HOME > ニュース >

エマーソン、レイク&パーマー「悪の教典#9」をベースにしたSF映画 最新情報をカール・パーマー語る

2021/12/21 16:24掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Emerson, Lake & Palmer / Brain Salad Surgery
Emerson, Lake & Palmer / Brain Salad Surgery
エマーソン、レイク&パーマー(Emerson, Lake And Palmer)の1973年アルバム『Brain Salad Surgery(邦題:恐怖の頭脳改革)』に収録されている「Karn Evil 9(邦題:悪の教典#9)」。この約30分の大曲をベースにしたSF映画が計画されていると2020年に報道されました。この映画についての新しい情報をメンバーのカール・パーマー(Carl Palmer)がUltimate Classic Rockのインタビューの中で明らかにしています。

Q:「Karn Evil 9」の映画化についてですが、3人はどれくらいSFに興味があったのでしょうか?

「SFには全く興味がなかった。“Karn Evil 9”の元となったアルバム『Brain Salad Surgery』を制作したとき、僕たちはコンピュータの出現など今起きていることや未来に目を向け始めていた。そこで、AI(人工知能)をテーマにした歌詞を書いてみたいと考えたんだ。当時はその言葉すら使われていなかったが、僕たちは物事がそういう方向に向かっていることに気づいていた。時代の最先端を行っていたことは確かだ。

ピート・シンフィールドも大きな役割を果たしていて、この曲の歌詞を書くのを手伝ってくれた。これはとても重要なことだった。ある意味、彼が歌詞のコンセプトを考えてくれた。もちろん、音楽はバンドが担当しているけどね」

Q:「Karn Evil 9」の組曲の始まりを聞いたのはいつですか?

「音楽的には、リハーサル室で日々成長して発展していったんだ。歌詞的には、グレッグ(レイク)が一部を、ピートが一部を担当していたので、もっとゆっくりとした展開だったよ」

Q:スタジオでのレコーディングはどのように行われましたか?

「おそらく、僕たちの中で最も冒険的なレコーディングのひとつであり、最も先進的な音楽のひとつだったと思う。レコーディングのことは、あまりよく覚えていない。アドヴィジョン・スタジオだったことは覚えているよ、ここは長い間、僕たちのお気に入りだった。僕たちはここでは多くのアルバムをレコーディングした。そのスタジオで録音した最後の作品がこれだ。基本的には、最初のアルバム(4枚)と、それまでにリリースした大きなアルバムはすべて、ここでレコーディングしたんだ。あのスタジオは、僕たちにとって最も快適な場所だったんだ。もちろん、『展覧会の絵』はライヴで録音されたものなので、アドヴィジョンのおかげとは言えないけど、環境そのものが生産性を高めるのに非常に適していたんだよ」

Q:「Karn Evil 9」の映画化にあたって、どのようなことを期待していますか?

「“Karn Evil 9”の映画はね、必ずしも本格的なSF映画ではないかもしれないんだ。だから、それを鵜呑みにしない欲しいんだ。それはまさに、より多くのコンピュータが導入され、身体を使わなくなった現在の状況と同じようになるかもしれない。これは世界の多くの地域で起こっていることだよね。その点はとても重要だし、コンピュータが多くの人間よりも早く問題を解決できるという事実もある。僕たちは(様々な選択肢を)検討しているところなんだ。実は、Radar(Pictures)という会社を所有しているテッド・フィールドが関わっているんだ。彼らは最高の脚本家を探しているよ。

これまでに出てきたさまざまなアイデアや話は、僕たちが望むものとはまったく異なったものだった。今、僕たちは他にも何人かの人に会っている段階なんだけど、それについては言及したくない。彼らがどのように考えているのか、はっきりとした意見を聞くために待っているところなんだ。実際のストーリーを書くためには、外部のライターが必要だからね。

映画ではエマーソン、レイク&パーマーの音楽が使用されるよ。一部は再録音されるかもしれないし、他の音楽も映画の中で使われるかもしれない。でも、まだその段階ではないんだ。僕たちが作ったコンセプトは、物語のタイムラインの中心となるものなんだ。それをどのように表現するか、つまり完全なSFとして表現することは、僕たちにとってあまり重要ではないんだ。しかし、そこにはいくつかの要素が含まれるだろうね。今はまだ初期段階。2024年より前(の公開は)は考えていないよ」

またカール・パーマーは今年10月に、最近発掘された92年ライヴ映像を使ってエマーソン、レイク&パーマーのツアーを考えていることを明らかにしていましたが、今回のインタビューでもそれについても語っています。

Q:キースやグレッグと一緒にステージに立つことができるショーを開催するというアイデアは、現在どのような状況ですか?

「1月にもう一度検討する段階まで来ているよ。これは可能なことなんだ。オーディオはクリーンだし、映像も素晴らしい。すでにDVD化されているけど、当時は2つのレコード会社間のクロスオーバーや流通の問題で迷走していた。

実際の映像は5台のカメラで撮影されたもので、とても素晴らしいものなんだ。使用することに問題はない。また、非常に興味深いことに、グレッグがセンターステージに立ったのは、この時だけだったんだ。彼はいつもステージ左にいた。僕は中央にいて、キースは右にいた。特殊なカメラを使って、2人の素敵なショットを撮ることができたんだ。1人がスクリーンに映っているのに、遠くにキースが見えたり、その逆もあるんだ。

このような設定はしたことがなかったので、非常に珍しい時代だった。偶然にも、カメラショットやオーディオラインがとても良いものだったので、それらを使用することにしたんだ。使えそうな曲は5、6曲くらいかな」

Q:ホログラムとかいろいろありますよね。どのようにしてこのようなアイデアを思いついたのですか?

「ホログラムはすでに(他のアーティストが)やっているよね。僕はホログラムのコンサートに行ったことがあるんだけど、その時、実際に演奏している人、つまりグレッグやキースのライヴ映像があれば、ホログラムを作るよりもいいのではないかと思ったんだ。

(ホログラムは)映画館のある場所からは、あまりよく見えないんだ。前方にいると、膝から上しか見えないしね。問題が多すぎるんだよ。僕は一応、フランク・ザッパの(ホログラム)コンサートを見に行ったけどが、あれは僕が必要としているものではないと思った。誠実さが足りないし、良さも足りない。ロニー・ジェイムス・ディオのもあるけど、彼は自分自身で立っているだけなんだ。それはそれでいい。でも、彼らは僕を驚かせなかったんだ」