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ジミ・ヘンドリックスの未発表音源集『People, Hell and Angels』、曲目&詳細が明らかに

2012/11/27 10:51掲載
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Jimi Hendrix / People, Hell and Angels
Jimi Hendrix / People, Hell and Angels
ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)の未発表音源集『People, Hell and Angels』。曲目&詳細が明らかに。

海外で2013年3月5日に発売される本作は、68〜69年にニューヨークで録音していた未発表音源集。ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの活動とは別に制作していた音源で、ホルンやキーボード、パーカッション、セカンド・ギターなどを駆使して、それまでのギターメインの楽曲とは異なる、新たなサウンドを模索していた、と説明されています。

アルバムは全12曲入り。その大半がベースにビリー・コックス、ドラムにバディ・マイルスを迎えたトラックですが、一部楽曲にはラリー・リー、ミッチ・ミッチェル(Mitch Mitchell)スティーヴン・スティルス(Stephen Stills)が参加しています。

以下はプレスリリースの日本語訳
ジミが火をつけたのは、ギターだけではなかった――12の未発表スタジオ録音から成るジミ・ヘンドリックスの新作『ピープル、ヘル&エンジェルズ(People, Hell & Angels)』。オリジナル・エクスペリエンスとは別に躍動していた伝説のギタリストの姿をはっきりと映し出す特別なアルバムだ。1968年以降、ジミ・ヘンドリックスは何かに急かされるように、旧友や新編成を従えて新たな素材の開発に意欲的に取り組んでいた。エクスペリエンスをロック界最大の興行収益を叩き出すアーティストとして確立するとともに、彼らのアルバムを2枚同時に全米売上チャートのトップ10内へと押し上げた巨大な聴衆の目の届かないところで、ジミは密やかに自身の音楽的声明作りに勤しんでいた。

12の録音はそれぞれ独自のサウンドとスタイルを有しており、さまざまな要素が組み入れられている――管、鍵盤、パーカッション、セカンドギターなど、いずれもジミが自身の新たな音楽に加えたいと思っていたものだ。史上屈指の輝きを見せるギターワークを収めた本作『ピープル、ヘル&エンジェルズ』は、ソングライター、ミュージシャン、プロデューサーとしてのジミ・ヘンドリックスの成長ぶりを感動的なほど色鮮やかに見せてくれる。

ジェイニーL.ヘンドリックス氏(エクスペリエンス・ヘンドリックス社CEO、ジミの実妹)は下記のようにコメントしている。
「弟の生誕70周年の年に、『ピープル、ヘル&エンジェルス』のリリースを発表できて大変嬉しく思います。本作品のあまりある素晴らしさは、誰もが分かっていることを改めて強調するでしょう。今までもこれからも、音楽の力でジミに比類する者はいないのです。また、彼はこれから先、幾世代にもわたって皆に愛され、インスピレーションを与え続けるでしょう…つまり、彼は永遠の存在なのです。」

また、アダム・ブロック氏(米ソニー・ミュージックグループ、レガシー・レコーディングスの会長)は下記のように語る。
「『ピープル、ヘル&エンジェルス』によって、私たちはジミ・ヘンドリックスという天才をより深く知ることができるでしょう。彼は、斬新なリズムや楽器の組み合わせを用いた無限の可能性に満ちた新たなサウンドで、音楽の新たな地平に明かりを点したのです。」

【『ピープル、ヘル&エンジェルス』収録曲解説】

「アース・ブルース」
1971年に『レインボー・ブリッジ』の1曲として初めて世に出たヴァージョンとはまるで違う。1969年12月19日に収められたこのマスターテイクが擁するのは、ヘンドリックス、コックス、マイルズの3人のみ。贅肉をそぎ落としたファンク、原初の姿がここに。

「サムホエア」
新たに発見されたこの至宝は1968年3月の録音で、ドラムがバディ・マイルズ、ベースがスティーブン・スティルス。これまで耳にできたどのヴァージョンともまったく異なる。

「ヒア・マイ・トレインAカミン」
後に革新作『バンド・オブ・ジプシーズ』を吹き込む強力リズム・セクション、ビリー・コックス&バディ・マイルズとの初レコーディング・セッションで録られた、卓越したテイク。ジミと同じく、コックスとマイルズもブルースを深く愛し、「●新種●ルビ(ニュータイプ)のブルース」の創出に燃えるジミの情熱をよく理解していた。豊かな遺産に新たに加わったこの名ヴァージョンの中核を成すのが、ジミの鬼気迫るリードプレイだ。

