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TBS、チャーリー・ワッツの日本メディア最後のインタビュー映像公開

2021/08/26 20:14掲載(Last Update:2021/08/27 00:28)
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Charlie Watts
Charlie Watts
TBS NEWSのYouTubeチャンネルは、亡くなったチャーリー・ワッツ(Charlie Watts)の日本メディア最後のインタビュー映像(ノーカット約12分)を公開しています。撮影は5年前(当時75歳)。ブルース・ナンバーのカヴァー・アルバム『Blue & Lonesome』の発表にあわせてTBSのインタビューにニューヨークで応じています。

■“ストーンズ” チャーリー・ワッツさん 日本メディア最後のインタビュー

先日80歳で亡くなった、世界的ロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツさん。5年前(当時75)、初のカバーアルバム『Blue&Lonesome』の発表にあわせてTBSのインタビューにNYで応じています。日本メディアとしては最後となるチャーリーさんのインタビューをノーカットでごらんください



チャーリーさん:(記者が着用しているTシャツを見て)これなんて書いてあるの?

記者:“武道館”です。2003年にザ・ローリング・ストーンズがライブをした場所ですよ。覚えています?

チャーリーさん:北の方の?

記者:違います。東京都心にある、ビートルズが昔ライブしたところです。

チャーリーさん:覚えてないや。北の方に行ったのは覚えているけど。

記者:北海道、札幌ですね。

チャーリーさん:雪が降っていたんだよ、それは覚えてる。

記者:私は1990年に東京ドームでストーンズを見てから熱狂的ファンなんです。アルバム『Blue&Lonesome』も最高でした。特に『Commit a Crime』とか『All of Your Love』でチャーリーがスウィングする感じが『From One Charlie』を彷彿とさせました。ブルースのレコーディングはいかがでしたか?

チャーリーさん:とても楽しく、心地よくやれたね。短い時間で出来たんだ。アルバムを作ろうとしていたわけではなくてね。ただブルースを沢山演奏していたら、それがたまたまアルバムになったんだよ。すごく楽しかったよ。

記者:オリジナル曲をやるのと、カバー曲をやるのは全然違うものなのですか?
チャーリーさん:そんなに違わないね。というか、自分達のオリジナル曲を演奏するほうがずっと難しい。技術的なことじゃなくて、オリジナル曲は“未開の地”だから難しいんだ。そうとはいえ、両方とも同じフォーミュラというか、使っているテクニックも同じだよ。

記者:YouTubeで『Ride ’Em On Down』を演奏しているのを見ましたが、ブルースをやっているときのほうが楽しそうに見えます。いかがです?

チャーリーさん:それは分からないな。興味深いものではあるけれど。分からないよ。

記者:ミックのハーモニカ演奏については?

チャーリーさん:ミックかい?彼はとても優れたハーモニカ吹きだよ。歌い手としてもハーモニカ奏者としても過小評価されているな。そもそもブルースアルバムになったのはそれが理由だ。普通に新曲でアルバムを作ろうとしていたのだけど、キースがミックにハーモニカを吹いて欲しかったってことだね。それで、キースがリトル・ウォルター(ブルース・ハーモニカ奏者)の曲を選んで、みんなで演奏した。もう1曲、もう1曲とね。そうやってアルバムが完成したんだ。予定していたわけではなくね。

記者:アルバムの選曲は?

チャーリーさん:俺はしてないよ。ミックが選んだんだ。キースが最初に1曲を選んでね。『Blue&Lonesome』だったと思うけど。それで、ミックがやる気になって、毎日3〜4曲選んできたんだ。あっという間にやっちゃったよ。最後には10曲だか12曲だかが出来てね。それがアルバムになるとは思いもしなかったけどね。

記者:新曲もレコーディングしたんですか。

チャーリーさん:またスタジオに戻って再開したよ。最近またスタジオに入って、新曲の作業をした。どれ位の時間がかかるか分からないけどね。

記者:このアルバムがストーンズの最後にはならない?まだ曲はたくさんありますか?

チャーリーさん:最後になんて絶対ならないよ。キースが許してくれないから。最後のショーや最後のアルバムなんてのもないね。誰にも分からないけど。俺たちはもう一枚アルバムを作っている最中だからね。でもミックとキース次第だよ。彼らが曲を書くわけだから。俺は作曲しないからさ。

記者:ストーンズがブルースカバーのアルバムを出すって聞いたとき最後のアルバムかと。

チャーリーさん:また新しいスタジオアルバムを出すことになるんだと思うよ。ミックとキースはそう考えているはずだよ。

記者:ミックとキースについて行くんですね。

チャーリーさん:いつもそうしているからね。もし俺が1曲でも書くのを待っていたら、君が日本に帰国する飛行機に乗り遅れるよ。

記者:自宅でドラムを叩くこともあるんですか。

チャーリーさん:いや、やらないね。脚をドラムがわりに叩く程度だよ。

記者:何故ブルースは人々を魅了し続けると思いますか?

