションは、さまざまな形でもたらされる」「即興は貴重なスキル」「音楽を演奏することは贈り物」「同じ(音楽的な)ページを持つ人たちと一緒に仕事をするのは助けになる」「曲を進化させ、それにこだわる」「トリオ」「毎日演奏する - できればドラマーと一緒に...」「本当に良いものを作るには、ハイリスクな選択をする必要がある」

●音楽のインスピレーションは、さまざまな形でもたらされる

「ロンドンのメイフェア・ギャラリーで写真展を開催しているんだけど、人々が作品を見ている間に、くだらないラジオ番組が流れているのではなく、何か音楽を作りたいと思ったことがきっかけで、(最新ソロ・アルバム)『Harmonics of the Night』が生まれたんだ。

TCエレクトロニックのBrainwaves Pitch Shifterという小さなペダルを手に入れたんだけど、これが素晴らしいんだ。ある音を弾くと、その音を使った別の音が鳴るというのがあるんだ。僕はスタジオで、“A Certain Strangeness”と名付けた20分間のワンテイク・インプロヴィゼーションを思いついた。本当にインスピレーションを受けた瞬間だった。この曲は、展示期間中、ループ再生され、アルバムの他の部分の音楽を促す。ギターの室内楽のようで、とても気に入っているんだ」

●即興は貴重なスキル

「僕は即興演奏家だ。ウェス・モンゴメリーやケニー・バレル、ジミー・レイニー、マイルス、ミンガスに影響されてジャズギターを弾いて育ったんだ、ポップミュージックではなく、それが僕のバックグラウンドだよ。ポップミュージックではなく、そういうバックグラウンドを持っている。その過程でいろいろなことを学んでいくわけだけど、僕には間違いなくそのスキルがあった。16歳のときには、モンゴメリーの“West Coast Blues”のソロを全部弾けるようになっていた。

レコードをスローにして、全部聞き取れるようになるまで、音符を聞き取ろうとしたんだ。そういうのって、魂に染み込んで、一生残るんだよ。ポリスの初期には、即興演奏がたくさんあった。全部決まっていると思われがちだけど、そうではなく、自分たちで作り上げていくようなものだったんだ。常に自分たちを成長させ、自分たちの才能がどこまで通用するのかを見極めていたんだ。

サウンドチェックでは、音さえ良ければ、“Roxanne”や他の曲のリハーサルをする必要はなかったんだ。ただジャムるだけで、そこから何かが生まれることもあったし、またアイディアを出して、それを発展させることもあった。僕たちはアルバムの制作は本当に早く、1年間もスタジオにこもって作業することはなかった。アルバム制作に2年かかるバンドもいるけど、“なんで? 俺たちのは5日でできてしまうのに!”って思ってた」

●音楽を演奏することは贈り物

「時折、“音楽をやらずにどうやって生きていくんだ!”と驚かれることがある。もちろん、そうしている人もいるけど、僕の場合、10歳のときに初めてギターを手にしたとき、すぐにその気になった。ギタリストになる以外のことを考えたことはなかった。

子供の頃から5年間ピアノを弾いていたので楽譜を読むのは慣れていたし、最終的にはカリフォルニアの大学に進学して、4年間の音楽専攻課程を行った。でも、絶対にギタリストになりたかったんだ。それが僕であり、僕らしさなんだ」

●同じ(音楽的な)ページを持つ人たちと一緒に仕事をするのは助けになる

「スティングと僕は、ほとんど同じバックグラウンドを持っている。2人とも、ビートルズやブルースを聴きながら、ポップミュージックとともに育ち、ブラジル音楽も好きだった。彼はクラシックギターを少し弾いていたし、僕はクラシックギターを何年も弾いてからエレクトリックに戻ったところだったから、彼が好きなヴィラ=ロボス、バッハ、ソルなど、いろいろなものを弾くことができたんだ。

ポリスの音楽は、これらすべてがミックスされたものになった。要はロックバンドなんだけど、それにもっと洗練されたハーモニーを重ねることができるんだ。スティングはその上に歌うことができた。彼の耳はとてもいいし、声もいい。

