エリック・クラプトン(Eric Clapton)の弁護士が、ブートレグCDをeBayで売ろうとしたドイツ人女性を訴えてから数日後、「誤解を招くような報道が広まっている」として、クラプトンのマネージメントがこの件について説明する声明を発表しています。
この件は、ドイツの新聞Bildがまず報じました。報道によると、ガブリエレ・Pと名乗る55歳の女性が『Live USA』と題されたブートレグCDをeBayで9.95ユーロ(約1280円)で出品したとしてエリック・クラプトンに訴えられたとのこと。この女性は、この『Live USA』は、ガブリエルの亡き夫が30年以上前の1987年に有名デパートで購入したものだと主張。クラプトンはこの訴訟に出廷しませんでしたが、このCDの録音が違法であることを確認する宣誓書を送りました。
ドイツのデュッセルドルフ地方裁判所は12月15日にクラプトンを支持し、CDの販売を禁止しました。裁判所は、ガブリエルが最初に自分でこのCDを購入したわけでもなく、eBayに出品した時点でブートレグであることを知っていたわけでもないという事実は重要ではないとしています。報道によると、ガブリエルは自分とクラプトンの裁判費用を支払わなければならず、その額は約4,000ドル(約45万円)になると言われています。また、もしこのまま、このCDの販売を続けた場合、25万ユーロ(約3219万円)の罰金、または6ヶ月の実刑判決を受ける可能性があるとも報じられています
クラプトンのマネージメントが発表した声明文は以下の通りです。
ドイツの女性が関与した最近のブートレグ事件について、誤解を招くような報道がなされていますので、以下の通りご説明いたします。
ドイツは、無許可で品質の悪い違法なブートレグCDの販売が横行しているいくつかの国の一つであり、それは業界と粗悪品を購入した人の双方に損害を与えています。 エリック・クラプトンをはじめとする多くの著名なアーティストやレコード会社から選任されたドイツの弁護士は、10年以上にわたり、通常の著作権手続きに基づいて何千ものブートレグの訴訟を成功させてきました。
これは、自分のコレクションからCDを販売している個人をターゲットにするのではなく、違法コピーを製造して販売している活発な海賊版業者を対象としています。個人が自分のコレクションから無許可の商品を販売している場合、「停止命令」の手紙を受け取った後に問題のある商品を取り下げれば、費用は最小限に抑えられるか、あるいは免除される可能性があります。
エリック・クラプトンの弁護士とマネジメントチーム (エリック個人ではなく)は、販売されている商品が違法であるかどうかを確認し、それを確認する宣言書に署名しますが、その後エリック・クラプトンは個々のケースには関与せず、95%のケースは裁判所に行く前に解決されます。
今回のケースは、最小限のコストで迅速に解決できたはずですが、残念なことに、ドイツ人弁護士が最初に出した標準的な手紙に対する本人からの回答には「要求を主張するならば、遠慮なく訴訟を起こしてください」という文言が含まれていました。これが標準的な法的手続きの次のステップのきっかけとなり、裁判所は最初の差し止め命令を出しました。
もしこの人が最初の手紙に従っていれば、費用は最小限で済んだはずです。最初に弁護士に電話や手紙で事実関係をすべて説明していれば、申し立ては放棄され、費用もかからなかったかもしれません。
しかし、その人は弁護士を選任し、差止命令の決定に不服を申し立てました。裁判官は、費用を節約するために控訴を取り下げるように勧めましたが、彼女は控訴しました。控訴は失敗に終わり、本人は裁判所と関係者全員の費用を支払うよう命じられました。
しかし、この事件の全容が明らかになり、この人物がエリック・クラプトンや彼のレコード会社がターゲットにしたいタイプの人物ではないことが明らかになったため、エリック・クラプトンはこれ以上の行動を起こさないことを決定し、裁判所が彼に与えた費用を回収するつもりはありません。また、本人がこれ以上の費用を負担しないことを望んでいます。
エリック・クラプトン・マネージメント
2021年12月22日