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ジャック・ホワイト、レコードの空前の需要に対応するために大手レコード会社に自社でプレス工場を建設するように求める公開書簡発表

2022/03/15 12:26掲載
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A Plea to the Three Global Major Labels from Jack White
A Plea to the Three Global Major Labels from Jack White
ジャック・ホワイト(Jack White)は、アナログ・レコードの爆発的な需要の高まりに対応するために、大手レコード会社に対し、自社でレコード・プレス工場を建設するように求める公開書簡とビデオを発表しています。

ホワイトはThird Man Recordsの創業者で、Third Man Recordsは現在、独自のレコード・プレス工場を持っています。近年では、メジャーなアーティストがThird Manと提携し、レコードをリリースしています。

ホワイトは公開書簡の中で、特にワーナー・ブラザーズ、ユニバーサル、ソニーといったメジャー・レーベルを挙げて、レコードの空前の需要に供給が追いつかないという今の状況は、工場を追加すれば対応できると主張しています。

以下、公開書簡より

「週に一度は必ずと言っていいほど、誰かが僕に“レコード盤の製造を早める手助けをしてほしい”と連絡してくる。プレス工場を持ち、自分のレコードレーベルも持っている僕のことを“もし誰か助けてくれる人がいたら、この男だ!”と思うのは自然なことです。

レコード業界全体の納期は、現在、人間の妊娠期間とほぼ同じで、シングル、アルバム、ツアーなど、その時々のタイミングが重要なこの世界では、この納期は、勢いや魂、芸術的表現、そしてあまりにも頻繁の場合、生計を立てるための命取りになることは明らかです。

僕は、自分の力の及ぶ限り、あらゆる手を尽くしてきました。Third Man Recordsは2009年、その幅広い可能性を音楽業界の隅々にまで広げたいと考えて、レコードに集中的に取り組み始めました。2017年には(プレス工場の)Third Man Pressingをオープンすることで、僕の取り組みはさらに強化しました...この工場は、ベッドルームのヒップホップのアーティストからフィールドレコーディングのドキュメンタリー作家まで、レコードをプレスしたいと思っている人たちに常にドアは開かれています。昨年、僕はさらに多くをレコード・プレスに投資し、それを動かす従業員も増やし、シフトも増やして、レコード製品への異常なまでの需要の高まりに対応しようとしてきました。

Third Manにとって、それは良いことではないのか?と言う人もいるでしょう。需要に対応しきれないほどなのか?という声も聞こえてきそうですが、短期的にはThird Manにメリットがあっても、長期的には、ボトルネック(需要と供給の不一致)や遅延を考えると、最終的にはレコードのエコシステムに関わるすべての人が損害を被ることになります。これは何とかしなければなりません。

過去10年間のレコードへの投資や枠組みは、すべて独立した企業や投資家から生まれたもので、僕たちが今見ている大きな問題は、大きな解決策を必要とするものなのです。

そこで、ソニー、ユニバーサル、ワーナーという音楽界の大先輩にお願いしたいのですが、このような状況を打開するために、ぜひとも、プレス工場の建設に力を注いでいただきたいのです。

はっきりさせておきたいのは、この問題は大手レーベル対中小レーベルでもなく、インディペンデント対メインストリームでもなく、パンク対ポップスでもない。問題は、レコードに対する空前の需要に、初歩的な供給が追いつかないという環境を、私たち全員が作り出してしまったことなのです。

現在、世界中に数多くの新しい企業が、自動と手動の両方のビニールプレス機を製造しています。この40年間で、最も簡単にレコードプレスを購入することができるようになったのです。そして、日々、業界のあらゆる面を進歩させる補助的なイノベーターが現れており、これを決断するのは難しいことではありません。簡単のことなのです。

僕たちは皆、同じ目標を持った同じチームの一員なのです。僕たちをここまで育ててくれたインフラに誠実に投資することで、この上昇気流に乗り続け、周りの世界にさらなる感動を与えることができると、僕は心から信じています。今がその時です。ありがとうございました」