浜田麻里が表紙を飾る『BURRN! JAPAN Vol.12』の発刊を記念したトーク・イベント<BURRN! JAPAN Vol.12 制作秘話>が12月10日に阿佐ヶ谷ロフトAにて開催されています。登壇者は広瀬和生(BURRN!編集長)、制作スタッフの増田勇一、土屋京輔。ゲストはK-A-Z、下山武徳(SABER TIGER)。当日のレポート到着。
写真左より土屋京輔氏、広瀬和生(BURRN!編集長)、増田勇一氏
「BURRN! JAPAN Vol.12」発刊記念のイベント<BURRN! JAPAN Vol.12 制作秘話>が12月10日に阿佐ヶ谷ロフトAにて開催された。登壇者は
広瀬和生(BURRN!編集長)、制作スタッフの増田勇一さん、土屋京輔さん。ゲストにK-A-Zさん、下山武徳さん(SABER TIGER)を迎えてのトークとなった。
広瀬和生(以下広瀬):今晩は、BURRN!の広瀬和生です、よろしくお願いいたします。
増田勇一(以下増田):増田勇一です、よろしくお願いします。
広瀬:映画「ボヘミアン・ラプソディ」の字幕監修をされてる増田さんです(笑)、そして。
土屋京輔(以下土屋):土屋京輔です、よろしくお願いします。
広瀬:PURE ROCK JAPANを運営されている土屋さんです。
増田:今日は肩書きを付けるんですか?(笑)
広瀬:(笑)え〜今回のBURRN! JAPANのイベントは、本の発売から時間が経ってしまって、次の号の方が近い感じなんですけど、まずは乾杯を。
増田:スケジュールが混んでいて、こちらの場所がなかなか取れず、ようやく今日になったんですが、ここにいらっしゃった方はBURRN! JAPANを読んでいただけてることと思いながら、色々な話をしますので飲みながら楽しんでいただければ。まずは乾杯をさせていただきます。
広瀬:浜田麻里さんに乾杯!
全員:乾杯〜!(場内大拍手)
広瀬:皆さん、アルバムは聴きました? 浜田麻里さんって、僕にとっては大学卒業後ビクター音産に入り、『Blue Revolution』の販売促進用ポスターの写真を選んだ──という覚えが。それで、今回、BURRN!本誌で初めてインタビューをしたので。
増田:浜田さんのインタビューは初めてだったんですか?
広瀬:そうなんですよ、いやぁ緊張しました。
土屋:広瀬さん、緊張することってある?
広瀬:いやあまぁ──普通の意味での緊張というより……BURRN! JAPANを続けて読んでらっしゃる方はご存知かと思いますが、復活して最初の号(VOL.7)で増田さんが浜田麻里さんのインタビューをしたときに、BURRN!との確執について語っていて。もっというと、『Mission』というアルバムのときに、すごくいい作品で完全にメタルなのでBURRN!でもやった方がいい──となって当時のレコード会社に話を持っていったところ、宣伝担当の方が“BURRN!のことは麻里さんに話を持っていくまでもない、私が止めます”ってことだったんです、よく理由もわからなくて。で、増田さんが取材されるときに、“実はBURRN!に対して良くない感情がある──というようなことを仰ってた”と。実はそれは人気投票のことだったんですね。
増田:そうですね、要するに人気投票で女性ヴォーカル部門がいきなり廃止されたんです。それを彼女は誤解されていて。女性ヴォーカル部門の人気投票が始まって麻里さんがたくさんの票を取っているにも関わらずその年から発表のときになくなっていた──という風に彼女は聞かされていた。
広瀬:それは違うんです、僕はちょうどその頃BURRN!に入ったから知ってるんですけど、それまで3年連続麻里さんがチャンピオンで、前編集長が“これ、女性部門いらねぇよな”って言ったんです。
増田:そのときの大義名分としては<女性ギタリスト部門がないのにヴォーカル部門だけ男性・女性を分ける必要はないんじゃないか>ということで。
広瀬:女性ギタリストは少なかったから当然ですけど。
増田:女性ヴォーカル部門はダントツで麻里さんが1位で、2位以下はほんとうにいなかった。
広瀬:ま、今考えると、80年代はああいう時代だったからですけど、女性・男性を分けるのはよろしくないですね、そういう意味では止めたのは正解だったと思いますけど。
増田:ただ誤った情報が流れてその誤解を解くのにちょっと時間がかかった。
広瀬:それを増田さんが取材をしたときにちゃんと伝えて、編集長も替わったから──と。
土屋:そもそも、そのBURRN! JAPANが復活したときに取材をオファーしたんですけど、なかなかOKが出なかったんですよね。
増田:最初のうちはね。ともかくBURRN!の名前で出る物には出たくない──と。
土屋:それを増田さんがなんとか話をして。
広瀬:で、今回のBUNRRN! JAPANですが。
土屋:僕は今回の浜田麻里さんのインタビューをやらせていただいて。広瀬さんはBURRN!本誌でアルバム・インタビューを、増田さんはMASSIVEで。
増田:僕はたまたまBURRN!創刊前にオリコンにいてデビュー当時から取材をしていたので、なんとなく縁はあったんです。
土屋:麻里さんに関して、僕は以前、取材のオファーをいただきながら、ずっと断ってたんです。
広瀬:なんでですか?
