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坂本龍一「音楽の学校(=schola)」 プレイリストで楽しむ書籍としてリニューアル 第1弾は『vol.18 ピアノへの旅』

2021/06/02 19:55掲載
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commmons: schola: vol.18 ピアノへの旅
commmons: schola: vol.18 ピアノへの旅
坂本龍一総合監修「音楽の学校(=コモンズ・スコラ)」が、プレイリストで音楽を聴きながら読む書籍としてリニューアル。デザインとともに造本仕様も一新。第1弾として坂本龍一が最も慣れ親しんでいる楽器、ピアノをテーマにした『vol.18 ピアノへの旅』がアルテスパブリッシングから7月下旬発売予定。ピアノ成立史のミステリーを追って、楽器と音楽の長い旅をたどる。

■commmons: schola: コモンズ・スコラ
坂本龍一総合監修〈音楽の学校〉
『vol.18 ピアノへの旅』
坂本龍一+伊東信宏・上尾信也・小室敬幸 著
定価:本体2000円[税別]
四六判変型・上製・200頁(うちカラー8頁)
ISBN 978-4-86559-237-5 C1073
発行・発売:(株)アルテスパブリッシング
クリエイティヴ・ディレクター:空里香
制作協力:KAB Inc.、commmons
取材協力:国立音楽大学、同大楽器学資料館 
ブックデザイン:中島美佳 写真:かくたみほ

<内容>

2008年にVol.1『J. S. バッハ』でスタートし、2018年『ロマン派音楽』まで17巻(CDと本)を刊行してきた、坂本龍一監修のユニークな音楽全集〈音楽の学校=コモンズ・スコラ〉。このVol.18から、プレイリストで音楽を聴きながら読む書籍として生まれ変わります。

リニューアル第1弾のテーマは、坂本龍一がもっとも長く深く付き合ってきた楽器、ピアノ。だれにでも正確で大きな音が出すことができて、「楽器の王様」とも呼ばれるピアノは、ギターと並んで世界的にもっともポピュラーな楽器です。

私たちが慣れ親しんでいるタイプのピアノは、約300年ほど前、18世紀初頭のイタリアでクリストーフォリが作った楽器が元祖とされます。では多くの弦とハンマーアクションを備えた鍵盤を押して音を出す、というピアノの基本的な仕組みは、いったいいつ、どのようにできあがったのでしょうか? ピアノが生まれるまでの歴史をたどっていくと、意外なほど多くの謎に包まれていることが分かってきます。

本書では、紀元前のローマ、ギリシャやイスラム世界まで視野を広げて、そのピアノ成立史のミステリーに挑むとともに、工業化の粋を極めたピアノという楽器とその音楽の本質を多彩な視点から縦横無尽に語り合います。東日本大震災で出会った「津波ピアノ」に象徴されるように、ピアノを不自由で儚い楽器ととらえ近代に抗う坂本の楽器観・音楽観も浮き彫りになります。

ゲストに迎えたのは、ピアノよりさらに古い鍵盤楽器の成立史に詳しい研究者・上尾信也さんと、中欧・東欧の芸術音楽、民族音楽がご専門でピアノをめぐる文化史にも造詣の深い音楽学者・伊東信宏さんのおふたり。

第1部は3人の鼎談。国立音楽大学の楽器学資料館で歴史的な鍵盤楽器に触れたあと(その模様はカラーで紹介)、紀元前のローマ、ギリシャやイスラム世界まで視野を広げて、ピアノ成立史のミステリーに挑みます。

後半の第2部は坂本☓伊東の対談。バッハからライヒまで、坂本が慣れ親しんできたピアノ曲を聴きながら、不自然で不自由で、そこがいじらしくもある楽器=ピアノの本質に迫ります。

対談のなかで取りあげた楽曲のCD音源ガイドを掲載するとともに(伊東さんに加えて気鋭の音楽ジャーナリスト・小室敬幸さんが執筆)、この巻からSpotifyとApple Musicにプレイリストをご用意して、リンクQRコードでご案内します。

※〈コモンズ・スコラ〉は、坂本龍一総合監修のユニークな「音楽全集」。音楽の洪水を泳ぐ指針として企画編纂され、2008年から18年まで17巻をエイベックスより刊行。NHK教育テレビの番組(2010年)も好評を博しました。既刊1〜17巻の詳細はこちらをご覧ください。

◎プレイリスト曲目 Spotify|Apple Music

[1] アンリ・デュティユー〈ピアノ・ソナタ〉第1楽章
ジョン・チェン(p)

[2] J. S. バッハ〈神の時こそいと良き時〉BWV106第1曲「ソナティナ」
マルタ・クルターグ、ジェルジ・クルターグ(p)

[3] フレデリック・ショパン〈バラード第2番ヘ長調作品38〉
マウリツィオ・ポリーニ(p)

[4] ヨハネス・ブラームス〈間奏曲 変ホ長調 作品117-1〉
グレン・グールド(p)

[5] ヨハネス・ブラームス〈間奏曲 変ロ短調 作品117-2〉
グレン・グールド(p)

[6] ヨハネス・ブラームス〈間奏曲 イ長調 作品118-2〉
グレン・グールド(p)

[7] フランツ・リスト〈エステ荘の噴水〉
ダグ・アシャツ(p)

[8] ドメニコ・スカルラッティ〈ソナタ ロ短調 K.87〉
ヴラディーミル・ホロヴィッツ(p)

[9] クロード・ドビュッシー〈雪の上の足跡〉、《前奏曲集》第1集より
A. B. ミケランジェリ(p)

[10] フレデリック・ショパン〈幻想曲ヘ短調 Op. 49〉
ヴラド・ペルルミュテール(p)

[11] モーリス・ラヴェル〈ソナチネ嬰ヘ短調 M. 40〉第1楽章
ヴラド・ペルルミュテール(p)

[12]W. A. モーツァルト〈ピアノ・ソナタ第10番ハ長調Kv.330〉
クリスティアン・ベザイデンホウト(p)

[13]L. v. ベートーヴェン
〈ピアノ・ソナタ第29番Op.106「ハンマークラヴィーア」〉第1楽章
ヴィルヘルム・バックハウス(p)

[14]L. v. ベートーヴェン
〈ピアノ協奏曲第3番〉第1楽章
ヴィルヘルム・バックハウス(p)カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

[15]ビル・エヴァンス〈ピース・ピース〉

[16]スティーヴ・ライヒ〈ピアノ・フェーズ〉

[17]坂本龍一〈Solitude〉、『トニー滝谷 オリジナルサウンドトラック』より

[18]大貫妙子・坂本龍一〈夏色の服〉、『UTAU』より

[19]坂本龍一〈andata〉、『async』より