ジャズ・ロフト (c)2015 The Heirs of W. Eugene Smith
1950年代半ばから60年代にかけて、マンハッタンのとあるロフトで繰り広げられていた気鋭のジャズ・ミュージシャンたちによるセッションを、写真家ユージーン・スミスが密かに記録していました。その録音テープ、写真を元に構成したドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』の日本版予告編映像が公開されています。
■映画『ジャズ・ロフト』
10月15日より東京・Bunkamura ル・シネマほか全国で順次ロードショー
写真家ユージーン・スミス。雑誌「ライフ」などで意欲的な作品を数多く発表、70年代には写真集「MINAMATA」によって世界に衝撃を与え、ジョニー・デップ主演で映画化もされた。そんな彼が1950年代半ばから住んでいたNYのロフトでは、連日連夜様々なジャズ・ミュージシャンがセッションを繰り広げていた。集まったのはセロニアス・モンクをはじめ、カーラ・ブレイ、ズート・シムズ、ホール・オーヴァトンといった名うてのミュージシャンたち。当時仕事や家庭の問題が山積みだったスミスは、純粋に音楽を楽しむために集まった彼らの演奏を逃すまいと部屋中に録音用の配線を張り巡らせ、何千枚もの写真を撮る。そのむせ返るような熱気を余すところなく伝えるドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』。
単なる記録の域を超えて浮き彫りとなるのはジャズ・ミュージシャンたちの圧倒的な存在感。そして彼らとの交流を通して、人生の岐路に立たされていたひとりの写真家が抱く新たな決意。また歴史的な報道写真の数々を生み出してきた暗室での孤独な作業やユーモアと気難しさを併せ持つスミスの複雑なパーソナリティが多くの証言者によって明かされる。まさに今その場で起こる奇跡に立ち会っているかのような臨場感を存分に堪能できる作品です。
(c)2015 The Heirs of W. Eugene Smith