ギターの巨匠、
ジョー・サトリアーニ(Joe Satriani)は、ロック人生から学んだ6つのことについて語る。音楽は競争ではない、良い行動には報酬がない、幸運に備える、友達選びは慎重に、薬物やアルコールは避けたほうがいい、神はいない。英Classic Rock誌企画。
●音楽は競争ではない
「初めてギターを手にしたとき、先人の素晴らしいミュージシャンたちに圧倒されてしまうことがある。今でも、ジミ・ヘンドリックスを聴くと、その演奏の美しさに圧倒され、なぜ自分がギターを弾くのだろうと考えてしまう。しかし、音楽はそういうものではない。
何でも弾けるテスタメントのギタリスト、アレックス・スコルニックにギターを教えていたとき、同じレベルのテクニックを持ちながらも、速弾きよりもソングライティングに集中したいという生徒がいた。彼らはソングライティングの分野で素晴らしいキャリアを築いていった。自分の限界を受け入れて、自分の道を見つけ、それを楽しんでほしい」
●良い行動には報酬がない
「以前、ギタークリニックを教えていたとき、僕はまず部屋に向かって“良い行動をしても報酬はない”と言っていた。その言葉を1分ほど頭に叩き込んでから、同じことを繰り返すんだ。学生にはとてもネガティブなことのように聞こえるかもしれないが、これが意味するところは、君は最高の生徒かもしれないが、それでもどこにもたどり着けないかもしれない、ということなんだ。
だから、本当に好きでなければ音楽をやるべきではない。音楽をやったからといって、お金持ちや有名人になれる保証はないからね。将来、世界が君をどう扱うかは誰にもわからないのだから、正しい理由で音楽をする必要があるし、運が良ければビジネス面でも何か良いことがあるかもしれない」
●幸運に備える
「これは、先ほどの話の続き。もし君にチャンスが訪れても、そのための準備をしていなければ、それを台無しにしてしまうからね。幸運のための準備とは? 練習し、自分の楽器について学び、音楽ビジネスについて読み、自分を奮い立たせること。それはなぜか。人生を変えるような電話がかかってきたり、君をスターにしてくれる人がクラブに入ってきたりしたときに、君自身が輝けるように準備しておくべきだから」
●友達選びは慎重に
「僕は16歳のときにニューヨークのバーで演奏を始め、18歳のときに地元のブッキングエージェントと契約した。彼とその仲間たちは、マフィア映画に出てくるような典型的なタイプで、それが怖くなければ、ちょっとコミカルな感じだった。音楽業界の裏の部分であり、質問をすることもなかった。
ロングアイランドにある誰も来ないようなクラブでリハーサルをしていたんだけど、毎晩終わりになると何百本もの酒瓶を叩き割る音が聞こえてきて、自分たちがマネーロンダリング詐欺のハウスバンドであることに気づいた。僕のエージェントは最終的に刑務所に入ってしまい、僕は“新しい仕事を探さなければ!”と思うようになった」
●薬物やアルコールは避けたほうがいい
「僕は、アルコールやドラッグが自分に合わなかったことを非常に幸運だと思っている。ストレートだと笑われることもあるけど、昔から僕が見てきた“ロックンロール”というライフスタイルは、早死にする道のように見えた。僕の周りには、酔っ払うことが最高にクールだと思っていた人たちがたくさんいたけど、今、そのほとんどが僕たちと一緒にいない。
何かを試してみて、体がそれを好きになってしまったら、ちょっとした失敗になる。ある男にヘロインを試したことがあるかどうか聞いたことがあるんだけど、彼は“いや、好きになりすぎるのが怖いから”と言った。僕にはとても納得のいく言葉だったよ」
●神はいない
「僕はカトリック教徒として育ち、最初の5年間はカトリックの学校に通っていたけど、そのまま通うことはなかった。カトリックの学校では、教えようとすることにいちいち疑問を投げかけていたので、トラブルメーカーとみなされ、最終的にはうんざりして退学させられてしまったんだ。
僕は科学を信じている。僕たちが回転するボールの上にいて、宇宙にある太陽系の一部であることはとても明白で、その他のことは完全な作り物のように思える。空に浮かんでいる男がすべてを支配しているという考えを信じるなんて、僕にとってはまったく馬鹿げたことなんだ」