2人ともマイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』を500万回くらい聴いていたので、僕が“Walking on the Moon”でDm11を弾いても彼は動じなかった。スティングの高い声、彼の耳、そしてこういったコードチェンジを即興で行う能力、そして僕がそういったものをすべて演奏できるという組み合わせによって、他のバンドとは明らかに異なるサウンドを生み出していたんだ。その時点で、僕はかなり教養のあるギタリストだったんだよ」

●曲を進化させ、それにこだわる

「スティングのソングライターしての功績は大きいけど、これらの曲の始まりは、レコードの中で起こったこととは全く違うものだった。スチュワート(コープランド)のユニークなドラミング・スタイル、僕のハーモニーへのアプローチ、そしてスティングの能力によって、僕たち3人が一緒に演奏することで変容したんだ。

人々が買ってくれたのは、僕たち3人のサウンドと演奏方法、このような頭の回転の速い、酔わせるような組み合わせだった。ある意味、僕たちはアンチ・パンク的な存在だった。当時はパンクが大流行していたので、あまりライヴはできなかったんだ。でも、僕たちは頑張ったし、あとは歴史通りだ」

●スリーズ・カンパニー

「トリオは僕にとって最高のフォーマットで、今でも好んで演奏しているよ。キーボードがいると、キーボードとギターがピッチ的に同じ場所にいて、お互いに邪魔になることがあるんだ。

ポリスで演奏していて好きだったことのひとつは、ずっとギターだけだったということ。でも、そのためには僕のような存在が必要だったんだ。僕にとっての現実的な懸念は、1時間半のステージで、どの曲も同じようなバレー・コードにならないようにするにはどうしたらいいか?ということだった。

エコー、コーラス、異なるコード・ヴォイシングなど、いろいろな駆使して、観客が楽しめるように、そして、どの曲にも明確な特徴を持たせるようにしなければならない。それは、生来の原始的な才能と、それを考えたり知的化したりすること、そしてもちろん音楽を演奏できる人であることの奇妙な組み合わせなんだ」

●毎日演奏する - できればドラマーと一緒に...

「僕はどこにでもギターを置いていて、毎日演奏している。いろいろなことを学び、常に前進している。時にはメトロノームを使って演奏することもあるけどが、最近は週に5回、息子(アントン)と一緒に演奏している。彼はとてもいいドラマーなんだ。その結果、僕の頭に影響を与えたのは驚くべきことだよ。僕を研ぎ澄ましてくれるんだ。ただ漠然と曲を作るのではなく、きちんと曲を覚えるようになったからね。

セロニアス・モンクやミンガス、それに自分の曲など、今、大全集にまとめようとしている曲もあるんだ。バンドをやっているようなものだけど、ベーシストがいないんだ。今、足りないのは外で演奏することだけだ」

●本当に良いものを作るには、ハイリスクな選択をする必要がある。

「僕が子供の頃、iPhoneや5万チャンネルもあるテレビがなくて本当によかった。今の時代、気を散らすものが多すぎて、純粋なミュージシャンとしての道を歩むことは、子供たちにとってとても難しいことなんだ。ライヴをしたり、クラブで演奏したり、アルバムの印税をもらったりするような生涯を送ることはできないでしょう。

今はソーシャルメディアについて、より多くの人に見てもらうためにはどうしたらいいか、考えなければならない。でも、それでもお金は稼げない。ご存知のように、アルバム販売から得られるお金はもうないからね。でも、好きだからこそ、本当に好きだからこそ、やらなければいけないんだ。

すべてが本物でなければならないし、自分の気持ち、自分の経験でなければならない。他の人になろうとした途端、うまくいかなくなるんだ。やりたくないことはやったことがないし、それはポリスでも同じ。お金のためにやったことはない。いつもアートを作るためにやっていたんだ。僕の人生は音楽に捧げられてきた。それはいつも僕を導いてくれるものだったんだ」