書籍『ウルトラマンの「正義」とは何か』が青弓社から5月27日発売予定。作品に関わった脚本家や演出家、映画監督にインタビューをして、『ウルトラマン』や『セブン』『タロウ』などの制作現場で「正義」の物語がどう紡がれたのかに光を当てる。
■『ウルトラマンの「正義」とは何か』
花岡 敬太郎(著)
四六判 242ページ 並製
定価:2400円+税
ISBN:978-4-7872-3489-6 C0036
現在もシリーズが放送され人気を博す、戦後日本の大衆文化を代表するコンテンツである『ウルトラマン』。作品内でウルトラ兄弟たちはこれまで誰を守り、何と戦ってきたのか。
上原正三や田口成光、鈴木清、山際永三ら、作品に関わった脚本家や演出家、映画監督にインタビューをして、『ウルトラマン』や『セブン』『タロウ』などの制作現場で「正義」の物語がどう紡がれたのかに光を当てる。
予算やスケジュールの都合、外部からの要求、視聴者の期待――映画からテレビへという大きな変化のただなかで、制作者たちが「テレビで物語を紡ぐこと」の意義を自問し思考し続けて、ウルトラマンが守る日常を作品ごとに作り上げたプロセスをたどる。
もう一つの特撮人気作品である『仮面ライダー』も参照しながら『ウルトラマン』シリーズの変遷を追い、文化を紡ぐ人々の営みと現場の葛藤から戦後日本の時代性をも照らし出す。
<目次>
序 章 「ウルトラマン論」の現在地を考える
1 「戦後」を俯瞰する議論
2 戦後史のなかの特撮ヒーロー
第1章 タケダ・アワーと『ウルトラQ』
1 テレビで物語を紡ぐ――タケダ・アワーの誕生
2 円谷英二のテレビへの期待と『ウルトラQ』
第2章 『ウルトラマン』のポリティクス
1 『ウルトラマン』誕生
2 『ウルトラセブン』の挑戦と限界
第3章 転換点としての『帰ってきたウルトラマン』
1 『帰ってきたウルトラマン』への期待と葛藤
2 揺れ動く『帰ってきた』の物語
3 「許されざるいのち」の物語
第4章 動揺と収斂を繰り返すウルトラマンの物語
1 平山亨と『仮面ライダー』
2 『ウルトラマンA』の動揺
3 『ウルトラマンタロウ』の堅調と『ウルトラマンレオ』の大苦戦
終 章 『ウルトラマン』の正義とは何だったのか
1 『仮面ライダー』シリーズの顛末
2 ウルトラマンの「正義」とは何だったのか
3 ウルトラマンの「正義」はどこへ向かうのか
あとがき
<著者プロフィル>
花岡 敬太郎(ハナオカ ケイタロウ)
1983年、千葉県生まれ。明治大学大学院特別補助講師。専攻は大衆文化史、日本近・現代史。共著に『日本生活史辞典』(吉川弘文館)、論文に「「帰ってきたウルトラマン」制作過程から読み解く1970年代の変容の兆し」(「文学研究論集」第49号)など。