HOME > ニュース >

アル・ディ・メオラ、チック・コリアとの思い出を語る リターン・トゥ・フォーエヴァー加入の逸話など

2021/03/07 19:45掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Return to Forever- Al Di Meola, Stanley Clarke, Chick Corea and Lenny White. - Photo Lynn Goldsmith, Associated Press
Return to Forever- Al Di Meola, Stanley Clarke, Chick Corea and Lenny White. - Photo Lynn Goldsmith, Associated Press
アル・ディ・メオラ(Al Di Meola)は、リターン・トゥ・フォーエヴァー(Return to Forever)のバンドメイト、チック・コリア(Chick Corea)との思い出を、米国のギター誌Guitar Worldで語っています。リターン・トゥ・フォーエヴァー加入の逸話、チックから学んだこと、リターン・トゥ・フォーエヴァー解散についてなど。

インタビュアー:あなたは、先月79歳で亡くなったチック・コリアとのリターン・トゥ・フォーエヴァーで有名になりましたね。彼との時間を振り返ってみて、一番の思い出は何ですか?

アル・ディ・メオラ「僕はすでに伝説的なグループの中に入れて、とても幸運だったよ。リターン・トゥ・フォーエヴァーは参加する前から、世界で一番好きなバンドだったんだ。

クールな話をすると、当時僕はバークリー(音楽大学)にいて、リターン・トゥ・フォーエヴァーの2つの異なるヴァージョンで見たことがある。最初はビル・コナーズがギターで参加していた。それから二度目に観に行った時は、ロサンゼルスのオーフィウム・シアターで、誰がギターを弾いていたかというと...アコースティック・プレイヤーのアール・クルーがギターを弾いていたんだ。彼がレス・ポールを持って立っているのを見たんだけど、全く場違いだったよ。

その後、ニュージャージーの親友に電話して“このバンドで演奏できるチャンスがあればいいのに。夢のような話だね”と言ったのを覚えている。僕が言ったのはそれだけ。僕の友人はたまたまアマチュアのレコーディング・エンジニアで、僕が演奏したテープを持っていたんだけど、それを聴いてくれるかどうかを確認するために、チックと彼のマネージャーを追いかけることになるとは思ってもみなかった。

後日チックから聞いた話は“テープを持って僕たちから離れようとしない男がいた。それを聴いて、びっくりしたよ”というものだった。それで、僕はお気に入りのバンドに参加することになり、3日後にカーネギーホールで演奏した。それがリターン・トゥ・フォーエヴァーでの最初のショーだった」

インタビュアー:お気に入りのリターン・トゥ・フォーエヴァーの曲はありますか?

「たぶん、19歳の時に初めて彼らと一緒にやったレコード(1974年の『Where Have I Known You Before/邦題:銀河の輝映』)からの“Song to the Pharoah Kings”だと思う。これは僕が自分のバンドでも演奏している曲だよ。それから僕にとってのリターン・トゥ・フォーエヴァーの3枚目のアルバム(『Romantic Warrior/邦題:浪漫の騎士』)に収録されている“Duel of the Jester and the Tyrant(邦題:道化と暴君の決闘)”という曲は、おそらく僕を名を確固たるものにしたんだろうね。

『Romantic Warrior』で僕は本当の自分になった気がする。最初のレコードでは“Song to the Pharoah Kings”を書いたんだけど、僕はまだ赤ん坊で、プールの底で泳ぐ方法を見つけようとしていたんだ。まだそこにはたどり着けていなかったんだ。でも『Romantic Warrior』で自信がついたんだ」

インタビュアー:チックから何を学びましたか?

「チックから得たものは、とてつもない量だった。僕は彼をロールモデル(模範となる人物)として尊敬していた。彼はメンター(信頼できる師)だった。彼は素晴らしい即興演奏のスタイルを持っていたが、タイミングとシンコペーションのセンス、そして彼の作曲も素晴らしかった。その多くがソングライターとしての僕にインスピレーションを与えてくれた。

彼は僕たち全員に曲を書かせたがっていたけど、僕はそれは非常に奇妙だと思った。でも彼は僕らに書くように促した。それがリターン・トゥ・フォーエヴァーの失敗だったと思うよ。僕らが有名になってから、チックは問題を抱えていたと思う。それは僕らのせいではない。でも僕らは世界で初めてグループ契約を結んだバンドだったと思うし、ソロ契約もそれぞれのメンバーで結んでいた」

インタビュアー:あなたの考えでは、皆さんがソングライターになり、個人的に有名になったという事実が、あなた、チック、スタンリー・クラーク、レニー・ホワイトのリターン・トゥ・フォーエヴァーのラインナップを解散させることにつながったのでしょうか?

「そうだと思う。僕たちはマディソン・スクエア・ガーデンのような会場で演奏しようとしていたところだったんだけど、チックが完全に別の方向に変えることを決めたんだ。それには動揺したけど、一方では“自分たちのキャリアを続けよう”という気持ちになったんだ。でも、みんなの中で僕が一番動揺したのは、『Romantic Warrior』タイプのレコードがあと、少なくとも5枚はあったからだと思う」