アイアン・メイデン(Iron Maiden)のドラマー、
ニコ・マクブレイン(Nicko McBrain)は、自分が解雇されると確信し、先にバンドを辞めることを申し出たことがあったという。クリス・ジェリコのポッドキャスト『Talk Is Jericho』のインタビューの中で明らかにしています。
それは、1984年の『Powerslave』ツアー中のことで、プロデューサーのマーティン・バーチが、後に『Live After Death』となるライヴ・アルバム用に録音していた、ロンドンのハマースミス・オデオンでのコンサートでした。この日、ニコはブルース・ディッキンソンの合図に従うのを忘れてしまいました。
「“Flight of Icarus”をやっていたんだけど、ブルースはいつも、みんなが盛り上がる前に、“Scream for me Hammersmith, scream for me Hammersmith, scream for me”と3回言うんだよ。いつも3回だった。その夜、彼は“Scream for me Hammersmith, scream for me Hammersmith ...”と言って、3回目は言わなかったんだけど、俺はカウントしてしまったんだ」
このままでは曲が台無しになってしまうと思い、ニコは演奏を続けることにしました。「止めるわけにはいかない、恥ずかしいじゃないか。このまま続けよう。どうやって抜け出そうか」と考えていたという。
が、すぐにバンドメンバーから驚きの目で見られたという。彼らはニコの早いスタートに気付き、「全員がドラムライザーに飛んできて、俺の前の段差に立って“何やってんだよ!”と言っていた」
「俺は“ああ、俺はすごくいい演奏をしている”という気持ちから“ああ、俺は今、何をしたんだろう”と思ったよ。“クビになるなら、バンドを辞めよう”と思った。それで、ライヴが終わった後、楽屋に行って、みんなに“本当に申し訳ない。クビにしなくてもいいから、俺は出て行くよ”と言ったら、みんなが笑い出した。マーティン・バーチが入ってきて、“あれはプライスレスだ!”と言っていたよ」。
2020年に亡くなったマーティンは、後になってニコに、その夜、ニコがミスした部分の録音も行われていたを教えたという。「彼は“それは屋根裏部屋に置いてあるから、いつか君を困らせるために持ち出すよ”と言っていた。とても良い経験になったよ」