チャーリーさん:分からないよ。とてもシンプルで分かりやすい音楽だからだと思うな。そこが魅力なんだろうね。上手く演れば、聴く人の感情を高ぶらせたりダンスさせたりする力があると思う。多くの偉大なるブルースミュージシャンが亡くなってしまったのがとても残念だね。私が好きなスタイルで今でも頑張っているのはもうバディ・ガイ一人だけだな。みんな亡くなってしまった。分からないけどね。それで、ブルースというフォーミュラはずっとじゃないかもしれないけど、最近またすごく人気が高まっているよな。

記者:ストーンズの南米ツアーを追ったドキュメンタリー映画『Ole, Ole,Ole!A Trip Across Latin America』を観ました。

チャーリーさん:俺はまだ観てないんだ。すまないね。

記者:その中で「ドラマーの唯一の役割は、コンサートを観に来た人たちを踊らせること。ただそれだけだ」とおっしゃっていましたが、少し説明していただけますか。

チャーリーさん:まさに言ったとおりでね。観客を自分が叩くドラムで踊らせること。自分にとってはそれが全てだから。ドラムってのはそもそもダンスのための楽器だからね。アフリカンドラムだよ。

記者:キューバの人々をダンスさせたのはどんな気分でしたか?

チャーリーさん:分からないな。ダンスさせられたかどうかも分からないし。でも、キューバ訪問はすばらしかった。残念ながらあまり自分の体調が良くなかったんだけど、とても良いところだった。

記者:世界でも最もダンスが好きな国民が50万人も集まって、その前で演奏されたんですよね?

チャーリーさん:確かにキューバの人はダンス好きだよね。俺達の演奏で踊ってくれたかどうかは分からないけど。でもとにかく素晴らしかったよ。素晴らしかった。良いタイミングで行けてラッキーだった。これからどんどん変わっていくだろうからね。

記者:初めてのキューバ訪問ですか?

チャーリーさん:そうだよ。

記者:キューバの印象は?

チャーリーさん:実際はキューバに行ったと言うより、キューバにあるハバナに行った感じだね。ハバナのほんの一部しか見られなかったな。到着して、いくつかの行事に出席して、次の日に演奏して、その次の日にはキューバを発ったからね。飛行機で来て、すぐに飛行機で帰ったのに「東京はどうでしたか?」って聞かれているようなもんだよ。
でも、キューバは美しい国だ。友人も住んでいてね。山とか滝とか、全てが素晴らしい。ハバナはベネチアっぽかったな。寂れたベネチアっていうか。あの街はかなりの助けが必要だけど、そこがハバナの良さでもあるんだろうね。

記者:もしジャズのカバーアルバムをストーンズとして作るとしたら、どのアーティストのどの曲を演奏してみたいですか?

チャーリーさん:ストーンズで?何てこった。ストーンズではやりたいと思わないなあ。キースとならルイ・アームストロングの曲を何曲かやるかな。でもそれ以外はね。キースはジャズを上手く歌うんだよ。以前にもやってもらったしね。

記者:チャールズ・ミンガスのカバーアルバムでも歌っていましたよね。

チャーリーさん:そうだよ。

記者:時間もなくなってきたので・・・

チャーリーさん:時間がなくなってきたってどうやってわかったんだ?そこに時間が出ているわけ?ずいぶん日本的だね。

記者:どのようにそこまでエネルギッシュに健康を維持しているんですか?秘訣を是非同世代の日本人に教えてください。

チャーリーさん:全くわからないね。本当に何故だろうね。俺は自分があとどれくらいやれるのかわからないけど、それなりに引き合いのあるバンドにいるから、出番があれば行って演奏するだけだよ。でも自分ではどうしてそれができているのかわからないよ。

記者:2年前、東京ドームであなたの演奏を観たファン達はあなたの演奏に驚いていましたよ。

チャーリーさん:ミックを見てごらんよ。いまだにステージの上を走り回っている。どうしてかはわからないけど。(良い答が出来なくて)ごめんね。でも、俺たちはみんなそれなりに健康には気をつけているよ。ただ、どうやって(健康維持)できているのかは分からないなあ。