The Jimi Hendrix Experience (Image credit: Hulton Archive/Getty Images)
ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)の遺産を管理するエステートが、
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(The Jimi Hendrix Experience)の他の2人のメンバーである
ノエル・レディング(Noel Redding)と
ミッチ・ミッチェル(Mitch Mitchell)のエステートに対して訴訟を起こした数週間後、レディングとミッチェルのエステートは、ソニー・ミュージックエンタテインメントに対してストリーミング・ロイヤルティをめぐって訴訟を起こしました。
米ビルボード誌によると、レディングとミッチェルのエステートは、2月4日にロンドンの高等司法裁判所にソニー・ミュージックエンタテインメントを相手取った新たな訴訟を起こしています。
この2つの訴訟で問題となっているのは、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが生み出した音楽の権利です。ヘンドリックスのエステートは、ヘンドリックスが1970年に亡くなった直後に、レディングとミッチェルが権利を放棄する契約をしたとしていますが、レディングとミッチェルの相続人たちは、これらの契約には欠陥があり、数百万ドルのロイヤルティを支払うべきだとしています。
事の発端は、ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスの楽曲を配信しているソニー・ミュージックが2021年12月に英国の弁護士ローレンス・エイブラムソンから受け取った手紙でした。
そこでは、ソニー・ミュージックはジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス楽曲の約30億回のストリーミングに対するパフォーマンス・ロイヤルティをレディング家とミッチェル家に支払う義務があると主張しています。
補償額の金額を記載していないものの、「このようなストリーミングの数字と売上は数百万ポンドになると推定される」と指摘しています。
また、脅しもかけていました。「この手紙を無視すると、依頼人があなたに対して訴訟を開始する可能性があり、あなたの費用負担が増えるかもしれません」
これに対し、Experience Hendrix, LLCとソニーの代理人であるドロシー・ウェーバー弁護士は、1月18日にニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に訴訟を提起しています。
訴状には「被告ら(ミッチェル家とレディング家)の訴訟の脅しは、原告(ヘンドリックス家とソニー・ミュージック)側に現実的かつ合理的な責任の不安を抱かせた」と書かれています。
ウェーバーの訴えによると、レディングとミッチェルはそれぞれ1973年と1974年に、ヘンドリックスのエステートを法的請求から解放し、将来的にもエステートを訴えないことに同意する文書に署名したという。2人のミュージシャンは、これらにサインすることで報酬を得たとされています。しかし、レディングとミッチェルの両エステートは、これらの文書にはもはや拘束力がないと主張しています。
基本的に、ヘンドリックスのエステートとソニー・ミュージックは、金銭の支払い義務はないこと、両者は過去のいかなる法的契約や契約にも違反していないこと、1973年と1974年にレディングとミッチェルが署名した文書はまだ有効であることについて、裁判官の判断を求めています。
1970年9月のヘンドリックスの死後、彼の財産は父親であるジェームズ・アレン・ヘンドリックスが相続し、娘のジャニーと共にExperience Hendrix, LLCを設立しました。2002年にジェームズ・アレン・ヘンドリックスが亡くなってからは、ジャニーが遺産を管理しています。
2003年にレディングが亡くなると、彼はパートナーのデボラ・マクノートンに財産を残し、彼女が亡くなると姉妹たちに財産を渡しました。2008年にミッチェルが亡くなると、娘のアイシャに財産を残しました。
レディングとミッチェルのエステートを代表する弁護士は、2人のミュージシャンが「作品、パフォーマンス、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの創設メンバーとしての活動から得られる真の権利を得られないまま、相対的な貧困の中で亡くなった」と主張しています。
ウェバーの訴訟では「レディングもミッチェルも、録音物の所有権やその他の演奏者の権利を主張したことはありません」と反論しています。