先週末にシカゴで4日間にわたって開催され、毎日約10万人が参加した音楽フェスティバル<ロラパルーザ>。当初は米国におけるライヴ・コンサートの凱旋として注目されていましたが、感染力の強いデルタ株の広がりに伴い、現在ではこのイベントを許可した判断が疑問視されています。公衆衛生の専門家は新型コロナウイルス感染症が急増すると予測しており、コロナウイルスの減少を祝うものではなく、巨大なクラスターを発生された可能性があるイベントとして注目されています。
ロラパルーザでは、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けていること、または新型コロナウイルス検査で陰性であることを証明するなど、厳しい入場条件を設けていました。
ロラパルーザの関係者によると、約90%の参加者がワクチン接種の証明書を提示し、さらに8%の参加者が検査で陰性を示したとのことです。残りの2%は入場を許可されませんでしたが、後から必要な証明書を見せれば入場できることになっていました。
しかし、イベントが始まり、ステージの前に何千人もの参加者がぎっしりと詰め込まれている写真が公開されると懸念を呼び起こしました。
この写真を見た人々、特に医療専門家は、失望と恐怖を叫ばずにはいられません。感染症の専門家であるティナ・タン博士は次のように述べています。「10万人以上の人々がかなり閉鎖された空間にいて、社会的な距離感がなく、大多数がマスクをしていない場合、新型コロナウイルスのデルタ株の感染が発生することになるでしょう」
地元の保健当局は対策を講じていないわけではありません。ロラパルーザが2日間にわたって開催された後、シカゴ当局は規制を強化することを決定しました。後半の2日間は、屋内スペースではマスク着用を義務付けています。
ロラパルーザは「シカゴ公衆衛生局からの最新のアドバイスに基づき、ロラパルーザでは土曜日からグラントパークのあらゆる屋内スペースでマスクが必要となります。フェスティバルに参加されるファンの皆様には、最後の2日間に参加される際にマスクを持参されることをお勧めします」と発表していました。
この発表以前より、ワクチンを接種していない参加者は、常にマスクを着用することが求められていました。しかし、会場内の写真を見るかぎり、マスクの着用者はほとんどおらず、このポリシーが守られていないことがわかります。
当初、シカゴ市長のローリ・ライトフットは、このフェスティバルに対して強気であり、安全であると宣言していました。が、今は、その雰囲気は大きく変わっています。市長は、イベントを許可した当初の判断について聞かれ、「データや予測、モデルに基づいて、いつも通り最善の判断をしたと思います」「6月11日の完全開放に向けて、私たちはとても安心していました。その日に向けて、データの傾向を見ながら作業を進めていました。だからこそ、正しい判断ができたと思っています。しかし、このような増加が見られるようになったので、今日、警鐘を鳴らしているのです」と答えています。