「コンセプト・アルバムでした。アルバムとは何なのか、じっくりと考えたのはこれが初めてだった。僕が若かった頃は、シングルを買って、後でアルバムを手に入れることもあった。アルバムは手に入れてもがっかりすることもあったけど『Welcome to My Nightmare』は初めて買ってハマったアルバムだった。今振り返ってみると、(ティアーズ・フォー・フィアーズの)“Woman in Chains”の先駆け的な曲は、『Welcome to My Nightmare』に収録されている“Only Women Bleed”で、これは天才的な曲だと思う。おそらくプロダクションのおかげだと思うけど、当時の僕はそのことに気づいていなかったと思う。発売当時、僕は13歳か14歳でした。ただ、ストーリーとしての魅力に惹かれていたし、1つのアルバムが1曲4分の曲では表現できない、より長いストーリーや大きな物語を語ることに魅力を感じていました」
同じ頃、トーキング・ヘッズの『Remain in Light』やデヴィッド・ボウイの『Scary Monsters』が発売された。この3枚のアルバムは、レコード制作の方法を学ぶ上で最も大きな影響を受けたので、僕は彼らを静かにまとめておきます」
3 A Walk Across the Rooftops / The Blue Nile
「1曲目の“A Walk Across the Rooftops”を聴いたときのことを覚えている。実は自宅のお風呂に入っていたんだ。この曲を聴いたとき、“うわっ、これは変わっていて面白そうだ”と思って、風呂場から立ち上がって、ペンと紙を持って、忘れないうちに誰なのかを書き留めたんだ。アルバム全体が素晴らしいよね。また、彼らはすべてを自宅で行った。作り方はとても変わっているけど、明らかにお金がかかっていなかった。
ピーター・ガブリエルのアルバムや『Remain in Light』、デヴィッド・ボウイのアルバムは、どれも大きなスタジオで制作されていて、時間もお金もかかっている。それに対して、こおそらくほとんどお金をかけずに、これほどまでに親密で、違った面白さのあるものができたことが、このアルバムの良さだと思うんだ。それに、ポール・ブキャナンの声...今でも彼は僕の好きな歌手の一人です。彼の声はとても親しみやすく、悲しいものです。アルバム全体で、彼らはこのメランコリーと殺伐とした感じを表現することができた...ある種の感覚を与えてくれるんだ。“Stay”はアルバムの中で一番好きな曲。歌詞の内容は、僕にとってとてもパワフルなものだった」
僕はThe 1975の大ファン。僕たちが若かった頃と彼らの間には類似点がたくさんあり、彼らは少し違うことをやろうとしている。彼らのレコードにはポップな曲もあるけど、レコードは本当に旅のようなものなんだ。このアルバムは“Give Yourself A Try”のポップさから完成されたアルバムで、とても個人的な話をしている。“Love It If We Made It”は、現代への完璧な嘆願であり、気候危機やアメリカの政治について語っているけど、これもすべてポップな曲で素晴らしい。僕のお気に入りは“I Always Want to Die (Sometimes)”。僕はいつもメランコリックなものを選ぶけど、その中には自虐的なものも含まれているんだ」
選外佳作. Wish You Were Here / Pink Floyd
「『Wish You Were Here』は、すべての若いミュージシャンに聴いてもらいたいレコードのひとつ。
ミュージシャンは、ヒット曲を書けとか、こういうことをやれとか、こういうジャンルに合わせろとか、そういうことを勧められるけど、ピンク・フロイドはそんなことをしていない。あと、レコード会社、特にラジオ局の人たちとは、“ヴォーカルが入るまでの時間が長すぎる”とか“フックラインが入るまでの時間が長すぎる”とか、延々と議論してきたけど、(そういった要素がある)『Wish You Were Here』は大ヒットしている。