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米国でCDは復活したのか? インディーズ・レコード店やZ世代のリスナーが証言 米Pitchfork特集

2022/02/04 16:33掲載(Last Update:2022/02/04 16:37)
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CD
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米国では2021年、CDの売り上げが2004年以来初めて増加しました(MRC Data社データより)。増加率はわずか1%程度でしたので、「CDの復活」を宣言するのは、当然のことながら議論を呼ぶことになりますが、米Pitchforkによると、インディーズのレコード店は、CDの売り上げは確かに増加していると言っており、またZ世代の音楽ファンの中にはCDへの愛情を喜んで語ってくれる人もいるという。

世界最大のCD・レコード取引サイト「Discogs」の広報担当者によると、2021年のCD販売枚数は370万枚(8.8%増)で、2022年も順調に伸びているという。パンデミックの最初の年はさらに大きかったそうで、2020年、「Discogs」のCDの売上は37%増の340万枚、レコードは41%増の1,200万枚に達しました。少なくとも、このレコードコレクターの主要な拠点では、CDは復活しているようです。

レコード店も同様に、CDに対する楽観的な見方をしています。

ニューイングランドにある個人経営の音楽チェーン店「Newbury Comics」ではCDの売り上げが15%ほど増加しているという。同店のCD売上の70%はK-POPの作品とのこと。また、テイラー・スウィフトのアルバムはすべて前年の2〜5倍の売り上げを記録しており、カニエ・ウェスト、アリアナ・グランデ、マイ・ケミカル・ロマンス、ザ・ストロークスなどの有名アーティストも同様に売り上げを伸ばしているという。

他のレコード店でも同様で、メイン州ポートランドを拠点とするインディーズ・チェーンの「Bull Moose」では、2021年、新品と中古のCDの売上が20%増加したという。CFOのブル・ムーアは「1%の伸びを否定すべきではない。ここ数年の落ち込みを考えると、これは非常に大きなことだよ」と言っています。

カリフォルニアに拠点を置く独立系音楽チェーン「Amoeba Music」の共同オーナーであるジム・ヘンダーソンは、中古CDの価格が急落したことで、名盤が4〜5ドルという低価格で入手できるようになったことを指摘します。「Amoebaでは、CDへの関心が急激に低下したことはありませんでしたが、レコードにスポットライトが移っていく中で、何年かは低迷していました。ストリーミングやレコードの売上が急増したパンデミックのロックダウン期間を経て、これまで以上に関心が薄れるだろうと予想していましたが。しかし、実際にはそのようなことにはなりませんでした」

Z世代にもCDの信奉者がいます。

ニューヨーク大学2年生のアンドレア・カチョー(20歳)は、自分と友人は「CDの波に乗っている」と話しています。彼女が初めてCDを買ったのは1年前で、ニューヨークのインディー・ロック・バンド、New Wet Kojakの1995年のデビュー作の中古盤でした。今では、パンク、メタル、スクリーモ、ポップス、クリスチャン・ミュージックなど、62枚のCDを持っています。彼女は、グリニッチビレッジにあるGeneration Recordsの中古品売り場で、25セント程度でディスクを購入しているという。「YouTubeやSpotifyで音楽を見つけることに飽きていたのよ。驚きが欲しかったんの」と話しています。

カチョーは音楽を聴くために、まずウォルマートで安価なウォークマンを購入し、次にCDプレーヤー付きのスタッドベーカーのラジオにアップグレードしました。「CDを買い始めた友人のほとんどは、CDを再生する手段を持っていません」と彼女は笑う。「だから時々、“君のラジオを使わせてよ”と言われるんです」。

カチョーは、今の時代にCDがどのようにフィットするかについて「それは間違いなく、2000年のトレンドと関係があると思う」と言っています。

デトロイトのノースウェスタン大学に通う21歳のジャネア・ウィルソンは、CDが仲間内で人気を集めているのは、CDの全盛期の時代が再び流行しているからだと考えています。

「90年代後半から2000年代前半にかけてのノスタルジーが、今、とても流行っているのよ。もしかしたら、CDケースを持ち歩く時代になるかもしれないわね」

テキサス大学アーリントン校に通う22歳の学生、ペイトン・セラーズは、すでにその時を迎えています。学内のラジオ番組の司会者である彼女は、400枚のディスクコレクションについて、「私はいつも3つの大きなケースいっぱいのCDを持っていて、学業や家事をするときはもちろん、ベッドに寝転がってスピーカーから流れる音楽の音を楽しむとき、いつも再生しています」と語っています。

ローレンス大学3年生のサラ・マシューズ(20歳)は、2021年2月に学生向け新聞「Lawrentian」に、パンデミックの際に子供時代のCDから得られる安らぎについての記事を書きました。この記事を書いたのは、キャンパスでの生活を再開したものの、すべての授業がオンラインで行われていたときだったそうで、「本当に孤立した感覚でした」と彼女は説明しています。「生活のすべてがバーチャルなものになってしまうと、Spotifyを見るのでさえ疲れる作業に思えてしまうのです」。マシューズはCDをあまり持っていませんが、彼女は、同世代の人たちがCDを愛するのはファッション性だけではないと述べています。「私たちの世代は、かっこいいから買うのではなく、ヴィンテージやノスタルジックなものが好きなのです。みんな本当にCDが好きなんです」。

ノースウェスタン大学の4年生であるウィルソンは、CDを「中間的なメディア」と呼んでいます。ストリーミングのように安価で便利なものではありませんが、レコードを収集して聴くこととは異なるものです。彼女が持っているCDは10枚ほどですが、そのうちの2枚は2019年の『Pacific Breeze』のような日本のシティ・ポップのコンピレーションです。「自分ではとてもできないようなキュレーションになっています。世界で最もCDが好きな国、日本へのオマージュにふさわしい作品よね」と述べています。

ポップカルチャーのノスタルジーは約20年周期であるという定説から、技術が進歩しても、CDのカムバックは今頃起こるだろうと言われてきました。自分たちが子供の頃にはほとんど存在しなかったものを、世代を超えて思い出すことには、特有の新しさがあります。