土屋:いやぁ、僕は浜田麻里ファンなんですよ。その現場を増田さんには見られてるので恥ずかしいんですけど、本人を前にすると緊張して喋れなくなってしまって。
広瀬:またぁ(笑)
土屋:本当に、いや、これまでそうそうたる方たちをインタビューさせていただきましたけど、その中でも麻里さんはできなかったんですよ。ということで、
お断りしてたんですけど、前のアルバム『Mission』の前ぐらいから、僕の周囲の人が制作などに関わることが多くなってきて、レコード会社の人からも、そろそろ──という話があって、それでインタビューを。
増田:『Mission』が初めてだったんですか。
土屋:そうです。そんな理由だったというのは麻里さんに言いましたけど。“なんで取材をしてくれないのか──と思ってた”って言われました(笑)。
広瀬:面識はあったと。若井 望くんとか『Mission』に参加してますよね。
土屋:まぁそれもあって。
広瀬:若井くんを僕に紹介したのはキング・レコードじゃなくて土屋さんですからね(笑)。で、今回のBURRN! JAPAN Vol.12ですが、スタジオを借りて半日がかりで麻里さんの写真を撮ったんですけど、中面で麻里さんに笑ってもらおうとカメラマンの方が、“土屋さん、何か面白いこと言って”って言ったら、普段の土屋さんからは──。
土屋:違う、違う、それって広瀬さんが言ったんじゃないですか。
広瀬:まぁそうですね(笑)
土屋:“何か面白いこと言って”と無茶苦茶なフリで。
広瀬:言ってくれるかなと思ったら…。
土屋:だって、麻里さんがどんなことを面白いと思うのかわからないから。
広瀬:僕や、うちのデザイナーとかは麻里さんにはかなり気を遣った感じで話すのに、土屋さんはフランクに話してるので。でも、あのときはちょっと顔が強ばってましたね。
土屋:そうですね、それで麻里さんに“だって麻里さんがどんなことを面白がるかわからないじゃないですか”って言ったら、“まだ、わからないの?”って。
広瀬・増田:大爆笑
広瀬:すごい。
増田:すごいよね。
広瀬:女性ならではの、<まだ、わからないの?>
増田:<まだ、わからないの?>(笑)
土屋:それ、あの人のちょっとした悪戯心なんです。正確には“まだわからないんですか?”でしたけど(笑)。
広瀬:わかりにくいですよね、悪戯って。真顔で言ったんですか?
増田:麻里さんに“まだ、わからないの?”って言われたらびっくりしますよ。インタビューの中でも、昔のオーディションの話題で、何を歌ったか教えてっていう質問に、“やだやだやだ(笑)”っていうのがあって。
土屋:あそこは最大の<萌えポイント>ですね。(場内爆笑)
増田:原稿削除依頼はこなかった?(笑)
土屋:あれは本当に映像を撮っておいて皆さんに見せたかった(笑)。麻里さんが思わず“やだやだやだ”っていうのは。完全に少女に戻ってましたね。
広瀬:僕がインタビューしたのはビクターに戻ってすぐの時期なんですね、土屋さんがやるよりも、増田さんがMASSIVEでやるよりも前で。BURRN!とは色々あったということで緊張しながら話を始めて結局はアルバムのことをごく普通に訊いた、音に関してのインタビューだったんですよ。このギターは…とか、若井くんの曲はすぐにわかりますねとかこの曲は昔の浜田麻里さんっぽいとか、BURRN!らしいといえばBURRN!らしい、人間性を突っ込むというよりも、今回はいかに良いアルバムかってことを語ってもらう形でした。で、それからだいぶ経って、新しいアルバムっていうだけではなく別の切り口でやらなきゃならない二人は大変だったと思うんですけど。
増田:MASSIVEはわりと新譜に伴った取材をしてるんですけど、どちらかというと人間性の部分とかも聞くので、あまり他の媒体のことを考えずに普通に話をさせてもらいました。土屋さんはこのBURRN! JAPANのロング・インタビューの中で歌詞のこととか掘り下げるだろうな──と思っていたので。それですごい深い所まで語っていて。
