本さくはレーベルに所属する現役アーティスト18組が過去40年の間に残されたカタログから好きな楽曲を選び、カヴァーすることによって新たな息吹をもたらすというコンセプトのもと制作された。往年のファンであれば気付くとおり、コクトー・ツインズの名曲「Cherry-Coloured Funk」の歌詞を冠した今回のコンピレーション作品の18曲には、アーティストと楽曲の間に素晴らしいケミストリーが宿っている。最も初期の楽曲は、U.S. ガールズが選んだ1981年のザ・バースデー・パーティーの「Junkyard」であり、最も新しいものは2012年のグライムスの2曲をスペンサーとドライ・クリーニングがそれぞれカヴァー。ビッグ・シーフ、ブラッドフォード・コックス、チューン・ヤーズと現在の看板アーティストたちは揃って〈4AD〉の過去と現在の架け橋となっているブリーダーズをカヴァーし、ディス・モータル・コイルによるティム・バックリーの「Song To The Siren」の伝説的なカヴァー(バックリーの『Starsailor』以前のアコースティック・ヴァージョン)の遺伝子はソンへと見事に受け継がれている。さらに新たに契約したこれからのリリースが待たれるエラード・ネグロ、マリア・サマーヴィル、ベッキー・アンド・ザ・バーズがレーベルのディープな歴史を掘り起こし、ピクシーズのクラシック「Gigantic」はビング・アンド・ルースによってラディカルなピアノ・インスト・ヴァージョンへと変貌。〈4AD〉のレーベル名の由来でもある「FORWARD=FWD=4AD=前進」をまさに体現したクリエイティヴなメモリアル・アルバムがここに誕生した。