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ティアーズ・フォー・フィアーズのカート・スミス 「僕にとって欠かせない5つのアルバム」発表

2021/11/27 19:52掲載
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Curt Smith
Curt Smith
ティアーズ・フォー・フィアーズ(Tears for Fears)カート・スミス(Curt Smith)は「僕にとって欠かせない5つのアルバム」を発表。SPIN企画

1. Welcome to My Nightmare / Alice Cooper

「コンセプト・アルバムでした。アルバムとは何なのか、じっくりと考えたのはこれが初めてだった。僕が若かった頃は、シングルを買って、後でアルバムを手に入れることもあった。アルバムは手に入れてもがっかりすることもあったけど『Welcome to My Nightmare』は初めて買ってハマったアルバムだった。今振り返ってみると、(ティアーズ・フォー・フィアーズの)“Woman in Chains”の先駆け的な曲は、『Welcome to My Nightmare』に収録されている“Only Women Bleed”で、これは天才的な曲だと思う。おそらくプロダクションのおかげだと思うけど、当時の僕はそのことに気づいていなかったと思う。発売当時、僕は13歳か14歳でした。ただ、ストーリーとしての魅力に惹かれていたし、1つのアルバムが1曲4分の曲では表現できない、より長いストーリーや大きな物語を語ることに魅力を感じていました」



2. III / Peter Gabriel

「同時期に出たアルバムが3枚あったので、選ぶのが難しかった。僕たちがレコーディングを始めたのもこの時期。ティアーズ・フォー・フィアーズは、まだ存在し始めたばかりだった。グラデュエイトというバンドをやっていて、それはライヴ・バンドで楽しかったんだけど、スタジオに入ってライヴで演奏するだけで、オーバーダビングやトラックの構築、楽器の重ね合わせなどの概念を学んでいなかったんだ。

ピーター・ガブリエルの3枚目のアルバムで、初めて(アルバムを)本格的に聴いたんだ。僕たちは、実際にレコーディングをして、音響的にどのようにアルバムを構成することができるかを理解しているところだった。

このアルバムは素晴らしいサウンドで、音楽性やソングライティングに加えて、“Family Snapshot”はアルバムの中で最も好きな曲。実際、これまでに制作された曲の中で最も好きな曲の一つなんだ。この曲には旅がある。ソフトな部分からハードな部分へ、そして子供の頃の彼の親密な部分へと変化していく。この曲のメロディはとても素晴らしいものだった。“Family Snapshots”の最後に演奏されているジョン・ギブリンのベースは、ただバスドラムの音を押さえるだけでなく、曲を演奏しているようなものだった。僕はベーシストなので、そういったことに影響を受けたのだと思う。

“Biko”は大きな影響を受けた...歌の中で明白に政治的であること、そしてあんなに感情的であることができるという事実に。“Biko”はとても素晴らしい曲だった。当時、特に僕たちの世代では政治や個人的な政治、感情を曲作りに持ち込むべきではないと言われていた。でも、僕たちはそんなことはしない。ピーター・ガブリエルのような大物がそれをやっているのを見て、安心しました。

同じ頃、トーキング・ヘッズの『Remain in Light』やデヴィッド・ボウイの『Scary Monsters』が発売された。この3枚のアルバムは、レコード制作の方法を学ぶ上で最も大きな影響を受けたので、僕は彼らを静かにまとめておきます」



3 A Walk Across the Rooftops / The Blue Nile

「1曲目の“A Walk Across the Rooftops”を聴いたときのことを覚えている。実は自宅のお風呂に入っていたんだ。この曲を聴いたとき、“うわっ、これは変わっていて面白そうだ”と思って、風呂場から立ち上がって、ペンと紙を持って、忘れないうちに誰なのかを書き留めたんだ。アルバム全体が素晴らしいよね。また、彼らはすべてを自宅で行った。作り方はとても変わっているけど、明らかにお金がかかっていなかった。

ピーター・ガブリエルのアルバムや『Remain in Light』、デヴィッド・ボウイのアルバムは、どれも大きなスタジオで制作されていて、時間もお金もかかっている。それに対して、こおそらくほとんどお金をかけずに、これほどまでに親密で、違った面白さのあるものができたことが、このアルバムの良さだと思うんだ。それに、ポール・ブキャナンの声...今でも彼は僕の好きな歌手の一人です。彼の声はとても親しみやすく、悲しいものです。アルバム全体で、彼らはこのメランコリーと殺伐とした感じを表現することができた...ある種の感覚を与えてくれるんだ。“Stay”はアルバムの中で一番好きな曲。歌詞の内容は、僕にとってとてもパワフルなものだった」



4. Swoon / Prefab Sprout

「彼らは、何回か飲んで初めておいしいと感じる、だんだんと好きになる大人の味だね。音楽的には、ちょっとしたジャミング。彼らはポップになろうとしていたけど、音楽的にはポップというよりもスティーリー・ダンに近いものがあった。コードや音楽的な変遷を見ても、“本当にそこまでやるのか”と思うようなものばかりだった。コードや歌詞の構成にしても、当時のポップスでは誰も使っていないものだった。プリファブ・スプラウトでは、歌詞の内容が一番衝撃的だったと思う。“Swoon”とかね。

今朝、“Don't Sing”を聴いていたんだけど、この曲は純粋に“メキシコのせいにするなよ”や“否定しても事実は変わらない”という歌詞で、今の時代にぴったりの曲だと思ったよ。プリファブ・スプラウトのほとんどは詩だったと思うよ」



5. A Brief Inquiry into Online Relationships / The 1975

「このアルバムとボン・イヴェールの『i,i』の間で悩んだ。この2枚はここ数年で一番好きなアルバムだよ。どちらのアルバムもよく聴いているけど、『A Brief Inquiry....』を選びました。ボン・イヴェールのアルバムよりも旅をしているようで、歌詞も力強いで。ジャスティンが何を歌っているのかわからないし、それは僕だけではないと思う。

僕はThe 1975の大ファン。僕たちが若かった頃と彼らの間には類似点がたくさんあり、彼らは少し違うことをやろうとしている。彼らのレコードにはポップな曲もあるけど、レコードは本当に旅のようなものなんだ。このアルバムは“Give Yourself A Try”のポップさから完成されたアルバムで、とても個人的な話をしている。“Love It If We Made It”は、現代への完璧な嘆願であり、気候危機やアメリカの政治について語っているけど、これもすべてポップな曲で素晴らしい。僕のお気に入りは“I Always Want to Die (Sometimes)”。僕はいつもメランコリックなものを選ぶけど、その中には自虐的なものも含まれているんだ」



選外佳作. Wish You Were Here / Pink Floyd

「『Wish You Were Here』は、すべての若いミュージシャンに聴いてもらいたいレコードのひとつ。

ミュージシャンは、ヒット曲を書けとか、こういうことをやれとか、こういうジャンルに合わせろとか、そういうことを勧められるけど、ピンク・フロイドはそんなことをしていない。あと、レコード会社、特にラジオ局の人たちとは、“ヴォーカルが入るまでの時間が長すぎる”とか“フックラインが入るまでの時間が長すぎる”とか、延々と議論してきたけど、(そういった要素がある)『Wish You Were Here』は大ヒットしている。

僕がこのアルバムを推薦したい理由は、業界の意見に耳を傾ける必要はない、ということの典型的な例だと思うから。ピンク・フロイドはいつもうまくやっていたし、彼らは何も気にしなかった」