広瀬:土屋さんは全般的に歌詞のことはよく聞かれますよね。そこは土屋さんらしいと思ったのと、もう一つ今回のインタビューを読まれた方は、浜田麻里さんにいったい何があったんだろう?と思うような、何か大変なことがあったらしい感じ──が如実に匂ってきてますよね。
土屋:そうですね、ここまでそういった裏事情というかそういうことを語ったのはないと思う。
広瀬:あれは、土屋さんだからですよね。
土屋:ファンクラブの会報とかではそういった話をしてるらしいんですけど、ファンクラブの方が、それより詳しくBURRN! JAPANに出ている──と。
広瀬:レコード会社が変わったりというのも、極々すんなり移ったというのとは若干違うし、アーティストにとってはマネージメントとか色々大事なわけですけど、ツアーの連絡先が麻里さん本人になっていたりする場合もあるじゃないですか。だから色々あったんだなぁ──って。
増田:語っている本人もすごいけど、なかなかここまで聞いたことはなかったでしょ?遠慮じゃないんだけど聞いちゃまずいんだろうなって。
土屋:それは彼女に対しては僕だけじゃなくて、みんなあると思うんです。歌詞のことでもそうなんですけど、あんまりみなさん聞かないし、本人も聞かれないし。でもそれは麻里さんがはぐらかすというか抽象的な言い方をするので、これ以上は聞いちゃいけないのかな──と聞くのを止めると思うんですけど、僕は躊躇無く突っ込むんです。今回に関しては、浜田麻里表紙の本が「Player」「WeROCK」とあって、BURRN! JAPANは一番遅いわけですよ。そうするとただ表紙に出てるだけではインパクトがないし、内容で勝負するしかない。写真も他には負けないもので。
広瀬:時間もお金もかけましたからね(笑)。
増田:カメラマンは小松陽祐さん。撮影がすごく速いんです。麻里さんはメイクも衣装も自分なので始まると速いんですよね。
広瀬:そうですよね、男のミュージシャンってメイクとか他人にさせるじゃないですか、ヘアーとかも。
増田:自分じゃわからないというのもありますからね。
広瀬:この表紙の写真は、いくつか候補があった中でこのパターンがいいとご本人が指摘されたので。なかなかこういうポーズの写真って見たことがなかったと思うんですが、よくあるんですか?
増田:いや、そんなにないですよ。ジャケット周りはむしろ強い感じの写真が多いので、柔らかい感じがなかなかなかった。
土屋:そうですね。「Player」が高崎(晃)さんとツーショットで、「WeROCK」は顔がばーんと出たもので、違いはでたのは間違いないし、一番いい表紙ではないかと。で、広瀬さんのBURRN!,増田さんのMASSIVEとあったので、じゃあ自分はどうするかということで、『Mission』以降の流れというのは具体的なことを知る立場にいたので、そこを話してもらうしかないなと。それで今回のアルバムに彼女のどんな思いが込められたものになっているのか──ということを掴めればいいんじゃないかなと。
センセーショナルな話もあるんですけど、そこを敢えて話をしてもらおうと。ま、麻里さん本人がそういった話をするかどうかはわからなかったですけどね。
広瀬:そうですね、話してくれるかどうかわからない、でもツアー・メンバーのこととか聞いてるのは土屋さんらしいと思いますし、実際今回BURRN!の最新号でも言ってるわけですし。今回のライヴはご覧になりました?
増田:僕は残念ながら。
広瀬:土屋さんにはBURRN!でライヴ・リポートを書いていただきましたが、今のバンドってどうですか?
土屋:すごくいいと思います。当然ですけど今までのバンドより若々しい、しばらくこの編成でいくんじゃないかなって気はする──もっとよりよい形になっていくんじゃないですか、年明けの大阪フェスティバル・ホールやその後の武道館。
広瀬:武道館決まってよかったですね。
土屋:武道館ってほんとうに取れなくて、どうなるかわからない状態がずっと続いていて、やっと決まったので麻里さん相当うれしかったみたいです。
広瀬:増田さんはMASSIVEの取材で、どんなことが印象に残ってますか?
