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8,000年以上前 石器時代の「ダンスパーティ」では動物の歯を使って音楽を奏でていた 最新研究結果

2021/06/07 17:46掲載
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Stone Age Rattle Reconstructed
Stone Age Rattle Reconstructed
フィンランドの研究者たちによると、8,000年以上前、石器時代の「ダンスパーティ」では、動物の歯を使って音楽を奏でていたという。

ヘルシンキ大学のRiitta Rainioによると、石器時代の人類は、ヘラジカの歯のコレクションを自分の服に結び付けて音楽を作り、それにあわせて一緒に踊っていたという。研究者たちは、ロシアのYuzhniy Oleniy Ostrovの埋葬地で、装飾された先史時代の人間の遺体を調べて、このような結論に達しています。この研究は、Cambridge Archaeological Journal に掲載されています。

聴覚の考古学者であるRainioは大学の発表で以下のように述べています。

「ヘラジカの歯を衣服に結び付けた装飾品は、動くとガラガラという大きな音を発します。このようななものを身につけて踊ると、音の世界に没頭しやすくなり、やがて音とリズムに動きを支配されるようになります。まるで、踊り手が誰かに導かれて踊っているかのように」

Rainioは、石器時代の「ダンスパーティー」がどんなものだったかを推測しているだけでなく、自分でも試してみました。Rainioは、ロシアで発見されたヘラジカの歯の装飾品を同じうように身につけて、6時間連続でビートに合わせて踊りました。

アーティストの Juha Valkeapaa の助けを借りて行われたRainioのパフォーマンスは、ダンス中にヘラジカの歯がぶつかり合うにつれて、それぞれの歯が時間とともに摩耗していく様子を明らかにしました。チームはまた、歯の質と装着した数によって、音が変わることも発見しています。

研究者たちは、ダンスの前と後、それぞれの歯を顕微鏡で調べました。そして、歯の損傷をYuzhniy Oleniy Ostrovの埋葬地にあるものと比較しました。

ロシア科学アカデミーの考古学者Evgeny Giryaは、Rainioの実験による歯の欠けや切り傷、滑らかになった表面が、埋葬地にある4つの墓から出土したヘラジカの歯に酷似していることを発見ています。石器時代の歯には、6時間の実験パフォーマンスよりもさらに深い摩耗痕が見られたという。

「石器時代の歯は何年も何十年も磨かれていたのだから、その跡がとても特徴的であることは驚くことではありません」とGirya は言います。

「この音は、現代人を何千年も前の音風景や、身体を導く感情的なリズムへと誘うので、とても魅力的です。目を閉じてガラガラの音を聞けば、音の波に乗って、石器時代の狩猟採集民の世界の湖畔のキャンプファイヤーに向かうことができます」とヘルシンキの考古学准教授授Kristiina Mannermaaは付け加えています。

研究者たちは、この埋葬地で男性、女性、子供の177の墓を発見しました。半分以上の墓には、ヘラジカの歯の装飾品がついた衣服がありました。中には300本以上のヘラジカの歯が付いているものもありました。