冷戦時代 ソ連で密かに作られた「レントゲン写真レコード」を深く掘り下げた新しい書籍『Bone Music』発売
2021/11/29 19:18掲載(Last Update:2022/09/28 20:14)
Bone Music: Soviet X-Ray Audio
冷戦時代、ソ連国民が聴くことのできる音楽は、国家によって厳しく統制されていました。しかし、音楽愛好家たちは検閲を反抗して、禁止されているジャズやロックンロールなどのレコードを、使用済みの病院のレントゲン写真を使って密かに作っていました。
この「レントゲン写真レコード(ボーン・レコード/X-Ray Records)」と呼ばれるレコードで禁断の音楽を配布していた、冷戦時代のソ連の秘密のアンダーグラウンド・サブカルチャーを深く掘り下げた新しい書籍『Bone Music: Soviet X-Ray Audio』が海外で2023年1月10日に発売される予定です。
著者はレントゲン写真レコードの歴史をまとめた書籍『X-Ray Audio: The Strange History of Soviet Music on the Bone』も手がけたStephen Coates。今回の『Bone Music』は、続編にあたるもので、音楽ファンであることが長期の懲役刑、あるいはそれ以上の罰を受ける可能性があった忘れられた時代を深く掘り下げています。
誰がこのレコードを作ったのか?なぜそんなことをしたのか、どうやってそんなことが可能だったのか。『Bone Music』では5年間かけて集められたインタビューや証言をもとに、オリジナルのレントゲン写真レコード密売者、その顧客、ミュージシャン、レコード・コレクター、コメンテーターなどの話を紹介。西洋のジャズやロックンロールはスチリャーギ(※ソ連の若者のサブカルチャー)の若者文化にとって重要でしたが、真の反抗的な音楽は、禁断のロシア移民、ジプシーのロマンス、犯罪的な曲であったことを明らかにしています。
『Bone Music』では、ソ連のレントゲン写真レコードの画像も豊富に掲載し、密造者たちがどのように仕事をしていたかを詳細に説明。レントゲン写真レコードを記録メディアの歴史の中に位置づけ、説得力のある新しい情報を豊富に提供しています。