Rush / A Farewell to Kings
マニック・ストリート・プリーチャーズ(Manic Street Preachers)のベーシストで作詞家の
ニッキー・ワイアー(Nicky Wire)は、
ラッシュ(Rush)の『A Farewell To Kings』(1977年)が大好き。なぜこのアルバムを愛しているのかを語ったインタビューが、英Classic Rock誌のサイトでアーカイブ公開されています。
もともとはラッシュが2012年のスタジオ・アルバム『Clockwork Angels』をリリースした際に作られたファンパックに掲載されていたもの。ファンパックには同アルバムのCDと132ページのマガジンが封入されていました。
「ラッシュを知ったのは兄の影響で、兄が初めて買ったラッシュのアルバムは『A Farewell To Kings』でした。最初に聴いたときは、プログレよりもメタルの方が好きだった僕たちには理解できなかったけど、タイトル曲には本当に惹かれた。ニール(パート)の最高の歌詞の一つです。“Cities full of hatred, fear and lies/Withered hearts and cruel tormented eyes(憎しみと恐怖と嘘に満ちた都市/心を奪われ、残酷に苦しめられた目)”。バンドによっては、中世の難解な表現だと思うかもしれませんが、僕はそうは思わない。
実際、このアルバムは全体的に重いテーマを扱っている。まるでニーチェのようだよ。神は死んだ、それはすべて終わった、未来に向かって進むんだ。物事が消えていくこと、大切なものが失われていくことについて、さまざまな考え方がある。
“Closer To The Heart”には、誰もが何かに長けていて、配管工であることは、政治家やミュージシャンであることと同じくらい重要であるという、大きな哲学的な魅力があった。これは“By-Tor & The Snow Dog”を書いたロックドラマーの言葉です。
(ドキュメンタリー)『Beyond The Lighted Stage』では、ニールのノートのレイアウトが紹介されていたんだけど、僕はそれを見てさらに彼を尊敬したよ。彼の歌詞は信じられないほど過小評価されている。“Xanadu”は史上最高のインストルメンタル・セクションの一つ。ベースは最高にファンキーでクールだし、ドラムは驚異的だし、リフは“Sweet Child O' Mine”の先駆けだと思うよ。
ゲディのベースは非常に直接的で、後のレコードほど“洗練された”ものではない。彼は最強の指を持っていて、最も弾きにくいベースであるリッケンバッカーを限界まで弾きこなしているように聴こえる。
このアルバムはウェールズのロックフィールド・スタジオにて録音されたものなので、僕にとってより意味のあるものになったことは否定できない。彼らが使った机は、99%間違いなく僕たちが所有している。今は僕たちのスタジオにある。『〜Kings』のサウンドはとてもアーシーで、エッジが効いていよね。『Permanent Waves』はそれから3年後に発売されたけど、もっとモダンなサウンドで、異なる種類の雰囲気を持っていた。
ラッシュのアルバムの中では『Moving Pictures』と並んで一番好きなアルバム。ジャケットを見たとき、荒涼とした風景に驚いたのを覚えている。アルバム全体が孤独とメランコリアに満ちていて、知性に溢れている。プログレ版ザ・スミスのような、深みのあるレコードなんだ」