増田:今年、ジューダスブリーフ党というトリビュート・バンドで歌うことがあって、その話をインタビューが終わった後に、余談でしてたんですよ、そうしたら麻里さんがいきなり笑い始めまして、“そういえば(ロブ・ハルフォードに)似てますよね”って。(場内大爆笑)
広瀬:ちなみにジューダス・プリーストは次のBURRN!(2月号)の表紙ですよ、インタビューは増田さんで。
増田:このあいだ、(ロブとの)記念写真撮ればよかったな。麻里さんとは昔から取材してきたので、昔話とかもしましたよ。彼女がデビューしたときに<麻里ちゃんは、ヘビーメタル。>ってキャッチコピーだったんですけど、本当に好きなのかなぁ〜?って思ったんですよ。
土屋:学校、同じでしたよね。
増田:たまたまだったんですけど、取材した後に会ってしまって。取材のとき、“どんなの好きなんですか、最近どんなの聴いてるんですか?”って質問したら、“え〜と、アクセプトとかヴァンデンバーグ”って言われて。あ、本物だ、と思いました。
広瀬:では、そろそろ本日のゲストを。
土屋:今日のゲスト御一人目をお呼びしましょう、K-A-Zさん。(場内大拍手)
長身のK-A-Zさんを挟み4人で二度目の乾杯、まずは近況の話題から。
K-A-Z:よろしくお願いします。
増田:今日はこれが最初のお仕事?
K-A-Z:朝まで色々レコーディングしたりしてましたけど、たっぷり睡眠とってきました。
増田:では、これからたっぷり飲んで。
K-A-Z:今日はそれを楽しみに。
増田:周りでは本当に色々なことが起きてますが。
K-A-Z:そうですね、sadsが年内で休止、まさかの追加公演(12月21日クラブチッタ川崎)があって、そこで一段落。
増田:最終日(11月30日・品川ステラボール)、突如その場で誰も知らなかった追加公演が発表されて。
K-A-Z:そうです。僕それ、ギター・ソロ中に聞かされたんですよ。最後バーンって終ったら、メンバーが戻ってきてベースのYUTAROが耳元で“21日決定です”。
増田:sadsでは、というか清春さんがらみではよくあることですよね。
K-A-Z:スケジュール的な部分はその場で決まったりするので。
増田:土屋さんはK-A-Zさんとは長いんですか?
土屋:僕はBUMP’N GRINDというバンドで何度も見てるんですよ、ライヴ・ステーションとかサイクロンで。
広瀬:BUMP’N GRINDはヴォーカルが鮎貝(健)さん、みんなそういう風に<声がいい>バンドなんですか? K-A-Zさんもすごいいい声じゃないですか。鮎貝さんはDJもやってらして、僕はFM番組のボン・ジョヴィ特集のときにご一緒しました。僕とか増田さんは声が高いからああいう男らしい美声に憧れるんですよ(笑)。
K-A-Z:背が大きい人は声が低くなりがちなので。これは統計的にあるらしいですよ。
増田:声帯の長さはあまり変わらないのに、響く胴の部分の長さが違うからそうなる──って話を以前、二井原実さんから聞きました。実際、ヴォーカリストってわりと小柄な人多いですよね。
K-A-Z:ロニー・ジェイムス・ディオとか。(場内大爆笑)
増田:そういう意味では、K-A-Zさんと釣り合いのとれるヴォーカリストって難しいでしょ。
K-A-Z:身長ですか?
増田:身長だけじゃなく絵になりにくいというか。
K-A-Z:そうですね…そう考えると今まで僕が組んできた人って結構大きいですね。一番大きいのが栄喜、SIAM SHADEの。彼も180cmオーバー。DETROX組んだときに“俺、ずっとデカいギタリストとやりたかったんですよ“って言ってました。
増田:だいぶ前の話ですけど、あるイベントの栄喜くんのセッション・バンドでLa’cryma ChristiのKOJIくんともう一人若いギタリストが出ていて、二人とも180cmオーバーで、それを見て、ああこういうことだったのかって思いました。
K-A-Z:だからDETROXをやり始めたときもそういうことを言ってましたね。デカい奴らが集まると絵面はカッコいいし。
広瀬:ビリー・シーンとスティーヴ・ヴァイがやったときも。
K-A-Z:最高ですね。
広瀬:K-A-Zさんは何センチですか?
K-A-Z:190センチです(場内おおお〜と驚嘆)
広瀬:僕が今まで会った中で一番大きいのはロビン・クロスビーですね。
K-A-Z:2メーターくらいあるんでしたっけ?
広瀬:近かったですよ。エイドリアン・ヴァンデンバーグも190超えで大きいじゃないですか、でも大きさの質が違いますね。ロビンは手がグローブみたい、これでギター弾けるのか?っていうくらい。僕はsadsのライヴは行ったことがないんですけど、冠くんのライヴでK-A-Zさんを見て。ま、冠くんは存在が独特なのでK-A-Zさんが大きいことを忘れますね(笑)。
増田:今年、sadsが年内をもって活動を休止するわけですけどK-A-Zさんはもう新しいことを始めようとしてるじゃないですか。
K-A-Z:今、ヴォーカルを大々的に捜しています。他のメンバーはベースにVAMPSとかやっているJu-ken。いいベースを弾くし彼も結構でかいんですよ。ドラムがTHE MAD CAPSULE MARKETSのMOTOKATSUさん。YouTubeに3人でやったバックトラックをアップして、そこにメロディなり歌詞を加えて歌った音源を送ってきた奴──で判断したいなと思ってます。
広瀬:それはリッチー・ブラックモアがロニーを決めたときと同じですね。リッチーは歌メロを作らない人だから、バッキングを弾いてそこにどんなメロを載せるかっていうことで、ロニーは素晴らしかった。
K-A-Z:そうなんですね、まさにそれです。
増田:即戦力が欲しいから?
