ドラマーの
ヴィニー・アピス(Vinny Appice)は、1980年に
ブラック・サバス(Black Sabbath)のライヴで起きた「今までで一番奇妙な出来事」を、ネット番組『Hard, Heavy & Hair with Pariah Burke』の中で振り返っています。
「80年代のスモークマシンは、大きなドラム缶にお湯を入れて、その中に冷たいドライアイスを入れて煙を出して、それをファンで吹き飛ばしてステージ上のホースに送り込むというものだった。
それは俺の後ろ、ドラムセットの後ろにあった。
1980年にブラック・サバスとしてイギリスで演奏したときのことだ。スタッフォード・ホールだったと思うけど、1万人を収容してソールドアウトだった。何曲か演奏した後、“Black Sabbath”という曲が始まった。
ラウドのパートに入るとスモークが出てきたが、機械が吹っ飛んだ。氷を投げ入れると爆発して、水が20フィートの高さまで上がったんだ。みんな、それもショーの一部だと思っていて“おお、いいぞ!”と言っていた。
“なんてこった!”と思ったよ。そのあと、それが俺のところに全部落ちてきたんでドラムは使い物にならず、すべて水まみれで、変な音になってしまったんだ。
トニー(アイオミ、ギター)、ギーザー(バトラー、ベース)、ロニー(ジェイムス・ディオ、ボーカル)は振り返って“なんてこった!”と笑っていたよ。彼らはただ見ていただけなんだけど、突然、俺はズボンの後ろに氷がついた感じがして、氷(※ドライアイス)がズボンの隙間からお尻に落ちたんだ。
それは燃えて、皮膚にくっついた。俺は“ああ、くそ!”と思い、彼らに“行かなくちゃ!”と言ってステージから逃げ出したんだけど、彼らもあちこち濡れていたので、ステージから降りなくてはならなかった。
俺は救護室に行かなければならなかった。俺のズボンを下ろすと、2人の女性看護師が俺のお尻から小さな破片や大きな破片を取り除いてくれたんだけど、火傷したり、水ぶくれができたりしていたので、クリームを塗って消毒しなければならなかった。
ようやくステージが乾いて、彼らに“戻れるか?”と言われたので、俺は“ああ、戻らないでどうするんだ? 完売したんだから出るしかないだろう”と言った。
それで、俺はクッションを持ってステージに上がったんだ。彼らからもらったクッションを掲げて、みんなが叫んでショーを終えたんだ。あれは今までで一番奇妙な出来事だったよ」