ニルヴァーナ(Nirvana)のメンバーと、
カート・コバーン(Kurt Cobain)の遺産を管理するエステートは、アルバム『Nevermind』のジャケット・カヴァーに赤ん坊として登場したスペンサー・エルデンから訴えられたと報じられています。エルデンは、バンドが連邦児童ポルノ法に違反し、児童の性的搾取を行ったと主張しています。TMZの報道後、PitchforkやVarietyが訴訟内容を確認しています。
アルバム・カヴァーは、赤ちゃんが泳いでいる先にドル紙幣があることから、一般的には資本主義に対する皮肉として理解されています。性的描写のない乳幼児のヌード写真は、一般的に法律上、児童ポルノとはみなされません。
しかし、エルデンの弁護士であるロバート・Y・ルイスは、この写真が児童ポルノの一線を越えていると主張。写真に通貨が含まれていることで赤ん坊が「セックスワーカーのよう」に見えると書いています。
カリフォルニア州中央地区の連邦地方裁判所に提出され、Varietyが入手した訴訟内容にはこう書かれています。
「被告は意図的にスペンサーを撮影した商業用児童ポルノを制作し、彼の衝撃的なイメージを利用して、彼を犠牲にして自分たちと自分たちの音楽を宣伝した」「被告は、音楽業界で一般的に行われている、注目を集めるためのレコードプロモーションのスキームの重要な要素として、スペンサーを描いた児童ポルノを使用しました。アルバムカヴァーでは、悪評を得て売り上げを伸ばし、メディアの注目や批評を集めるために、性的に挑発的な方法で子どもを撮影しています」
写真家のカーク・ウェドルやアルバムの発売元レーベルなども含めて訴えているエルデンは、「生涯にわたる損害」を被ったと主張し、それぞれに対して少なくとも15万ドルを要求しています。
訴訟の文書には「スペンサーと法的保護者は、スペンサーの肖像や肖像の使用を許可する文書に署名したことはなく、スペンサーを描いた商業的な児童ポルノにも署名したことはなかった」とも書かれており、また、エルデンが「18歳未満の時に商業的な性行為に従事させられた」という「性的人身売買の事業」についても訴えています。エルデンはさらに、今後発売される『Nevermind』のすべてジャケットを変更することも要求しています。
エルデンは、10代や大人になってからも繰り返しこのポーズを再現しており、アルバムの10周年、17周年、20周年、25周年の際には、プールに飛び込んで(水泳パンツを履いて)ポーズをとっています。しかし、これらの写真撮影に伴うインタビューのほとんどで、彼は『Nevermind』のジャケットで有名になったことや、それによって搾取されたかどうかについて、深く複雑な感情を表していました。
エルデンは以前から、撮影日に両親に支払われた200ドル以上の報酬は受けていないと言っています。また、以前のインタビューでは、
デイヴ・グロール(Dave Grohl)と
クリス・ノヴォセリック(Krist Novoselic)に連絡を取ろうとしたが返事をもらえなかったとも語っていました。
【update:2021/08/27 15:43】
児童への性的虐待事件に関わる法律専門家たちは、
ニューヨーク・ポスト紙の取材に対し、エルデンのケースを「非常に多くのレベルで逸脱するもの」「児童ポルノの真の被害者にとっては実に不快だ」と述べています。
神父やボーイスカウトの指導者、米国体操協会の元ドクターであるラリー・ナッサーなどの被害者を代理してきたジェイミー・ホワイト弁護士は、「これほど攻撃的で軽薄な訴訟は、私のキャリアの中でも見たことがありません」と語っています。
ホワイト弁護士は「この訴訟が成立するとは思えないだけでなく、この訴訟を起こしたこと自体、弁護士たちは厳しく追及されるでしょう。ニルヴァーナのアルバムが性的欲求を満たすためのものであるという考えは、とても馬鹿げた暴挙だと思います。これは金目当てであり、...私は裁判所に棄却を求めます。なぜなら、これは軽薄であり、彼らがここで主張している被害から子どもたちを守ろうとしてきた私たち全員の活動を侮辱するものだからです」と付け加えています。