K-A-Z:そう、即戦力ですね。それぞれキャリアのあるメンバーだから、ダイヤの原石を磨くなんて七面倒くさいことはやめて。まぁ著名な人にも声をかけたりはしてるんですけど、スゴいド新人が来ても面白いのでYouTubeに音源を上げています。もしかしたらそれが一番速く見つけられる方法かも。
増田:かなり心臓の強い人じゃないと(笑)。
K-A-Z:周りのミュージシャンにも、面子はこれこれで──って話すんですけど、“いやぁ、そこには出たくないっすね〜“って(笑)。
土屋:そもそもその3人のつながりというのは?
K-A-Z:sadsが年内で終るので2019年は何をしようかな──と思ってて、いろいろバックとかもやる中で、一個バンドを持ちたいなと思って。それに打ち込みながらサポートや自分のソロをやったりしたいと。で、ある人と話してるときにJu-kenの名前が出てきて。彼とはsadsとVAMPSが一緒のイベントに出たときとかいろいろ知ってたし組むのは面白いかなと──、で、その場ですぐに電話して。“来年何してる?俺とバンドやる?”って聞いたら、“やります!”って。で、ドラムをどうしようかってなったときに清春さんの誕生会があって、MOTOKATSUさんも来てたので、“僕とJu-kenでバンドをやるんですけど、MOTOKATSUさんドラムどうですか?”って話したら、“ああ、全然やりてえ”って。そうやって話はトントンと進んで、そこからヴォーカルをどうしようかってなって、先ほど言ったYouTubeにバックトラックをアップしたんです。
増田:だって、このメンバーってsadsにVAMPSにACE OF SPADESでしょ、そうしたらヴォーカルは清春かhydeかTAKAHIRO……(場内大爆笑)
K-A-Z:それ、どれかに寄っていっちゃうじゃないですか(笑)
増田:その三人に勝てるようなヴォーカリストってことでしょ(笑)。
K-A-Z:新しいことをやりたかったんで、ヴォーカリストは女の子でもいいなって思ってます。募集要項には国籍も性別も年齢も何も問わないって書いてます。一応今月の20日まで募集してるんですけど、まだそんなに来てないんですよ。
広瀬:でも、物怖じしない奴が来てくれないとね。
K-A-Z:メロを作って──と出してるのでギリギリまでメロを考えて、最後にバッと来るんじゃないかなと思ってます。
広瀬:ギリギリまで来ないと、例えば、“セッションするから来いよ”ってこともあります?
K-A-Z:そうですね、もしかしたらもうちょっと締め切りを延ばしてもいいのかなと。気持ち的には来年すぐに発表して、ライヴとか制作に入れればいいかなと。僕とJu-kenとMOTOKATSUさん全員がいいなと思った奴を捉まえて、そこから音楽のイメージを作ろうって話してるんです。だからバンド名もまだないんですよ。まず全員が揃ってから音楽の話を詰めたりとか、バンド名、ヴィジュアル・イメージとかを話し合って決めていきたいと。
増田:さっき声の話になりましたけど、K-A-Zさんは自分で歌おうとは思わないんですか?
K-A-Z:それは絶対やっちゃダメなんです。ギタリストが歌うとロクなことがない(笑)。カラオケとかでは歌いますけど
増田:え、何歌うんですか?
K-A-Z:僕は尾崎紀世彦とか。(場内大爆笑)
広瀬:でもリアルタイムではないでしょう?
K-A-Z:たぶん懐メロの番組とかで見たんでしょうね。あのデカいもみあげとか。
増田:日本人然としてない、規格外の物に子どもの頃から惹かれてたんですね。
土屋:でも、歌ってみれば。何気にいいかもしれないし。
広瀬:ジョン・サイクスとかゲイリー・ムーアとかみたいに。
K-A-Z:いいですよね。でも、やっぱりヴォーカリストの横でガンガン弾くっていうのが好きなんですよ。自分がセンターでマイクを持って歌うよりは、スゴいヴォーカリストがいてその隣で弾くっていう立ち位置がいいんです。昔から赤レンジャーより青レンジャーの方が好きで(笑)。
増田:バンドはゴレンジャーだってよく言いますよね。
土屋:今日お客様入場の際にK-A-Zさんのソロ・アルバムからインストの曲をかけてたんですけど。
K-A-Z:ありがとうございます。こう見えて僕、バラードを弾くのが大好きで。世の中的にギターのテクって速弾きだったりトリッキーなプレイがテクニックって言われてますが、僕的にはその一つ上のヴォリュームやタッチとかで音色を変えていくのが、最も難しいテクニックだと思ってるんです。そういうテクで色を付けて景色を見せるという方が難しい──ということに気づいて。最近は自分の手でどれだけ音色を変えられるかという所がやっていて楽しいですね。そうやって来年以降もギターを突き詰めていきたい。
広瀬:そうやって色々なバンドやスゴいメンバーでやってきた中で、これはやり残している、死ぬまでに絶対やりたい──ということってありますか?
