ディープ・パープル(Deep Purple)が1974年にリリースしたスタジオ・アルバム『Burn(邦題:紫の炎)』。英Classic Rock誌の企画で、当時のメンバーである
デイヴィッド・カヴァデール(David Coverdale)、
グレン・ヒューズ(Glenn Hughes)、
イアン・ペイス(Ian Paice)の3人がアルバム収録曲を1曲ずつ解説しています。
●「Burn」
カヴァデール「この曲のために6セットくらいの歌詞を書いたよ。“Burn”の最終的な歌詞は、次のアルバムに収録される“Stormbringer”の歌詞も含めて、リッチー(ブラックモア)を喜ばせようとした結果、生まれたものだと思う。この歌詞は、僕が普段書くようなものではなく、SF詩のようなものだと思っていた」
ヒューズ「クラシック・ロックのリフはブラックモアが考えたものだけど、それが40年代に書かれたものを参考にしたという話がたくさんある。(ジョージ・ガーシュインの)“Fascinating Rhythm”だったかな? それを参考にしているのかもしれない。どんなアーティストも他のアーティストの曲を参考にするけど、これはリッチーが40年代や50年代の曲を参考にした典型的な例だよ」
ペイス「この曲は、とてもよく演奏されている。テンポが速いよね。僕はいつも、速く演奏するのは遅く演奏するよりもずっと簡単だと言っている。速く弾いて失敗しても誰にも聴こえないけど、遅く弾いて失敗すると誰もがそれを聴くことになるからね。Mark IIIのラインナップの冒頭としては、とてもクールだと思う」
●「Might Just Take Your Life」
カヴァデール「これはジョン(ロード)のアイデアから生まれたものだと思う。ジョンは作曲家として、ギターを中心としたロックのシナリオで仕事をすることは特に難しかったんだけど、“Might Just Take Your Life”では(キーボードとギターが)完璧に調和している」
ヒューズ「ヒューズとカヴァデールのデュアル・リード・ヴォーカルがかなりあるね。この曲はMark IIのラインナップでは作られなかったと思う。この曲はよりブルージーな雰囲気を持っていたからね」
ペイス「デイヴィッドのブルースの音域を生かしたものだった。グルーヴを見つけて、いたってシンプルなロックンロールの曲に身を任せてみたんだ」
●「Lay Down Stay Down」
カヴァデール「最初にリマスター版を聴いたときは、ちょっと心配になった。本当にダサくて、必要以上にソフトに聴こえたからね。その点は調整されていると思う、そうだといいんだけど。でも、何年も経ってから再び聴くことができたのは良かった。僕はそれほど昔の曲をさかのぼって聴くことはないので、思い出を楽しむだけだよ」
ヒューズ「この曲も新鮮なサウンドで、ペイシーの演奏も素晴らしいね」
ペイス「この曲は、リズム的にはMark IIに少し戻っている。この曲には、ロックンロールの炎のようなものがあるけど、『Burn』の他のいくつかの曲は、ゆっくりと別の方向に向かっていった。“Lay Down Stay Down”は、歌詞を変えれば、“Burn”と同じように『In Rock』に収録されていたかもしれないね」
●「Sail Away」
カヴァデール「この曲は、僕が初めて書いた力強い歌詞のひとつ。でも、今でも、曲全体を僕かグレンのどちらかが歌うべきだったと思っている。二人で歌うことで、曲の感情や雰囲気が損なわれてしまうから。どちらか一人が歌った方が、この曲を正しく表現できたはずだ」
ヒューズ「ブラッカーズのギターの音がとても好き。この曲は本当に大好きなんだ」
ペイス「僕のお気に入りの曲の一つで、この曲のリフがとても気に入っている。素晴らしい雰囲気を持った曲だよ」
●「You Fool No One」
カヴァデール「この曲では、グレンと僕のデュアル・ハーモニック・スタイルが再び強調されているけど、これはクリームから少し借りたものだよ」
ヒューズ「ペイシーはボンゾ(ジョン・ボーナム)が大好きで、ボンゾは僕の大切な友人でもあったので、僕たちは少しレッド・ツェッペリンを聴いていたのかもしれない。当時、僕たちはルームメイトだったので、ペイシーは僕がこの話をすることを気にしないと思うけど。ペイシーがあのドラムのグルーヴを作ってくれたんだ...彼が素晴らしいドラムトラックを作ってくれて、それが最初にやったテイクの一つだったんだ」
ペイス「僕がカウベルとバスドラムを使ったルーディメント(※スネア・ドラムの基本奏法の一つ)をやっていたら、リッチーが彼のリフを演奏してきて、それが一緒になったんだよ。基本的には、カウベルとバスドラムとスネアドラムの間のドラム・パラディドルなんだけど、このルーディメントを演奏することで素晴らしい4-4拍子になるんだよ」
●「What’s Goin’ On Here」
カヴァデール「これはちょっとしたお遊び。この曲は、ジミ・ヘンドリックスの曲(“Highway Chile”だったかな)をベースにしている。この曲は、ジョンが少し伸び伸びと演奏するための良い機会となったと思うよ」
ヒューズ「デイヴィッドと僕は、この曲を歌うのが楽しかった。この曲は12小節のブルースで、とてもシンプルでライヴ感のある曲だよ」
ペイス「本当にシンプルで素敵なブルースだよね。演奏していても楽しいけど、アルバム・トラックだからね」
●「Mistreated」
カヴァデール「この曲は、Mark IIIのラインナップとは別の独立したアイデンティティを確立するという意味で、僕がパープルにもたらしたものを要約している。もちろん、この曲と“Sail Away”だ。それが僕が持ち込んだものだよ。“Mistreated”は今でも脚力があり、生命力があり、人々にとって大きな意味を持っている」
ヒューズ「リッチーが最初にリフを聴かせてくれたとき、僕はすぐにパープルにぴったりだと思った」
ペイス「この曲は、デイヴィッドの声にぴったりの曲。とてもシンプルで、とても巧妙なリフだよ。そして、そのシンプルさが、ギターの素晴らしいサウンドによってさらに引き立てられている。ヴォーカル・パートだけでなく、ソロ・パートも含めて、気分を盛り上げてくれるんだ」
●「A200」
カヴァデール「ずっとインストゥルメンタルだったので、僕は何もしていない。パブで飲んでいたのかもしれない」
ヒューズ「リッチーはジョンにレコードで演奏する曲を与えたいと言っていた。振り返ってみると、とてもいい感じだよね。最初の頃は大嫌いだったシンセサイザーの音が、最近また流行ってきているような気がするよ」。
ペイス「これはジャムの中で出てきたアイデア。いい感じのインストゥルメンタルになったと思うよ」
詳細は以下のURLのページでご覧になれます。
https://www.loudersound.com/features/deep-purples-track-by-track-guide-to-burn