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ホール&オーツのカルトMV「She's Gone」 誕生の経緯&テレビ局を激怒させた理由をジョン・オーツ語る

2021/03/18 15:50掲載
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Hall & Oates - She's Gone video
Hall & Oates - She's Gone video
1973年、ホール&オーツ(Hall and Oates / Daryl Hall & John Oates)は、彼らのキャリアの中で最も奇妙なミュージックビデオを制作しました。彼らは当時、「She's Gone」をヒットさせており、フィラデルフィアのテレビ番組『teenage dance show』に招待され、この曲を“口パク”で演奏するよう依頼されます。彼らはその代わりに、奇妙なコンセプトのミュージックビデオを撮影。しかし、テレビ局のスタッフがそのビデオに激怒し放送を拒否。長年お蔵入りとなっていましたが、ネット時代になって日の目を見て、今ではカルト的な人気を博しています。

ジョン・オーツ(John Oates)は最近、米Yahoo!でこのビデオについて語っています。

ジョン・オーツは「彼らは僕たちに口パクすることを望んでいた」と説明。彼らはその代わりに別のアイデアを思いつきました。「ある夜、ニューヨークで共同生活をしていたアパートで、ダリルと僕は“何かクレイジーなことをしよう”と言った」とオーツは回想します。

2人はすぐに、ツアーマネージャー、当時のホールのガールフレンド、テンプル大学の映画学生だったオーツの妹など小さなチームを編成しました。彼らは奇妙なビデオコンセプトを思いつき、アパートから家具を持ち出してテレビ局へ向かいます。

「小さなチームをフィラデルフィアに連れ、地元のテレビ局に行った。彼らは、僕たちが歌うふりをすることを完全に期待していました。そんななか、僕たちは椅子や小道具などを持って現れたんだ」

彼らはスタジオのスタッフからはあまり歓迎されなかったようで、「彼らは僕たちをどうすればいいのかわからず、自分たちを馬鹿にしていると思っていた」「彼らは本当に腹を立てていた」と回想しています。

また、このビデオの素人っぽさは、真剣に仕事をしている地元のテレビ関係者をいらだたせたようで「映画学科の学生である20歳の女の子が、みんなで書いた脚本を持っている。彼女がコントロールルームに入ってくると、スタッフらが彼女や僕らに“ここで何をやっているんだ。何をしているんだ”と話し始めた」

その結果、奇妙で愉快なビデオができあがっています。ホール&オーツは、曲の演奏に合わせて時折口パクをするだけで、終始無表情のままです。謎の女性が画面を横切り、続いて悪魔が登場します。モノポリーのお金が散らばっています。ホールはバスローブを羽織っています。オーツは、最初はノースリーブのタキシードのような服を着ていますが、後にペンギンの足ヒレを履き、足ヒレでギターソロを演奏しています。

後になって、オーツはこの作品を 「パフォーマンス・アート」と表現しています。しかし、テレビ局のスタッフは面白くなかったようです。

「彼らは激怒した」「彼らは(ビデオの)再生を拒否した。番組では流されなかった。そして、彼らは僕たちのレコード会社に電話して、フィラデルフィアのラジオから僕たちを追放する、二度と放送しない、と言ってきたんだ。“君たちのキャリアは終わりだ!”と、大騒ぎになった。レコード会社は“君たちはここで何をしたんだ”という感じだった。僕たちはずっと笑っていた。今までやったことのないような愉快なことだと思ったんだ」

この映像は何十年もの間、放送されませんでしたが、デジタル時代のおかげで、ファンはその奇妙さに浸ることができました。

「YouTubeが始まった頃、“これを投稿しなきゃ”と言ったんだ」「僕はいつも映像を持っていました。アップロードできるプラットフォームができ、僕が最初に言ったのは、まず“She's Gone”のビデオを世に出さなければならない」ということでした。

その後、このビデオはカルト的な人気を博し、オンラインで何百万回も再生されています。

「She's Gone」のミュージックビデオ