K-A-Z:インストですごいデカい会場でやってみたいですね。インストをチャートにぶち込んだりとか、難しいと思うんですけどそれを目指すのはやりがいのあることだし。そういう世の中になったら面白いなとは思うんです。昔だったらジャンルは違いますけど高中(正義)さんとか武道館でインストをやってましたよね。リヴァイバルと呼んでいのかわからないんですけど、そういうことにトライしたいですね。
広瀬:そうですね、高中さんとか。
K-A-Z:盛り上がってましたよね。
広瀬:インストなのに感動する──、インストだから感動しないってことじゃないですけど、聴いたみんなが満足して帰るってことですよね。
増田:インストなのにポピュラリティを持つ。
K-A-Z:歌詞がないぶん、それぞれが歌詞をつけられると思うんですよ。逆に歌詞に縛られない。
増田:歌詞はその世界観を説明しちゃうし。
K-A-Z:聞いた人にその人の人生を思い出させるのは、インストの方が可能性が高いのかなと。
増田:というわけで、インストの可能性も楽しみにしてますし、まだ名前もないそのバンドも楽しみですし、今この場では持ち上がってない楽しいことも沢山あるでしょうし、2019年期待しております。では、みなさんK-A-Zさんを拍手で御送りください。
K-A-Z:ありがとうございました。(場内大拍手)
ここで途中休憩を挟み後半戦へ。
広瀬:じゃ、後半戦のゲスト、下山武徳!(場内大拍手&歓声)
下山武徳(以下下山):あれ?さっきSABER TIGERの曲がかかったと思ったら、なんで今EARTHSHAKERなの。(注:入場時にSABER TIGERの曲が流れるはずが、手違いでEARTHSHAKERの曲が流れた)
広瀬:EARTHSHAKER入ったの?(笑)
下山:準レギュラーだから(笑)
広瀬:よくセッションしてるもんね(笑)。では、まず乾杯の音頭を。
下山:僭越ながら、平日のお忙しい中どうも有難うございました。来年のますますのご発展と健康を祈念しまして、乾杯!(場内も乾〜杯!)
広瀬:というわけで、色々聞きたいことがあるけど、さっき楽屋で話してた続きで、中島有貴さんの件。あの人、DOUBLE DEALERのフランス・ツアーは何しに行ったの、って言う(笑)。
下山:乾電池持ってきた(笑)。あの当時コンセントのアダプターとか意外と大変で、ドライヤーが熱くなるとか色々と。そしたら、“「じゃあ、俺、お前たちのために行くよ”って乾電池担いで持ってきた。
この話題はさらに膨らみ、当時の関係者の暴露話が連発されるなど、増田さんからも“今の話はSNSへの投稿はご遠慮ください、この会場を出たら忘れて忘れて──”といった話のオンパレードとなったので、トークの俎上に乗った様々なバンドの話題を。
広瀬:来年SABER TIGERはConcerto Moonとツアーやるでしょ。
下山:20年前から一緒に頑張ってきたからね。今回、みんなレコ発になったし。
広瀬:みんなって、Concerto Moonは違うんじゃない?
土屋:春に出る──ってそれ言っちゃいけないんじゃない?
下山:いいんだよ。島くん、今レコーディングしてるんだから。
広瀬:ツアーはいつからだっけ。
下山:3月。今の時代、情報なんて隠匿できないよね。(場内大爆笑)
広瀬:昨日だって、あんきものライヴで、“5月◎日空けといて”って言ってましたよね土屋さん。
土屋:Unlucky Morpheusですね。ライヴ・リポートがBURRN!に載りますけでお、 昨日のライヴは面白いことに僕も、広瀬さんも増田さんも行ってて。
増田:珍しい。
広瀬:なかなかないですよね、僕まで行ってるっていうのは(笑)。ところで、今のSABER TIGERは非常にいい状況だと思うけど、ベースのhibikiはどうですか?
