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ソニーの世界初ポータブルCDプレーヤー『D-50』やローランド『TR-808』が「未来技術遺産」に

2019/09/03 16:38掲載(Last Update:2019/09/03 16:42)
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ローランド『TR-808』
暮らしや産業に影響を与えた日本の技術や製品を伝えるため、国立科学博物館が登録を行っている重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)に、ソニーが開発した世界初ポータブルCDプレーヤー『D-50』が新たに選ばれています。『D-50』(1984年発売)はCD普及の起爆剤となったポータブルCDプレーヤーで、その後の同社の「CDウォークマン」の原型です。今回、CDの世界を開いたプレーヤーの一号機である、世界初コンパクトディスクプレーヤー『CDP-101』と共に未来技術遺産に登録されます。

またローランドが開発した、音楽シーンに大きな影響を与えたリズムマシン『TR-808』も「未来技術遺産」に選ばれています。

以下ローランドのプレスリリースより

ローランド株式会社が1980年に発売し、さまざまな音楽シーンに大きな影響をもたらしたリズムマシン『TR-808』が、国立科学博物館(東京都台東区)により2019年度「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録されました。

国立科学博物館2019年度「重要科学技術史資料」に登録された『TR-808』
「重要科学技術史資料」は、国立科学博物館の産業技術史資料情報センターが、日本国内の科学技術史において「科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」に該当する資料を選定し、「重要科学技術史資料登録台帳」への登録を行っています。2008年度から毎年登録が実施されており、「重要科学技術史資料」に電子楽器が登録されるのは今回が初めてとなります。

1980年に発売された『TR-808』は、重厚な低音、機械的でありながらも独特なグルーブ感、望み通りのリズム・パターンを作成できる自由度などが評価され、画期的なリズムマシンとして当時のミュージシャンやプロデューサーの音楽制作に大きな影響を与えました。また、1980年代以降に隆盛を極めたヒップホップやハウス、テクノから最新の音楽シーンに至るまで、多くのアーティストの支持を得ています。

ローランドは現在、『TR-808』発売当時の設計仕様書や実際の回路を徹底的に解析し、サウンドはもちろんアナログ回路特有の振る舞いまでを独自のデジタル技術で精密に再現しつつコンパクト化した「Roland Boutique(ローランド・ブティーク)シリーズ」の「TR-08」や、「TR-909」「TR-707」などの歴代ローランド・リズムマシンの音色と現在の音楽制作に必要な機能まで兼ね備えた「AIRAシリーズ」の「TR-8S」を発売し、幅広い層のアーティスト/クリエーターから高い評価を得ています。


今回、「未来技術遺産」に新たに選ばれたのは以下の計26件。ヤマハの『電子オルガン』『デジタルシンセサイザー』『FM音源LSI』についてはこちら。9月10日に東京 台東区の国立科学博物館で登録証の授与式が行われます。

●発酵アルコールもろみ蒸留塔
― 日本の工業と農業を振興した発酵アルコール ―
日本アルコール産業株式会社 1938

●発酵アルコールの蒸留塔棚段
― 日本の工業と農業を振興した発酵アルコール ―
日本アルコール産業株式会社 1939

●セルロイド圧搾用試験機
― プラスチックの原点・セルロイドの品質管理に貢献 ―
株式会社ダイセル 1954

●無菌注射器 ジンタンシリンジ 5mL
― 医療現場の感染対策と採血業務の効率化に貢献 ―
テルモ株式会社 1963

●自動血球計数装置 CC-1001
― 日本独自に開発した技術により血球計数の真の自動化を開拓 ―
シスメックス株式会社 1963

●インバータ駆動エアコン(RAS-225PKHV)
― 世界初の家庭用インバータ・エアコン ―
東芝キヤリア株式会社 1981

●PAM 制御インバータエアコン(RAS-501HX2)
― 世界初の PAM 制御インバータ家庭用エアコン ―
日立ジョンソン コントロールズ 空調株式会社 1997

●液晶デジタルクオーツ腕時計「セイコークオーツ LC V.F.A. 06LC」
― 世界初 6 桁液晶表示の腕時計 ―
セイコー ホールディングス株式会社 1973

●太陽電池アナログクオーツ腕時計「シチズン クオーツ クリストロン ソーラーセル」 Cal.8629-7J
― 世界初の太陽電池式アナログクオーツ腕時計 ―
シチズン時計 株式会社 1976

●カシオ耐衝撃デジタルクオーツ腕時計「カシオ ヘビー デューティースポーツ DW-5000C」(G-SHOCK)
― 驚異の耐衝撃性を備えた最初の G-SHOCK ―
カシオ計算機 株式会社 1983

●世界初コンパクトディスクプレーヤー CDP-101
― CD の世界を開いたプレーヤー 一号機 ―
ソニー 株式会社 1982

●世界初ポータブル CD プレーヤー D-50
― CD 普及の起爆剤となったポータブル CD プレーヤー ―
ソニー 株式会社 1984

●世界初の光ファイバ通信実験に用いられた変調素子(ADP 結晶)
― 光ファイバ通信時代の幕開け ―
東京工業大学 博物館 1963

●4心光ファイバケーブル
― 世界で初めて実用化された光ファイバケーブル ―
古河電気 工業株式会社 1974

●VAD 法光ファイバ母材製造装置
― 日本で開発された光ファイバ量産製法 ―
日本電信電話 株式会社 1977 頃

●F-32M-1 形端局中継装置
― 世界で初めて商用化された F-32M 方式端局中継装置 ―
日本電信電話 株式会社 1981

●碧素アンプル
― 日本のペニシリン開発の証 ―
日本感染症 医薬品協会 1944

●碧素製造許可申請書
― 知られざる日本のペニシリン開発 ―
明治ホールディングス 株式会社 1945

●ハンザ・キヤノン
― 日本の小型精密カメラの出発点となった機種 ―
日本カメラ 財団 1935

●アサヒフレックスⅠ型
― 国産 35 ミリ一眼レフカメラの原点 ―
日本カメラ 財団 不明(初出 1952)

●ニコン F
― 世界が認めた一眼レフカメラの完成形 ―
株式会社ニコ 1959

●【 モーターコア打抜き金型 】
(1)超高速金型
(2)自動積層金型 MAC (Mitsui Automatic Core Assembly) 1 号機
― 家電用モーターの量産を支えた金型技術 ―
株式会社 三井ハイテック (1)1974、(2)1975

●電子オルガン D-1(エレクトーン)
― 日本の電子楽器の技術と音楽教育の原点となった電子オルガン ―
ヤマハ 株式会社 1959

●プログラマブル・リズムマシン リズム・コンポーザー TR-808
― 1 曲分のリズムを自由にプログラムでき、音楽シーンに大きな影響を与えたリズムマシン ―
ローランド 株式会社 1980

●デジタルシンセサイザー DX7
― 表現力豊かな FM 音源を搭載し、音楽シーンを変えたデジタルシンセサイザー ―
ヤマハ 株式会社 1983

●【 FM 音源 LSI 】
(1)YM3526
(2)YMU757
― マルチメディアや携帯電話に高音質なメロディー音をもたらした FM 音源チップ ―
ヤマハ株式会社 (1)1986、(2)2000

詳細は以下のPDFファイルでご覧になれます。
https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/219997.pdf