「ブリーディング・ハート」
長らくジミのお気に入りだったエルモア・ジェイムズによる傑作。ロイヤル・アルバート・ホールでエクスペリエンスと演った翌週、ジミはニューヨークにおける一連のスタジオ・セッションでこの曲にあらためて取り組んだ。これは1969年5月、「ヒア・マイ・トレニンAカミン」と同じセッションで録られたもの。どんなアレンジとテンポで演りたいのか、ジミの中に迷いは微塵もなかったに違いない。開始前、ジミはコックスとマイルズに通常のアレンジとはまったく違うビートで行きたいと指示している。その直後に飛び出したのが、過去の試みとは似ても似つかないこの驚愕の解釈だった。

「レット・ミー・ムーヴ・ユー」
1969年3月、ジミが連絡を取ったのが旧友のサックス奏者ロニー・ヤングブラッドだった。1966年夏、チャス・チャンドラーに見いだされる前、彼は無名のスタジオ・ミュージシャンとしてヤングブラッドの録音に臨み、「ソウル・フード(Soul Food)」などの強力なリズム&ブルース・シングルを産んでいた。ジミとヤングブラッドによるリックの応酬が刻まれた、前代未聞の超高速ロック&ソウル・クラシックだ。

「イザベラ」
ウッドストックの興奮冷めやらぬ1969年8月、ジミは新バンド、ジプシー・サン&レインボウズをエンジニアのエディ・クレイマーと共にヒット・ファクトリーに召集している。「イザベラ」はウッドストックで初披露された新曲のひとつで、ジミはスタジオ版として早く仕上げたいとの情熱に駆られていた。この新ヴァージョンは1970年にリプリーズから発売されたバンド・オブ・ジプシーズのシングル用マスターとは著しく異なり、伝説の「チトリン・サーキット」時代の盟友ラリー・リーをリズムギターに擁している。

「イージー・ブルース」
廃盤になって久しい1981年作『ナイン・トゥ・ザ・ユニヴァース』に一部だけ収録されて短期間出回った、奔放なる美しきインスト・ナンバー。今回お届けするものにはその2倍近くの尺があり、ジミ、ラリー・リー、ビリー・コックス、ミッチ・ミッチェルが繰り広げる壮絶なインタープレイが楽しめる。

「クラッシュ・ランディング」
ジミ亡き後、セッション・ミュージシャンがオーバーダブを加えたことで物議を醸した1975年のアルバムのタイトル曲としてなじみがあるだろうが、この1969年4月のオリジナル録音は今回が初出となる。ビリー・コックスとチェリー・ピープルのドラマー、ロッキー・アイザックを従えて吹き込まれた、当時のジミの彼女デヴォン・ウィルソンに対する薄衣に包まれた警告の歌だ。

「インサイド・アウト」
ジミはリズムパターンの可能性に深く魅せられており、その思いは最終的に「イージー・ライダー」として形を成すことになる。ここではミッチ・ミッチェルを従え、ジミがベースおよびギターの全パートを録っている。レスリー・スピーカーで増幅された劇的なリードプレイは圧巻。

「ヘイ・ジプシー・ボーイ」
荘厳なる「ヘイ・ベイビー(ニュー・ライジング・サン)」の源は、この1969年3月の録音に遡る。1975年に『ミッドナイト・ライトニング』の一部として短期間だけ出回った死後にオーバーダブを加えられたものとは異なる、バディ・マイルズを従えてのオリジナル録音がこれだ。

「モジョ・マン」
ゲットー・ファイターズとして知られるヴォーカル・デュオ、アルバートとアーサーのアレン兄弟にジミはたびたび力を貸していた。彼らとは、エクスペリエンスで名を成す遙か前、ハーレム時代からの仲だった。今回初登場となるこのマスターは、アレン兄弟がアラバマ州マッスル・ショールズの高名なるフェイム・スタジオで録り、エレクトリック・レディ・スタジオのジミに託したもの。ジミは彼らの録音を当時のR&Bの枠を越え、ロックとリズム&ブルースの混合へと昇華させる術を心得ていた。ジミを有名にした異種配合の妙が聞ける。

「ヴィラノヴァ・ジャンクション」
ウッドストックでの名演以前、1969年5月にジミはこのスタジオ版をビリー・コックスとバディ・マイルズを従え、本作収録の「ヒア・マイ・トラインAカミン」と「ブリーディング・ハート」を産んだのと同じセッションで残していた。ついに完成を見ることはなかったが、この曲はジミが形にしたいと願って止まなかった創意豊かな発想の一例としてそびえ立っている。
●『People, Hell & Angels』

1. Earth Blues
2. Somewhere
3. Hear My Train A Comin
4. Bleeding Heart
5. Baby Let Me Move You
6. Izabella
7. Easy Blues
8. Crash Landing
9. Inside Out
10. Hey Gypsy Boy
11. Mojo Man
12. Villanova Junction Blues