下山:若いし、木下(昭仁)御大とのマッチングがよくて。
広瀬:だいたい木下さんとウマが合う人っていなじゃない(笑)。
下山:今まで地球上にいなかったから(場内大爆笑)初めて。孫みたいなもんだからね。可愛いいんです。どういうわけか趣味が合うんですよ
広瀬:hibikiは可愛いいからね。
土屋:広瀬さんはhibikiの顔が大好きだから(笑)。
広瀬:まあそれはさておき(笑)、SABER TIGERのニュー・アルバム『OBSCURE DIVERSITY』は全世界発売ですね。
下山:全世界50ヶ国同時発売。
広瀬:50ヶ国全部挙げてみて。
下山:全部って──相変わらずドSだよな(苦笑)。
広瀬:今回のアルバム・タイトルはどういう意味なんですか?
下山:………、そんなのBURRN!見りゃわかるだろう!(場内爆笑)
広瀬:遠藤フビトに聞けと(笑)。
下山:<曖昧な可能性>っていう意味だそうですよ。
広瀬:直訳だな。
下山:だから、そういうこと。
広瀬:どういうこと?
下山:色々選択肢があるでしょ世の中。選択肢があれば心が豊かになる、曖昧なんですよ──本質が。聞いてるの?
広瀬:聞いてますよ、目を見て。見てる見てる。目が細くてどこ見てるかわからないけど(笑)。(場内大爆笑)
下山:もう、このネタ20年やってるでしょ(笑)。
広瀬:で、海外ではどうなの?
下山:いいんじゃないですか。
広瀬:ちゃんと出てます? 前にヤバいことあったじゃない。
下山:それが今回はちゃんと出てる。
広瀬:レコーディングって楽器隊には充分時間かけるけどヴォーカルは結構短いんでしょ?
下山:なんかヘヴィ・メタルのバンドってたいていそうなんだよ。
広瀬:SABER TIGERは?
下山:11曲を一週間。
広瀬:ヴォーカル録りのときって木下さんが全部ディレクション?
下山:いや、木下さんとマシン(田中康治)と英語の先生、遠藤フビト。
広瀬:英語でNGが出て、ギタリストたちは“今のでいいのにな──”っていうのもあった?
下山:ありますよもちろん。まず海外仕様というのが絶対に発音をもっと練習しろっていうのがあって。いいテイクが録れたからといって発音が──という妥協は止めようと。
広瀬:来年、ANTHEMも『NUCLEAR BLAST』から海外で出すので、ヴォーカルの森川さんは本当に苦労して、死にそうだっていうくらいやったって。
下山:発音にはホント、苦労しますねぇ。
広瀬:で、英語は上手くなった?
下山:英語は上手くなった。
広瀬:喋れる?(場内大爆笑)海外進出したら向こうでインタビューを受けなきゃいけないから。
下山:じゃあ、この後の打ち上げは日本語禁止!(場内大爆笑)
土屋:東欧だと必ずしも英語じゃないだろうけど……そういえば以前<スピード・ラーニング>やってたでしょ、あれはどうしたの?
下山:誰かが持ってきた<スピード・ラーニング>を廻し聞きして。流し聞きの上、廻し聞きして(笑)。
広瀬:どう、効果は?
下山:全然身に付かない(笑)。
広瀬:廻し聞きがいけないんじゃないの(笑)。
下山:流し聞きの上、廻し聞き(笑)。
広瀬:アメリカでも出てる?
下山:出てますよ。レーベルの本社がイタリアで、本拠地がラトビア。イタリアとアメリカに工場があって。
広瀬:アメリカはツアーする予定は?
下山:ないです
広瀬:この前のラトビアとかの東ヨーロッパ・ツアーはどうだったんですか?
下山:ライヴはもちろんしっかりと、日本でやるのと変わらないくらい1時間半とか。で、ウクライナとかって物価がすごく安い、チケット代が200円くらい。それが生活レベルだから、3,500円のTシャツを売ったら“お前等バカか”って言われた。そりゃそうだよね。CDなんかもあまりに高価すぎて、Tシャツも月給の半分くらいするわけ、そういう感覚になる。
広瀬:で、売れたの?
下山:1枚買ってくれた人がいて。これはすごい価値のあることで。
広瀬:KISSクルーズでジーン・シモンズからベースを買う人みたい。
下山:上手いこと言うね。
広瀬:向こうのファンは後から感想とか言ってくるわけ?
下山:うん、スゴいノリで、日本のレジェンド級のキャリアのバンドだってことで一目置いてくださる。レジェンドだよ、レジェンド。
土屋:実際、海外のメタル系サイトではSABER TIGERはJAPANESE METAL LEGENDって書かれてて。
広瀬:ヨーロッパはまた行くんだっけ?
