ザ・スリッツ(The Slits)のドキュメンタリー映画『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード(Here to be Heard: The Story of The Slits)』と、米オルタナティブ・ロック・バンドL7のドキュメンタリー映画『L7:プリテンド・ウィ・アー・デッド(L7: Pretend We're Dead)』のBlu-ray/DVDリリースが決定。7月10日発売。
若き日のマドンナも魅了した世界初の女性のみのパンクロック・グループ、スリッツの歴史を70年代中ごろのバンド結成時から、解散以後のメンバー個々のストーリー、2005年の再結成、そして2010年、本作の制作中に癌でヴォーカルのアリ・アップが亡くなるまでを追ったドキュメンタリー映画。パンク/ニューウェイブ〜レゲエ/ダブなどを貪欲かつ自由に取り入れた伝説のバンドをアーカイヴ映像や初めて公となる写真の数々、メンバーの証言やファン、スリッツに影響を受けてきた面々のインタビューで構成された本作。インタビューはスリッツの多くのメンバーたちのほか、ROXY CLUBのDJでありパンクドキュメンタリー作家のドン・レッツ、アルバム「CUT」のプロデューサーであるデニス・ボーヴェル、ポール・クック(THE SEX PISTOLS)、ジーナ・バーチ(THE RAINCOATS)、アリソン・ウルフ(BRATMOBILE)など多岐にわたり、スリッツが如何に進化し、世界中の人々に影響を与えていったかを描いている。監督は2011年のデビュー作であるバンド「KARP」のドキュメンタリー映画『Kill All Redneck Pricks: A Documentary Film about a Band Called KARP』のウィリアム・E・バッジリー。2018年12月の映画公開時には音楽ファンが映画館に詰めかけ、上映が当初の2週間を大幅に延長する事態に。さらに根強いリクエストにより早稲田松竹にて5月18日(土)から1週間の上映も決定している。
■『L7:プリテンド・ウィ・アー・デッド』 2017年/アメリカ 英題:L7:PRETEND WE’RE DEAD
先日20年ぶりのアルバム『Scatter the Rats』を発表したことも話題の米国ロサンゼルスの女性4人組ロックバンド、L7の歴史を網羅したドキュメンタリー映画『L7:プリテンド・ウィ・アー・デッド』。1985年の結成時のエピソードから<グランジの女王>に上りつめた時代、そして2001年の解散まで、完全にメンバーの視点でそのキャリアを描いていく。アメリカのパンク/ハードコアシーンから出てきたL7はエピタフレコードで1stアルバム発売後、グランジ/オルタナ・ムーブメントの象徴サブポップで2ndを発売、3rdからはLAパンク最重要レーベルであるワーナー傘下スラッシュレコードでメジャーに進出、ヘヴィでノイジーなギターを軸にした陰鬱なサウンドで一部メタル界からも支持を集めたほか、ニルヴァーナやレッド・ホット・チリ・ペッパーズとのツアー、巨大フェスの94年ロラパルーザではビースティ・ボーイズやグリーン・デイらとメインステージをつとめるなど、オルタナバンドの代表格的な存在感を示した。また同年4月に行われた初来日公演はHi-STANDARDがサポート・アクトにつき、恵比寿ギルティでの東京公演は酸欠ライヴとなり、伝説となっている。他にはジョン・ウォーターズ監督のリクエストにより映画『シリアル・ママ』に出演、映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』『タンクガール』などにも楽曲が使われている。映画はほぼ全篇メンバーが当時から撮っていた100時間超におよぶホームビデオの映像と新規インタビューの声で構成され、一般的な音楽ドキュメンタリーとは異なった作りとなっている。