My Bloody Valentine / Loveless
リヴィング・カラー(Living Colour)のギタリスト、
ヴァーノン・リード(Vernon Reid)は
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)の『Loveless』が大好き。その理由を熱く語る。英Classic Rock誌企画。
「『Loveless』は少なくとも3つの異なるフォーマットで持っているよ。CD、ダウンロード、そして初めて手にしたのはカセットだった。入手したときのことはよく覚えている。友人がマイ・ブラッディ・ヴァレンタインを絶賛していて“このアルバムを手に入れるべきだ”と言われたんだ。
最初に聴いたのは“Only Shallow”だった。今でもお気に入りの曲だよ。冒頭のスネアドラムの音は、とてもアンセム的だ。このアルバムを素晴らしいものにしている要素がすべて詰まっている。他の曲では“I Only Said”が大好きだよ。でも、僕はいつも(アルバムの)最初から最後まで聴いて、すべてを受け入れるようにしている。全体的に気に入っているんだ。シームレスだよね。
『Loveless』は、あらゆるスタイルの境界を超えている。例えば、ほとんどの歌詞はほとんど理解できない。僕は歌詞を聞くのが好きなタイプなので、何について歌っているのか知りたいんだ。『Loveless』が何についての曲なのかはわからないけど、理解できなくても大丈夫なくらい感情的な重みがある。叙情的だけど、歌詞の内容を理解することはできないんだ。
ケヴィン・シールズはお気に入りのギタリストの一人だ。一つのことに夢中になると、他のことは評価できないと考える人がいることに驚くよ。テクニカルではないギタリストでも、僕が評価する人はたくさんいるよ。ケヴィン・シールズは『Loveless』で、偉大なギタリストだけが成し遂げることを達成したんだ。彼は全体性と統一性を達成し、独自のサウンドを作り上げたんだ。
自分が好きなものを説明するのは、いつだって面白いものだよ。まるで(表現主義画家である)ジャクソン・ポロックのようなものだ。人によっては、ジャクソン・ポロックはただ絵の具をばらまいているだけだと思う人もいるだろう。あるレベルでは、その通りなんだ。僕もそう思っている。でも、それだけではないんだ。僕が初めてジャクソン・ポロックを見たとき、それは僕を物理的に攻撃した初めての絵だった。胸の中の空気が吸い取られる感じがした。今まで感じたことのない感情を絵から感じた。『Loveless』を初めて聴いたときも、同じことが起きたと思う。もし誰かがこの曲を聴いてただのノイズだと言うなら、ヘヴィなギターが入った他の多くのレコードもただのノイズだと言うだろうね。
それを擁護したり、納得させたりすることは時間の無駄だよ。僕はすぐに理解して、すぐに好きになった。このアルバムの良さを言葉で表現するのは難しいんだけど、それが僕の好きなところなんだよ。 誰かに“なぜ私を愛しているの?”と聞かれたとき、その人を愛している理由を挙げられるなら、自分が思っているほどその人のことを愛していないのかもしれない。
現在の僕たちが抱えている病のひとつは、音楽が使い捨ての商品にしてしまったことだけど、それは、なぜこれが好きなのか理由を述べなければならないから。とても浅はかなことだと思うよ」