デュラン・デュラン(Duran Duran)のキーボード奏者
ニック・ローズ(Nick Rhodes)は、英国の音楽&楽器のサイトMusicRadarのロング・インタビューの中で、シンセサイザーについて語っています。彼が選ぶ「トップ5シンセ」も発表しています。
「僕はクラシック音楽を学んだヴォーカリストでありヴァイオリニストだけど、学生時代にはミスがつきものだった。そこではミスをすることは許されなかった。すべてが一定の方法で行われなければならなかった。ヴァイオリンの弓の持ち方のような簡単なことでさえもね。9歳の時には、2ヶ月近くも弓の姿勢を練習した。結局、それは音楽の楽しみを奪うことになった。だから、僕は正確にはクラシックの教育を受けたわけではない。
初めてギターを買ったのはウールワース(小売業者)で、ボウイ、ロキシー・ミュージック、セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュなどを聴いて、下手ながらも演奏を学んだ。ミック・ロンソンのようになりたいと思っていたんだけど、僕には無理だったので、シンセサイザーを買って、変な音を出すことにしました。
最初のキーボードはシンセサイザーではなく、叔母のカタログから手に入れたスタイロフォン(※付属のペンで鍵盤をなぞって音を出す電子楽器。子供向けのトイ・シンセ)だった。ペンが2本付いていて、とても面白い音が出た。今でも持っているよ。しかも、動くんだ。
70年代のシンセサイザーはとんでもなく高かった。WASP(シンセサイザー)のために貯金するのに6ヶ月かかった。10代の若者にとって300ポンドは大金だったんだ。
最初のJupiterや Prophet、Crumar Performerなどを手に入れることができたのは、デュラン・デュランがマネジメント契約を結び、レコード会社から少しずつお金をもらえるようになってからでした」
初期のデュラン・サウンドについて聞かれたローズはこう答えています。
「クラフトワークとボウイの間のどこか。それから、ザ・クラッシュのようなパンクバンドのエネルギーを加えようとした。ロキシーやコックニー・レベルもあった。もちろん、ディスコもね。僕たち5人は全員、シックが大好きだった。ラジオ・ルクセンブルグで初めて彼らを聴いたとき、そのグルーヴ感に圧倒されたよ。ジョン・テイラーをギターからベースに転向させたのもこのバンドだ。バーナード・エドワーズについては......なんて言ったらいいんだろう。
80年代前半で一番覚えていることは、素晴らしい音楽がたくさん作られていたことだね。クラフトワークやザ・クラッシュはもちろんのこと、マドンナやプリンス、キュアー、INXS、スージー&ザ・バンシーズ、ヒューマン・リーグ、ザ・スミスなどがいた。僕たちは皆、自分たちの小さなニッチを切り開こうとしていた。他とは違う音を出したかったんだ。
最近では、世の中にたくさんの音楽が溢れているので、それが難しくなっていると思う。バンドはもう人と違う音を出したくないのかもしれない。音楽がアルゴリズムや何かで機能するようになって、他の人と同じように聴こえる方がいいのかもしれない」
「デュラン・デュランのファーストアルバムをリリースしてから40年が経った。でも、驚くべきことに、当時使っていた機材の多くをまだ使っているんだ。僕の3台のJupiterとMoogは、ほとんどすべてのアルバムに入っている。僕は今でもキーボードのパートを手で弾くのが好きなんだ。すべてをMIDIでプログラミングするのは、なんだかズルい気がする。
ツアーを予定しているけど、アナログ・シンセは一切持って行かない。15年ほど前にライヴ活動から引退させたんだ。いつも傷んでいて、修理が難しくなっていたからね。もし、Jupiterを失ったら、どうやって生きていけばいいのかわからないよ。音楽を諦めなければならないと思う」
■ニック・ローズ トップ5シンセ
●Roland Jupiter-8
「僕にとってJupiterは、今でも最も温かみのあるサウンドと最高のデザインのシンセサイザーなんだ。素晴らしく直感的でもある。数学の学位を持っていなくても理解できるんだ。僕が演奏したほとんどのレコードで使われていて、僕のサウンドのほとんどはこのシンセサイザーで作られているんだ。頭の中でノイズを想像できれば、Jupiterでそれを作ることができる可能性があるんだよ」
●Minimoog Voyager
「オリジナルのMinimoogを入れたかったけど、これはアップデート版ということになるね。安定版。Jupiterでいろいろなことができるけど、ボトムエンドとサブベースに関しては、Bob Moogに勝るものはないよ」
●Elka Synthex
「アナログというと、いつも同じ名前が出てくるよね。Roland、Korg、Sequential、ARPとか。Elkaはもう少し無名だけど、彼らのシンセは本当にユニークな音を持っているんだ。
パッドに最適で、他のシンセでは見られない美しいベルサウンドがする。また、音を左右の奇妙な組み合わせに分割する、風変わりなステレオ設定もある。いつも僕を笑顔にしてくれるシンセサイザーです」
●Roland Fantom-8
「先ほど言ったように、僕はデジタル・シンセがあまり好きではないんだけど、これはとんでもなくパワフルなマシンで、Lexicon 224Xに負けないリバーブも付いている。パッチもよく吟味されていて、“何か入れてほしい音はありますか”と尋ねられたときは嬉しかった。
Fairlightの音は僕の提案で、かなり本格的なものだ。アナログ・フィルターも搭載されているので、自分の好きな世界に片足を踏み入れることができる」
●Sequential Circuits Prophet-5
「RolandやMoogと並んで、手放せないシンセ。チップの音は今まで聴いたことのないものだ。レゾナンスをいじると、本当の意味での感情と深みが出てくるんだ。
僕の好きなキーボードプレイヤーの一人であるウォリー・バダロウ(Wally Badarou)はグレース・ジョーンズやトーキング・ヘッズと一緒に仕事をしていたときにProphetを使っていた。とてもエレガントなサウンドのシンセだよ」
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