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プリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーン、大量にある未完成アルバムやスパイク・リーとのコラボ等について語る

2021/07/27 16:14掲載
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Paddy McAloon
Paddy McAloon
滅多にインタビューに応じない、プリファブ・スプラウト(Prefab Sprout)の中心人物パディ・マクアルーン(Paddy McAloon)が英Classic Pop Magazineのロング・インタビューに応じ、未完成のアルバムが大量にあること、聴覚障害「メニエール病」について、スパイク・リーとのコラボレーションについてなどを語っています。

パディは、書いたものの完成していない何十枚ものアルバムを記録しているという。

なんでも、彼の音楽をメディアに説明しなければならないことが、プリファブ・スプラウトの音楽がリリースされない理由のひとつとのことで、「私が何かを作っても、それについて話すのに時間がかかりすぎると、その作品は死んでしまう。だから結局、実際にレコードを作る段階を飛ばしてしまうんだ。そんなことをしていても生活できないのだから、絶対におかしいと思うんだけどね」とパディは述べています。

プレファブ・スプラウトの未完成のアルバムには、『Earth: The Story So Far』やマイケル・ジャクソンのテーマにしたコンセプト・アルバムなどがあるとのこと。パディは年にアルバム3枚分を書きますが、誰にも聴かせていません。

彼はそれが「強迫観念的な習慣」であることを認め、こう言います。「もっとレコードを作って、書くのを減らすべきだった。こんなにたくさんのレコードを箱にしまっておくべきではない。私は怠け者ではないが、私が書いた曲が以前のように私を満足させることは難しいんだ。どんなに優れていても、ライターとしての手数は限られている。ワクワクするのは、自分自身を驚かせて“これはなかなかいいね、どうやって作ったんだろう”と思ったとき。年を重ねるごとにその能力は失われていく」

パディは2006年から聴覚障害「メニエール病」を患っています。最近では2017年10月に3回の大きな発作があり、右耳に永久的な耳鳴りが残っているという。「あなたと話している間も、ずっと耳鳴りがしています」とパディは説明しています。

メニエール病のため、パディは他の人と一緒に音楽を演奏することができないという。その代わりに、2オクターブのヤマハの小さなキーボードで曲を作り、聴覚が許す限り大きな音量で打楽器を演奏しています。

「1時間半くらい作業ができる。耳が悪い方が良い方を支配しているので、音程を簡単に判断することができない。このまま治ってくれればいいんだけど、前回の大きな発作の時のように、倒れたり、めまいがしたりすることがなくなっただけでもよかったよ。今は歌えることを大切にしている。長い間、自分の歌が好きになれなかった。もしかしたら、メニエール病で全く歌えない時が来て“バカだな、毎日歌っていればよかったのに”と思うかもしれない。今は、部屋の片隅でカセットプレーヤーに向かって歌っているのが幸せなんだ」。

また、最新の未完成アルバム『Jockey Of Discs』は“プリファブ・スプラウト・ダンス・アルバム”だと付け加えています。

2013年にプリファブ・スプラウトの前作『Crimson/Red』をリリースした直後、パディは新しいアルバムの制作を始めました。「曲はキャッチーだったよ」と彼は話しています

しかし、2015年にスパイク・リーがプリファブ・スプラウトの曲を映画ミュージカルのベースにしたいと連絡してきたことで、作業は中断されました。リーの弟のサンキ・リーはスプラウトのファンで、脚本を書いています。

パディとスパイクが会った時、リーは「正直に言うと、サンキが君の音楽を聴かせてくれるまで、君のことを聴いたことがなかったんだ」と言ったという。

パディは「これはスパイクのプロジェクトであって、私のプロジェクトではない」とストーリーについて多くを語ろうとしませんが、「これは旅のたとえ話です。スパイクとサンキは私の曲をたくさん使いたがっていて、どのページにも1曲ずつ入っています。私は、彼らのストーリーの選択肢として新しい曲を提供したかった。私のスタンスは“私の音楽を持っていてもいいし、それを使って好きなことをすればいい。もし、曲の語り手の性別を変えたり、歌詞をもっとストーリーに沿った方向に持っていきたいというような、別の選択肢を望むのであれば、私は協力します”。私は彼らに非常に多くの選択肢を与えました」。

ミュージカルはまだ作られていませんが、パディはこう説明しています。「スパイクは、いつも100万枚の皿を空中で回転させて、あれやこれやとやっているような男なんだ。映画の世界のことだから、どうなるかはわからない。誰にもわからないよ」