下山:来年夏くらい。
広瀬:そのときはConcerto Moonは?(笑)
下山:あいつら<スピード・ラーニング>やってないから。(場内爆笑)
増田:スピード・ラーニング・ツアー(笑)
下山:流し聞きの廻し聞き(笑)。
広瀬:で、今日はどこから来たんですか?
下山:中津川。中津川フォーク・ジャンボリー発祥の地ですよ。
広瀬:そこで「夜会」を。
下山:「夜会」、アコースティック・ギターを弾きながら、ソロをね。
広瀬:「夜会」行ったことがある人います? この人、喋り過ぎですよね(笑)。
下山:そういう会なんだよ。
広瀬:3時間くらいやるんでしょ。今「夜会」ツアー中なんですか?
下山:そう。
広瀬:今、他に誰と廻ってるの?
下山:EARTHSHAKERのSHARAさんとは毎年一月に二人でヘルボイスvs ヘル・ギターっていうアコースティック・ユニットをやって。
広瀬:マッシモは?
下山:僕とマッド大内さんのユニット。あと山本恭司さんと二人でやってるのがあって…他にも…。
広瀬:なんでそんなにやってるの?
下山:おっさんにモテるんだよ(笑)。(場内爆笑)
広瀬:一年に何日くらい?
下山:今年は126本。約三日に一回(場内からおお〜の声)
土屋:すごいね。
下山:無職だからできる。
広瀬:それはガバガバっと。
下山:いやいやいや、今日の駐車場代頼みますよ。
広瀬:もちろん(笑)。ところで、SIXRIDEはどうなるんですか?
下山:SIXRIDEは昨年15周年を迎えまして。
広瀬:おめでとうございます。(場内大拍手)
下山:いや、拍手しないで。15周年って言ったって12年何もやってないんだから。(場内爆笑)
広瀬:アルバム2枚。最初の2年で2枚。
下山:大切にしていた作品ですよ。
広瀬:いい曲がたくさんあるじゃないですか──やんないの?
下山:時間があれば。
広瀬:SIXRIDEは自分で歌詞を書いて…歌詞は大事だって言ってたのに、なぜ今、遠藤フビトの歌詞を歌ってるのかって正直思うんだけど。もちろんSABER TIGERはそうだっていうのは分かるんだけど、SIXRIDEみたいに自分の言葉で、あんなにステキな歌メロをやってたのに。SABER TIGERの歌メロは?
下山:それは、曲を書いた人が。ロックの世界の作曲っておかしいのは、ギタリストはコードで曲を作って、歌メロをヴォーカリストに委ねるケースが結構多いんですよ。だけど作曲印税はギタリストに入るでしょ、本来メロディを考えた人が作曲者なんですよ。俺、作曲印税貰ったことがない。SABER TIGERもDOUBLE DEALERもSIXRIDEも。
広瀬:SIXRIDEも? それはおかしいんじゃない?……あ、もうそろそろプレゼント・タイムに。あ、じゃ今、下山武徳に質問したいことありますか?
下山:こういうとき、ハイって言う人いますか?
増田:はいはいはい、皆さんプレゼントの時間ですよ!!
このあと、登壇者の皆さんから来場者とのジャンケン・プレゼント・タイムとなり、それぞれの貴重なアイテムがプレゼントされた。
増田:冒頭で言ってしまいましたが、BURRN! JAPAN次号がもう決まってるんですね。
広瀬:次号は1月31日発売で、巻頭特集は?
増田:え、もう言っちゃう?
広瀬:僕はいいんで、土屋さんが面白く言ってくれます(笑)。
土屋:間もなくあんな物を出すあの人です。
広瀬:来年何周年ですか?
土屋:まぁそういう人で、もうすでにアニヴァーサリー・イヤーが始まっていて。
広瀬:やっぱりPURE ROCK JAPANに出るんですか?
土屋:それは来年PURE ROCK JAPAN LIVEをやるってことをここで言わなきゃいけなくなるじゃないですか(笑)。
広瀬:やる…。
土屋:言っちゃいけないんで。
広瀬:わかりました。
土屋:来年はいつものところでやります。
広瀬:次のBURRN! JAPANは1月31日発売ということで、今回は会場を押さえるのが遅れたので、タイミングがズレましたけども、次回は発売からあまり遅れないよう、このトーク・イベントをやろうと。2月11日(祝)に。
土屋:祝日だとスタート時間早いんですか?
増田:その辺はこれから打ち合わせて。
広瀬:今日は参加いただいた下山さんK-A-Zさんありがとうございました。じゃ締めの言葉は「ボヘミアン・ラプソディ」字幕監修の増田さんから。(場内大拍手)
増田: BURRN! JAPAN、不定期の刊行ですけども、これからも末永く続けていきたいと思っておりますので、みなさん応援よろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。
土屋:ありがとうございました。
広瀬:ありがとうございました。
(場内大拍手)