Beckの1996年アルバム『Odelay』が6月18日にちょうど25周年を迎えました。これを記念してBeckはApple Musicの番組(ホスト:マット・ウィルキンソン)に出演し、このアルバムの制作や、当時
オアシス(Oasis)から受けたサポートについて語っています。
このアルバムについてBeckはこう話しています。
「あまり期待していなかった。うまくいけば発売される程度だと思っていたんだ。大失敗しても、20年後に変な人たちが見つけて“このレコードはクールだった”と言ってくれるだろうと思っていた。明らかに商業的なものではなかったからね。
有名なプロデューサーが僕の家に来て、僕をドライブに連れて行った。彼は“君のアルバムを手に入れたよ”と言ったので僕はびっくりした。“どうやって手に入れたの?まだ友達にもあげてないのに”と思った。彼は“もしリリースしたら、それは大きな間違いだ。このレコードはまだ出すべきではない。もう一度、本物の曲で本物のアルバムを作るべきだ”と言われた。僕はとてもがっかりして家に帰ったのを覚えている。僕は24歳で、ほとんどお金はなく、このレコードを作るために30万ドルほど使ったばかりだった。最低賃金の仕事を10年間続けていれば返済できるかなと思っていた。最悪だ。全てが失敗に終わったと思ったよ」
最終的に、ビースティ・ボーイズの『Paul's Boutique』を手がけたダスト・ブラザーズがプロデュースした『Odelay』は、批評的にも商業的にも大成功を収め、グラミー賞では、年間最優秀アルバムにノミネートされ、オルタナティブ・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
Beckはまた、当時オアシスから受けたサポートについても語っています。
ノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)はこのアルバムの収録曲「Devils Haircut」のリミックスを手掛けています。
「イギリスは、僕がどうしてもライヴができない場所だった。そこには僕への愛が全くなかった。
A&Rのマーク・ケイツから電話があって“ロンドンでギャラガー兄弟と遊んでいて、彼らに『Odelay』を渡したら、彼らは『Odelay』に夢中だ。リミックスをやりたいと言っているよ”。僕は“なんてこった”と思った。彼らは『(What's the Story) Morning Glory?』が発売されたばかりだった。爆発的に売れていたんだ。
それで、彼らはスタジオに入って“Devil's Haircut”のリミックスをやりたいと言ってきた。僕は“リミックスをやっていることすら知らなかった”と思ったよ。
ロンドンのクラシックな小劇場で演奏していたのを覚えている。僕は完全に時差ぼけの状態でステージに出た。60年代のスーツを着ていて、スーツの上着とネクタイをしていた。明らかにグランジではないよね。そして、僕の目の前、最前列にはリアムがいて、僕は彼らがそこにいることが信じられなかった。彼はすべての歌詞を歌っていた...彼は“New Pollution”や“Devil's Haircut”の歌詞をすべて知っていたんだ。だから、“このレコードで驚いたことは何ですか?”と言われて最初に思いついたのは、96年にあの場にいたオアシスが、目の前で歌っているのを見たことだった。あれは、僕の心を揺さぶるものだった。
彼らはとてもオープンで、僕を受け入れて、寛大だった。他のミュージシャンからこのようなことを受けたことはなかった。彼らはただ“君はクラブの一員だ。俺たちの仲間だ”という感じだった。こんな受け入れ方は、音楽を作り始めたばかりの頃に夢見ていたものだった」。